きみのこと しってるよ ーbosyuキャラクターに物語を授けよう企画vol.3
これは「bosyuのアイコン動物キャラクターに物語をつけて」にご応募くださったユーザーさんが創作したマレーグマの「ぼく」↓の物語です。
きみのこと しってるよ
さくらがヒラヒラと舞う季節に、ぼくに弟が生まれた。
そっと近寄ってゆりかごの中をのぞくと、すやすやと眠っている。
小さなおてて、お豆みたいなお鼻、もちもちのほっぺ。
とてもとても可愛い、ぼくの弟。...ちょっとだけ、さわってみよう。
「うんぎゃーーー!!」
「わあ!」
ぼくがさわると、弟くんが起きちゃった。
「こら!赤ちゃんを起こしちゃだめでしょう!」
弟が泣くと、お母さんが慌ててかけよってきた。
まだ泣いている弟くんを抱っこしているお母さんはいつも忙しそう。
「ねぇ、お母さん」
「ごめんね、赤ちゃんのオムツを替えないと...」
「ねぇねぇ、お母さん」
「ごめんね、もうすぐミルクの時間だから...」
ぼくがどれだけ呼んでも、やっぱりお母さんは忙しい。
「ちぇっ、つまんないの」
ぼくがお気に入りの電車のおもちゃ。
弟くんが大きくなったって、絶対に貸してあげないもん。
今日は幼稚園がおやすみ。
本当はお母さんのはちみつたっぷりのホットケーキが食べたいけれど...
「サッカーでもして遊ぼっと」
サッカーボールを持って家から出ると...あれ?
家の前にある木になにか書いてあるぞ?
どれどれ...見てみよう。
『きみが好きな食べ物はなんでしょう?』
『← オムライス カレー →』
「ぼくはオムライスがだいすき!」
この矢印の方へ歩いて行けばいいのかな?
よし、行ってみよう!
歩いて行くと、またなにかが書いてある。
『きみが好きなお遊びはなんでしょう?』
「サッカーだ!」
『きみが好きなお花はなぁに?』
「チューリップ!」
あれ?このクイズ、ぼくのことばかりだなぁ...。
不思議に思いながら矢印の方へ歩いて行くと、広い野原にたどり着いた。
辺り一面、お花ばかり......ってあれ?
「...お、お母さん...?」
野原を見渡していると、そこにはぼくのお母さんがいた。
「ゴール、おめでとう。さぁ、一緒にお弁当を食べましょう」
すると、お母さんがお弁当のふたを開けた。
たまごやきにウインナー、からあげに...ぼくの大好きなオムライスもある!
「わあ!美味しそう!」
「いっぱい食べてね」
「いただきまーす!!」
ぼくは、夢中で食べた。
どれも美味しくて、オムライスのたまごなんてフワフワだ。
そんなぼくをお母さんは嬉しそうな顔をして見ている。
「いつもありがとうね。今日は2人きりの時間を楽しもう!」
「うん!...そうだ、あのクイズはお母さんが考えたの?」
「さぁ?どうかな?」
お母さんはそう言うと、「おうちに帰ったら、ホットケーキ食べようか」とぼくの頭を撫でながら優しく笑った。
お弁当を食べて、お母さんといっぱい遊んで、おうちに帰る。
お母さんがホットケーキを作っている間に、お父さんが抱っこしている弟くんの顔をのぞきこんだ。
「......やっぱりあのおもちゃ、かしてあげるね」
ぼくの言葉に、弟くんが笑って返してくれたような気がする。
「ホットケーキできたわよ〜」
「はぁい!!」
お母さんに呼ばれて、ぼくは大きな声で返事をした。
はちみつたっぷりのホットケーキ......
「いただきま〜す!!」
この物語の作者
✍️ いちとさん
夫と4人の子供達に囲まれて暮らしています。子供の頃から読書が好きです。書くことも大好きで、自分にとって書くことや言葉とは何なのか日々、模索しています。4人育児をしながら、ライターになる夢を追いかけています。誰かの役に立ち、心に残るようなお仕事がしたいです。
Twitter:@ohirune_BJ
ーー物語を読んで(bosyuさんの感想文)
弟がうまれた「ぼく」の、お兄ちゃんとしての自覚とさみしさが相まったきもちは、私もはるか昔、妹が生まれた時に感じたなぁとくすぐったい気持ちになりながら読み始めました。
そして、物語の全体に溢れる、お母さんクマの愛は、読む人の心をぽかぽかにしてくれます。大人はもちろん、お子さんにも読んで欲しい物語です。
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▼ いちとさんがこの物語の裏話を書いてくれました!
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🐈 bosyuキャラクターに物語を授けよう企画 、ほかの物語
vol.1 悟りを開いたチベットスナキツネ
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