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#10 花のつくりはABC

茎の先端にある茎頂分裂組織の小さな細胞がそれぞれ、ガク、花弁、雄しべ、雌しべという花の器官に分かれて成長していくために、植物はどういう制御をしているのでしょうか。

植物の研究者は、前回のカーネーションのような様々な"変な花"を集め、観察し、ABCモデルという考え方によって花器官の制御の仕組みを明らかにしました※。

2枚目の画像でABCモデルを簡単に説明します。

花のABCモデル


茎頂分裂組織では、A、B、Cの3種類の遺伝子が働いています。(本当はそれぞれきちんと遺伝子に名前がついています。気になる方は参考ページをご覧ください。)
Aの遺伝子の働く範囲の細胞はガクに、
AとBの2つの遺伝子が重なって働く範囲の細胞は花弁に、
BとCの2つの遺伝子が重なって働く範囲の細胞は雄しべに、
Cの遺伝子が働く範囲の細胞は雌しべになります。


"変な花"、つまり遺伝子に変異が起こった花の場合、A、B、Cのそれぞれの遺伝子が正常に働かなくなります。その時でも、上記の決まりに従って茎頂分裂組織の細胞は分かれて成長していきます。
その結果、ガクだけの花ができたり、花弁がない花ができたり、花弁が増えて八重咲きの花になったりします。

花器官の形成を決める遺伝子の種類はA、B、Cの3種類なのですが、組み合わせと遺伝子が働く範囲の大きさによって、最終的な花の形は無限に変化します。植物はシンプルな仕組みから、多様で複雑な花の形を生み出しています。

今回は少し難しいお話でした。もちろん、花の形を決める仕組みはこれだけではないので、次回は他のパターンをご紹介します。

次回もよろしくお願いいたします。

#アルストロメリア
#Peruvian lily
#Alstroemeria sp.

※参考
アサガオの変異体を用いた花器官形成に関するABCモデルの検証
http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/edu-ABCmodel.php

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