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花頭窓のある「カフェ グラ」

観光客の多い鎌倉で
こんなにも静かで
まるで実家に帰ったかのようにのびのびとくつろぐ贅沢な時間を過ごせるカフェはそうそうないと思う。

この雰囲気を作り出すのは店主一人。
彼女の献身的ともいえる対応に
訪れるほとんどの人は心動かされ
半分以上の人が、帰るときに自分の食べたお皿がのるお盆を厨房までもっていく姿がそれを物語る。

ありがとう、ゆっくりできました
どこから来たの?

ありがとう
こちらこそありがとう

そんな言葉が飛び交う店内は
カフェにいる人すべてが、心地よくなる空気が流れていく

この古民家カフェをより一層特別な場所にしているのが
花頭窓だ

そもそも窓は機能が重視され
空気の循環と明るさを部屋に取り込むもの。
日本の場合たいていは四角で、
昭和以前の建物なら木枠、それ以降はアルミサッシ
少し風情を感じるとすれば、木枠の窓に模様入りの擦りガラスが入っている窓ぐらいだろうか。

ところが、この花頭窓は機能というより遊び心。
もちろん光は差すし、換気にも役立つ。
そしてそれ以上に、見ている者に
余裕
を思い出させてくれる。

そうそう
思い出させてくれる
という表現がぴったり。

情報にあふれた日常から切り離されたようなこのカフェは
Wi-Fiが弱い
よって自然とここに来るとスマホをバッグから取り出さなくなる

そうしたときに
いつも何か情報を追いかけ、焦ってばかりいる自分に気づく
余裕がない…

そんな状態で冷静な判断などできる訳がなく
仕事や人間関係に影響しているとしても不思議ではないのに
早くしないと…
わけもなく焦る日々をバカバカしく感じる

私たちは機械じゃないから
心に余白があれば、もっと楽に過ごせる
時間がないのは誰かのせいなの?
きっと自分がそうしているだけ

窓一つでこんなことを感じている私に
店主がオーダーを聞きに来る
とびっきりの笑顔つきで話しかけられ
ふと我に返る

このカフェのおやつはすべて店主の手づくり
話しかけられて現実にもどった瞬間に人のやさしさを感じる

ゆったりと時間が流れ
あわただしく過ぎていく日常からいったん離れ、
心の余裕を取り戻させてくれる「カフェ グラ」

自分を見つめる時間を求めて訪れる大好きなカフェ。


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