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短歌+ショートエッセイ:夜の陰翳
ふっつりと途絶えたものを思い出す指から熱が逃げる夜ほど
/奥山いずみ
11月最後の週、仕事場を出て帰るときに街灯の白い光に照らされて木の葉が影を成していた。
何か訴えてくるような、意思を持っているかのような陰翳だと思った。
通り過ぎかけてから、やはり、と思い、振り向いて写真に撮る。ふっくらとしたすがたの葉、一枚一枚がきちんと影となり、美しく画面に収まっている。
その写真に満足したあとで歩きながらふと、影について誰かと話したくなった。影について静かにゆっくりしゃべれる時間が恋しく思える、冷たく暗い夜だった。