自称農家が教えるキンミヤ金柑酒

限りある人生の日々を労働に費やしてしまっているみなさま。
今日はみなさまに美味しく楽しい金柑酒のレシピをお教え致します。

・用意するもの

① 金柑(好きなだけ)
② 氷砂糖(好きなだけ)
③ キンミヤ焼酎(好きなだけ)
④ ガラスびん(満足するサイズ)

・作り方

① 金柑をごっしりと洗う。
② ヘタをしっかりと除く。
③ 金柑の水気を吹き飛ばし、フォークで実に穴を空ける。
④ あらかじめ焼酎で洗ったガラスびんに氷砂糖と金柑を交互につめる。
⑤ キンミヤ焼酎を優しく注ぐ。
⑥ 蓋をしっかり締めて三ヶ月まつ。

・実際にやってみた

これが今回用意した材料。金柑は裏庭に自生している木に成っていたものです。
去年亡くなった祖父が植えたものらしいですが、真相はとうにわかりません。
キンミヤと氷砂糖は近所の酒専門スーパーで購入しました。

金柑をしっかりと洗います。
市販のものはワックスがけされている場合もあるので、念入りに。
見た目を良くしようとワックスで決め込むのは人も果実も変わりません。
みなさまの中にも灰色の青春を送った方がいるでしょう。
ワックスなどつけてたまるかと意地になってボサボサ頭を斜めに傾け歩いた方もいるでしょう。寝癖のついたまま授業を受けるあいつ。角刈りとツーブロックの悪いところを合わせたこいつ。お前その床屋はやめたほうがいいぞと何度言おうと思ったことか。
胸に去来する(無為に)去りし黄金の日々の記憶。
今、万感の思いを込め、金柑の洗浄に全てを。

よく考えると用意した金柑はワックスどころか農薬不使用なので、雑洗いで良かったですね。

金柑の洗浄が終わったら、ひとつずつ丁寧にヘタをほじほじします。
ヘタがついたまま漬け込んでしまうと、分離したヘタが酒に浮かんでしまい、見た目によろしくない。ヘタから雑味が出てしまう気もします。気も。

ヘタを取り除く際は、必ず竹串やフォークなどを用いるようにしましょう。
しばらく親指でほじほじしましたが、うまくとれず、根本が残ってしまったり、皮が剥がれてしまうこともありました。

というか指ですると爪が割れます。爪と指の間が傷つきメチャクチャ染みます。すっごく痛い。どうして金柑酒を作るだけなのにこんな目に遭わなくちゃいけないのですか。
新卒で入った会社を半年で辞めたから? 
同年代が社会で傷つき、もがき、苦しみながらも戦っているのを横目に、のうのうと生きているから? 
その痛み苦しみが親指の染み? マジ? 
すまん仕事やめてよかったわ。

気を取り直してヘタを剥きます。


皮を傷つけないように。

傷つけないように──。

ビビって根本残すな!


このように美しく優雅にヘタを剥きましょう。
よろしいですか? 思いやりと慈しむ心、物事を冷静に捉えさえすれば、残りの金柑も瞬く間にシティボーイとなるでしょう。


まぁ、人には向き不向きがありますからね。剥きだけにね。
ヘタがあろうとなかろうと、金柑は金柑です。本質を見違ってはいけません。
むしろそう、少しくらい苦味がある方が、文字通り味があるってものじゃないですか? 温室育ちのボンボンよりも、ゴミ捨て場に置かれているジャンプを盗んで後輩に売りつけるような奴のほうが面白おかしい人生を歩んでいそうじゃないですか? 

みなさまはしっかりとヘタは取りましょう。



続けて金柑に穴を空けていきます。
竹串などで刺してもいいですが、フォークの方が簡単かつ早いです。


金柑の下準備が終わったら、びんに詰めていきます。
氷砂糖と金柑が相互に層になるよう、少しずつ入れましょう。
写真の様子はご察しの通りです。飽きました。

話は変わりますが。
氷砂糖といえば、ずっと氷菓子の一種だと思っていました。
シャーベットやかき氷の仲間で、いったいどれだけ美味しいのだろうかと。
あの見た目ですよ? どう考えても甘い氷じゃないですか。
硬くて、冷たくて、甘い。
口の中でころころと揺らして、そのひんやり感と優しい甘さを楽しむお菓子だと思うじゃないですか。
まさかあんなにジャリジャリしたものだと思わないじゃないですか。氷というより押し固めた砂ですよ。砂岩ですよ。しかも甘い。
まぁ嫌いじゃないんですけど。


さて、なんやかんやで最終工程の酒注入です。酒はいりまぁ~す。
果実酒といえばホワイトリカー。ホワイトリカーといえば果実酒、といったイメージですが、最近は様々な焼酎を使って、好きなフレーバーを楽しむのが流行っているそうです。
個人的に安い焼酎で旨いものならキンミヤだという宗教に入っておりますので、今回はキンミヤで作りました。

・さいご

あとはしっかりと蓋を締めて、冷暗所において三ヶ月待つだけです。
そこの、疲れ果てて「あ、死にてえな」と思っている方。
ぜひ果実酒を作るべきです。果実酒が美味しく飲めるようになるには、数ヶ月かかります。自分で作ったお酒なんですから、飲まずに死ぬのは勿体無い。それからのことは、飲んでから決めたらいいんじゃないですか?


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