旭川ぼたん堂

▼北海道旭川市発よろずごと発話 ▼"歴史とは何か"▼北国で生きるということ ▼過労鬱からの生還、W-LBについて ▼糖質制限DIET▼前癌病変と向き合う

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最近の記事

キャラから考察する【シン・エヴァ:||】「気持ち悪い」の先にあったものとは

!!シン・エヴァンゲリオン劇場版 :|| ネタバレを含みます 鑑賞2回目を終えて、いろいろなことが見えてきました。今回、登場人物に焦点を当てながら、シン・エヴァ:||の考察+感想をまとめます。 僕自身は、1995年のテレビ版放映時に14歳だった、結構いい歳の大人です。 シンジはエヴァのない世界を望みましたが、僕の生にループがあるならば、再びエヴァに出会う世界を望みます。決して触れられないのに、あの頃から彼らはずっと苦しさや寂しさを僕らと分かち合ってくれていたし、臆病な僕

    • 13. 父が除染作業に従事していた話~3.11から10年④

      父が数年間除染作業に従事していたことを僕ら家族に告白したのは、病院の定期健診で甲状腺に異常が見つかったある日のことだった。再検査の結果、幸い甲状腺のそれはガンではなかったけれど、僕にとってフクシマとの距離が一気に縮まった出来事のひとつになった。 僕の父は、首都圏に本社がある大手ゼネコンの一次下請けに在籍していた。単身赴任だった。国家資格を持っていて、現橋やダムの現場を取り仕切っている。僕が父の仕事について知っていることは、その程度だった。 母は除染作業について黙っていたこ

      • 12. 映画『Fukushima50』レビュー。日本が好む物語に惑わされるな~3.11から10年③

        僕等が『筆舌に尽くしがたい』としか形容できないような場面に、人生で何回も遭遇することはないと思う。けれど、3.11のあの日、この世に生があった人間は等しく、そうとしか形容できない光景を確かに見た。多くの映像は津波の恐怖を編集なしで僕たちに突き付けてきた。目をそらす権利は僕等にはないように思われた。それは、この国で起きている現実だったからだ。 僕は3.11その日、テレビを見ることができなかった。停電していたからだ。数日間電気のない生活が続いて、やっと復旧して真っ先につけたテレ

        • 11. 2011年,節電の夏からのメッセージ。いま僕らが学ぶべきは~3.11から10年②

          2011年の夏が猛暑だったか冷夏だったか、僕は覚えていない。いまでも鮮明に覚えているあの夏の風景は、止まったエスカレーターを昇ったり、ビルが18時で閉まったりしていたこと。間引かれた蛍光灯、薄暗い夜の街並み。毎日のように発表される節電目標の達成率と「明日の計画停電は回避されました」というアナウンス。 これらは、福島第一原発事故に起因する東電管内の電力不足によって、2011年の夏、東日本の多くの人が経験した「節電」がもたらした景色だ。 原発は悲劇的な惨状だった。何をどうした

          10. 東日本大震災と胆振東部地震を経験した僕が思うこと~3.11から10年①

          2011.3.11 あなたは、どこにいて、なにを見ていましたか 僕はといえば、震度6強の揺れのなか、海のない、福島第一原発から直線距離で140kmの街にいた。津波は襲ってこなかったしケガもしなかった。住まいは無事だった。けれど停電になり、ガス・水道が止まった。店から食料が消え、食べ物は手に入らなくなった。 被災3県の方々の心に今も深く残る壮絶な痛みに思いを寄せる時、僕が直面したあの日々は「取るに足らない」と断言できる。それでも、あの日大阪や福岡にいた人が過ごしていただろう

          10. 東日本大震災と胆振東部地震を経験した僕が思うこと~3.11から10年①

          09. Yahoo!ニュースからの卒業。アプリをアンストして頭をリセットする。

          1日に何度もYahoo!アプリを起動してニュースをチェックしているひとへ。アプリをアンインストールして、世界の見方を変える挑戦中、という閑話。 ある日のこと、30分おきにYahoo!アプリを起動している自分に気づいた。30分で世界がそう大きく変わるわけはないのに、何度も画面をひっぱっては目新しいNEWSを探し、変わり映えしなくなったことが確認できたら、やっとのことでスマホの画面を暗くする。1日に何度もこの動作を繰り返す。 僕はそんな自分が急に怖くなった。Yahoo!が自分

          09. Yahoo!ニュースからの卒業。アプリをアンストして頭をリセットする。

          08. 映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』~あの頃大学生だった人達へ

          あさま山荘事件は、事件勃発後から犯人確保までがテレビ中継された「劇場型犯罪」の端緒である。銃撃戦、放水、鉄球。当世風に言えば「テレビ映え」する連合赤軍と機動隊の衝突を、9日間にわたって日本人のほとんどが昼夜みつめていた。 この時代の若者が「熱狂した」学生運動が何であったのかは、様々な著作や映像作品で語られている。そのひとつが、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(監督:若松孝二)だ。 若松孝二という人間の視線は、現実を限りなく現実的に切り取る。本作品でそれが如何なく

