令和三年度2QGDP速報値雑感
先日発表された第2四半期GDP速報値がかなりのがっかりだった模様。
数字の中身の細かいところは飯田先生の記事を参考にしていただきたい。プロの解説はとても勉強になる。
まあがっかりな数字が出ることはある程度は想定されていたと思う。しかし日経のこの記事にあるように、海外との比較ががっかり感に拍車をかけているのであろう。
世界の景色は異なる。同じ7~9月期の成長率はユーロ圏が9.1%、米国が2.0%だった。ワクチン接種証明の活用などでサービス業を含む経済の正常化が進んだ結果だ。GDPの実額も米国は4~6月期に既にコロナ前の水準を回復し、ユーロ圏は7~9月期に99.5%まで戻った。
ワクチンパスポートがどれほど役に立ってるか疑わしいにしても、欧米に置いていかれていること今や明白である。
感染症による犠牲をある程度許容して経済活動を再開している国々と差がでるのは残念ながら当然である。ワクチンパスポートなんかじゃなくて、本質はここだろう。
そして、GDP成長率にして数%の差は、マクロではかなりの数の人々の生活に影響する。自裁するところまで追い詰められないとしても、結婚できないし子供を持てないという水準に追い込まれる人は少なくないであろう。
この記事に書いたように、経済的要因で子供を持てなかった人々は政府が少子化対策をしようとしても反対するだろう。有効な対策を打てず、元々低かった出生率はさらに低下していく。
でも我々の社会はそうなることを選択してしまったのだから受け入れるほかない。なにかを得るためには何かを失わなくてはならないのだ。フリーランチはない。
日本の景気回復が遅れている要因は他にもある。2018年には景気後退が始まっていたと考えられるが、日本は2019年10月に消費税の増税をしてしまっている。したがって2018年から2019年初頭の水準に戻るのはかなりハードルが高いと思われる。
以前の私なら失政だなんだと批判していただろう。今はちがう。
エッセンシャルな分野(楽しくないし低賃金な分野)に労働力を動員するには需要を引き締めなければならないし、そのために消費税が利用されただけのことである。
ダイレクトな現役世代からの収奪である社会保険料よりは消費税のほうがややマシといえなくもない。
すでに懲罰的な水準となっている社会保険料を増やすくらいなら消費税を上げてくれと言いたくなるのも理解できなくはない。
なお消費税を増税したら社会保険料は上がらないとは誰も言っていないことにも留意されたい。
個人的には、生きている間にこういう傾向は変わらないと諦めている。子供の代でも無理だろう。孫の時代には変わっているかもしれないが、まず孫がちゃんと誕生するように私ががんばらないといけないと思うのであった。
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