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2023年上半期 新聞歌壇に掲載いただいた短歌

こんにちは、社会人をしつつ趣味で短歌を詠んでいる奥山いずみと申します。
記録用に、今年上半期(1~6月)に掲載いただいた短歌を投稿します。
最後の方に、個人的な振り返りも載せてみました。それではどうぞ。

毎日歌壇 伊藤一彦選

2月6日
ながされる草舟のような日々のなか空の容器に砂糖をみたす

2月27日
霧雨に輪郭線をうばわれてふやふやなままふたりであるく
(※掲載時は、「うばわれて→うばはれて」となっています)

3月14日
息をするたび重くなる感情を銀のスプーンで掬いとる朝

4月18日
怒ってもいいのに怒らない人がまぶしくないよう影をつくりぬ

5月1日
警報でぶれた日常とりもどすため大鍋でゆでる新じゃが

6月26日
さみしいと呪文のように唱え終えマルゲリータの円をわけあう

毎日歌壇 加藤治郎選

2月27日
頭痛薬はんぶんのんで目をつむる半端な希望は痛くてにがい

毎日歌壇 水原紫苑選

1月30日
意味のあるものは中身がぱんぱんのクッションみたい背中に当てる

2月14日
食べ方がいつもきれいなきみといて骨あるものは骨だけになる

3月6日
だんだんと視力が落ちるわたくしに夕映えはまた窓を染め抜く

3月27日
ジュラルミン 春がわたしにとけこんで見境もなく寿いでゆく

5月16日
あのひとは感情を燃やすことが好き芒がゆれるようにわらって
(※掲載されたとき、「奥村いずみ」の名前で載ってしまったけれど、これは完全にミスです。投稿時に間違えて書いたのかな……涙)

6月13日
こんなにも心を晒すあなたから名のない白い花がこぼれる

東京歌壇 佐佐木幸綱選

1月15日
顔色をうかがいながら笑ってる鞄のファーのほそい毛羽立ち

1月29日
シーグラスおはじきのようにぶつけ合うとおくに海を感じる町で

3月5日
こんなにも犬にたくさん慕われて泡雪のようなセーターの人

4月30日
あんなにもたくさん黄色 春の花みたいな教習所の車たち

5月28日
解像度粗めの会話がここちよいぬるいビールをのぼりゆく泡

6月11日
しくしくと咲く紫陽花の道の先クロワッサンのお店が開く

東京歌壇 東直子選

2月26日
つぶされたトマトの呻き声のよう遠くで回転するチェーンソー

4月16日
丹念に湯葉をはがして食べながらあなたは話す終わった恋を

4月30日
骨折ののち捨てられたビニ傘が閉じたすがたで受ける春雨

6月25日
取り壊す日を待つビルの輪郭は夕陽をうけてわずかふくらむ


振り返り(雑談)

普段わたしは、毎日新聞の毎日歌壇と、東京新聞の東京歌壇に投稿しています。ペースは週4首くらい。さぼってその数出せないこともありますが……。自分で締め切りを設けて、定期的に送り続けると習慣化されてよいなと思います。

各欄(「欄」っていうのかな……。各選者の投稿欄)には、掲載されやすい特徴があります。たとえば、水原紫苑氏の欄は、個人的に「オリエンタル・幽玄・たおやか」だと感じる短歌がたくさん載る気がします。
なので、その欄に並ぶとしたら、こんな歌かな?と想像して、短歌を投稿しています。

もちろん、上記の方法で投稿してもねらいが外れることがあります。「これはいけるだろう」という自信作が載らないこともザラ。
一方で、「自信ないけどこんなのどうですか」という作品が掲載されることがけっこうあるので、実際送ってみないとわからないものだなと思っています。

個人的には、継続して投稿するためにも、「これ」という虎の子的作品があっても期待をさほどかけず、淡々と送るのがいいのかなと思っています。あまりねらいすぎると、クサい作品になる気がしますしね。

ということでとりとめのない投稿でした。

ご覧くださり、ありがとうございました:)

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