          08. 映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』~あの頃大学生だった人達へ

          07. 3分で振り返る85年目の『2.26事件』~消された理想、すり替えられた正義

          「政治に近よるべからず。そこでは誠意が裏切られ、理想主義が利用され、役にたたなくなれば昨日の忠誠が今日の謀反とされるだろう。」    (『羊の歌』加藤周一、1968年、岩波新書) 2.26が戦前日本の重要な転換点だと多くの人が指摘するのにはいくつかの理由がある。ひとつは、統制派の中心人物たちが太平洋戦争開戦に深く関わった点。もうひとつは、テロルを恐れるあまり、内閣が陸軍の機嫌を取るようになった点。そして、軍部大臣現役武官制を復活させ軍部の政治介入を許した点である。 注意した

          07. 3分で振り返る85年目の『2.26事件』~消された理想、すり替えられた正義

          06. 北海道の遊廓考~40か所もあった遊廓はいったいどこへ消えたのか

          あなたが今住んでいる土地の、昔の姿を知っているだろうか。土地の記憶は、人が忘れても、土地自身が、そして地図が覚えている。 「遊郭」「遊廓」と言えば吉原が有名だが、全国津々浦々人が集まるところに存在していたことは一般的に知られていない。売春防止法が施行されてから半世紀以上が経過した今、地域の歴史から「遊廓」「赤線」は消され、建物の老朽化もあり、かつての姿を知ることは難しくなってきている。特に、明治期に本格的な開拓が始まった北海道では、遊廓の存在した年月が本州と比べて短いため、

          06. 北海道の遊廓考~40か所もあった遊廓はいったいどこへ消えたのか

          05. 哀をこめて花束を~北の門前町と昭和建築 旭川市 ヤマト市場

          旭川市 ヤマト市場(旭川市1条通3丁目、築年代不明) ある日近所のコンビニに入ると、コーヒーサーバーの前で仏花が売られていた。今や先祖に供える花すらLEDで照らし出される大量消費物のひとつになってしまったようだ。ここで買った花を仏前に供えると礼を失するような気持ちを抱くのは年を重ねたせいなのだろうか。 母方の親族が眠るのは、旭川の開拓初期から同じ場所で営みを続けている大谷別院である。以前は夏でもうすら寒い、足音が高く響く鉄階段が印象的な古びた納骨堂だったが、近年大規模改修

          05. 哀をこめて花束を~北の門前町と昭和建築 旭川市 ヤマト市場

          04. 低糖質ダイエットで20キロ痩せたら見えたこと~②オートミールのススメ

          前回は、低糖質ダイエットが成功した秘訣を、おもに考え方の面からお話しました。今回は、ダイエットに有効な食材、オートミールについてお話してみます。 ◆自分にあった食べ方を見つけよう 日食オートミール(30g)の糖質は約17g、白米(150g)の糖質は55.7g。この数値だけを見ても、低糖質ダイエットにおいてオートミールが大変優秀な食材であることが分かります。でも、オートミールっておいしくないって聞くから買うのはちょっと…という声がちらほら。半年間食べ続けたわたしは声を大にし

          04. 低糖質ダイエットで20キロ痩せたら見えたこと~②オートミールのススメ

          03. 低糖質ダイエットで20キロ痩せたら見えたこと~習慣化と成功体験

          自覚、というのは他者があって初めて成立する。家族は他者になり得ず、私生活に無関係だと切り離せば同僚もまた自身に影響を及ぼす他者にはなり得ない。 そういったロジックに拠って、私には自覚を呼び起こす様な他者が暫くの間存在せず、従って自分の外見を着飾ることに無頓着な時間が続いていたある春の日、事件は起こる。 職場でHP用の集合写真を撮るという。 おひとり様が長いと被写体になる機会は消滅する訳で、数年振りに写った写真には"知らない自分"が写っていた。 口角を上げたことで押し上げら

          03. 低糖質ダイエットで20キロ痩せたら見えたこと~習慣化と成功体験

          02. 北海道、家まわりの除雪を考える

          朝8時、氷点下9℃ 朝食を済ませて、雪はね(除雪の意)の準備を始める。 <服装は防寒より汗の吸収を優先> ・スキー用手袋(中学生の頃に購入したもの) ・耳当てつき帽子 ・撥水素材のワークパンツ ・撥水素材のダウンジャケット ・UNIQLOのボア付きパーカー ・透湿性の高いインナー上下 昭和50年代築、4LDKでテラスと庭のある戸建。10cm積もると、作業時間は1時間半ほどになる。前日の降り始めが早ければ、比例して積雪量が増えるため、長い日は3時間近くの作業になる。最初

          02. 北海道、家まわりの除雪を考える

          01. 旭川市 第一市場 "ハレ"としての正月

          旭川市 第一市場(大正7(1918)年築)戦後のバラックを彷彿とさせるツギハギに、盛期のエネルギーが凝縮されている。塗炭屋根の錆が風雪に耐えた期間を強烈に主張している。 昭和路肩にカローラを停めて、母親と子供が降りる。駐車場などないから、父親は車番のため居残りである。銀座通り側から市場に入ると、正月の買い出しで中はあふれんばかりの人混みだ。目指す餅屋は市場の中ほどにある、母の背は見失ったが店の位置はわかっている。人波を漕いでなんとかたどり着いたが、周囲を見回しても母の姿が見

          01. 旭川市 第一市場 "ハレ"としての正月