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第76回日本食道学会総会参加した

都内某所でやってる日本食道学会総会行ってきた。

まず開会式で島田英昭会長より「私はいつまでもコロナコロナ言ってても仕方ないと思っている。正常化を進めていかなくてはならない。今回は批判は覚悟の上で準備を進めてきた。特に上級演題の司会、演者の皆さんには現地参加をお願いした」との力強いお言葉いただいた。

外科だけでなく、内視鏡医、腫瘍内科医、放射線科、病理も参加する横断的な学会だけど、まあマイナーな集まりである。現地参加でワイワイやってなんぼだろと思う。

ここ20年ほど大した進歩のなかった食道癌だけど、去年からATTRACTION3、JCOG1109、CHECKMATE648などの画期的な臨床研究が世に出たことで、ガイドラインが大きく書き換えられることになった。そして活発な議論が繰り広げられて楽しい会だった。

新しい知見を得るのは単純に楽しい。そういう知的な満足感を得るためにこれまで一生懸命勉強してきたんだもんね。

さりとてそれらの知見が社会にとっていいとは限らないことも今の私は知ってしまっている。近年の治療成績の改善の多くには、免疫チェックポイント阻害剤とかいうクソ高いお薬が寄与している。複雑な心境だ。

イヴァン・イリイチは、医療機構が人々の健康の脅威になりつつあると予言したが、この2年半の経験で、その予言がさほど間違ってはいないと知った。

この複雑な感情を抱えたまま、いつまでこの仕事を続けられるのかわからないが、どうにかこうにかやっていくしかないなあと思いつつ帰路についたのであった。

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