#17 花びらの引っかけ問題④
花弁とガクの境界がどこにあるのか、というお話は、実は植物の研究者の間でもまだ答えが出ていません。
多くの植物では、ガクには葉のように葉脈があり、緑色をしていることが多いです。花弁と比べて厚さがあることが多いです。また、花弁が散ったあとも茎にくっついたままであることも多いです。
一方で、花弁にも葉脈のような脈(花脈)があります。食紅で色をつけた色水を吸わせてみると観察できます。花弁は薄くて柔らかく、大きく、受粉を終えたら散ってしまうことが多いです。
しかし、私たちがもつ一般的な花弁とガクのイメージに当てはまらない植物もあります。
写真の花、シュウメイギクの白い花びらに見えるものもまた、ガクです。#15 のクリスマスローズのように、シュウメイギクでも花弁は退化しています。
このように、花弁とガクを形態的な違いで見分けることは難しいです。これまで紹介している花弁かガクかの判別も、多くの植物学者が信じている説であり、絶対ではありません。
科学技術が発達して、私たちは植物の遺伝子情報を調べることができるようになりました。花弁だけ、ガクだけで働く遺伝子を見つけることができれば、区別できるようになり、花びらの進化の不思議を解き明かすことができるかもしれません。
けれど、花弁かガクかが気になっているのは人間だけで、植物にとっては大差ないことかもしれませんね。
次回もよろしくお願いいたします。
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