アオアシとアカアシ ーbosyuキャラクターに物語を授けよう企画vol.5
これは「bosyuのアイコン用動物キャラクターに物語をつけて」にご応募くださったユーザーさんが創作した、アオアシカツオドリ↓の物語です。
恋をした
恋をした。
君のその歌声に。
いや、風貌そのものに。
言ってしまえば、年の差はかなりあると思うんだ。とっても幼く見えたから。
そして、君は僕のことを知らない。
だって、まだ僕の姿をお目にかけたことがないんだもの。
でもね、
君の歌声は、隣の島にいたって聞こえてくるんだ。
会って話したい気持ちは、いつもいつも膨らんでる。
これ以上無いってくらい考えてる。
なんで同じ島にいれないんだろう?って考える。
もどかしい。
でも
いいんだ。
きっかけ
きっかけは偶然だった。命がかかっていたかもしれない。
いつものようにイワシをとりにでかけてた。
急に潮の流れが速くなって流された。
気がついたら、知らない海岸線。
頭の中をグルグル回転させると、ここはたぶん隣の島だなって思えた。
そしたら聞こえたんだ。いつも夕方に聞こえてた歌が。
いつもおかしいと思ってた。
島のどこを探したって、こんなきれいな歌声の持ち主はいない。
毎日毎日探してた。
毎日聞こえるのに。
毎日いろんな鳥の歌に耳をすましたのに。
いなかった。
でも
いた。うそじゃなかった。
溺れそうになりながら、歌声の元を探した。
赤い足の凛とした子がそこにいた。
戻る
シュゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
また潮に流された。
気がついたら、砂浜に打ち上げられてた。
仲のいいピースケが目の前にいる。
おお!意識取り戻したぞ!青い足をバタつかせながら騒いでる。
戻ってきたんだ。
ホッとしたと同時に、頭の中で赤い足の子のことがちらついた。
夢だったのか?
調子が戻ってきたら、ピースケがイワシを持ってきてくれた。普段はこんなことしないやつなのに。
ありがとう。
まくしたてて話してくる。
イワシとりに行ったら打ち上げられててびっくりしただの、
びっくりしすぎてイワシがのどにつまっただの、
頭と首が同じ太さになっちゃったよ、だの。
いや、もとから同じ太さだよ。
次の日、散歩した。
また
聞こえてきた。あの歌声。
ああ
ああ
あれはホントだったんだ。
夢じゃなかった。
僕も
それからというもの、僕も歌うようになった。
風は向かい風。
僕の声は君には届かないよね。
それでもいい。
君の声に、元気をもらっている自分がいるんだ。
その証明なんだ。
ダンスだってするさ。たとえ披露できなくても。
おとなになった
僕はおとなになった。
もう隣の島に飛んでいける。
週に1回ぐらい、ピースケと一緒に飛んでいく。
気持ちがいい。
ピースケの友達と話している時、ふと赤い足の子が目の前を通った。
なにかキラキラしたものを感じた。何だっただろう。
海岸を歩いていたら、声をかけられた。
「ねぇ、あなたの声聞いたことがある」
それを聞いて
「僕も君の声を聞いたことがある」
ととっさに返してた。
え
いまなんて言った?
「聞いたことがある」?
それから、赤い足の鳥は海を超えて届く不思議な歌のことを話してくれた。
いつも聞こえてたわけじゃない。
でも、ふと気がつくと聴こえていたんだって。
届かないと思っていた歌が届いてた。
なぜか無性に
泣きたくなった。
えんえん泣いてしまい、心配もされてしまった。
届いてたんだ。
向かい風でも届いてた。
嬉しかった。
赤い足の子も泣いていた。
会いたかったって。
僕たちの歌は、重なっていたんだ。
この物語の作者
✍️ サンチェスさん
本業はライター。レビュー記事やセールスコピーをメインに書いています。ソーセージが好きすぎてドイツに住み始めました。基本的に書くことが好き。物語は初挑戦です。声に恋してみました。
サンチェスさんのnote
ーー物語を読んで(bosyuさんの感想文)
アオアシカツオドリが「声」に恋をしてしまう、想像がふくらむ素敵な物語😳 こんな風な特別な恋、してみたかった…と思ってしまいました。
ぜひ、アオアシカツオドリを画像検索してからもう一度読んでほしいのですが、イラストの通り水色に近いきれいなブルーの足が印象的なんです。実物をみて、イラストを見て、また物語を読むとぐっとアオアシカツオドリの様子をイメージしながら読むことができますよ。
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