『閃光のハサウェイ』みてきたよ
ようやっと『閃光のハサウェイ』みてきた。全体としては良くできた小品という感じである。非常に面白くて続きが見たいと素直に思えた。
そもそもであるが、数あるガンダム作品群の中で正典と認められているものは少なく、ファーストガンダム(一年戦争)、Zガンダム(グリプス戦役)、逆襲のシャア(第二次ネオ・ジオン抗争)くらいである。ファーストガンダムの劇場版も加えてよいが、Zガンダムのデジタルリマスターは微妙なところである。ZZガンダムはもっと微妙。あとは知らんて感じである。
本作の主人公であるハサウェイ・ノアの父ブライト・ノアは、一年戦争、グリプス戦役、第二次ネオ・ジオン抗争を最前線で戦った英雄である。母ミライ・ヤシマは一年戦争をブライトとともに戦った。実家は地球連邦政府の大物という設定である。つまりハサウェイはサラブレッドなのである。
ハサウェイはZガンダムでちびっこ役で登場し、母ミライとともに無駄に誘拐されている。
本格デビューは逆襲のシャアであり、甘ったれのクソガキとして大活躍している。
本作の原作の小説は、『逆襲のシャア』と同じ頃に発表されているが、読んだことはない。もしかしたら『ベルトーチカ・チルドレン』と混同しているかもしれない。
本作の舞台は第二次ネオ・ジオン構想の12年後であるが、逆襲のシャア公開から現実世界ではもう30年以上が経過している。
当時は私はまだ小学生だった。ずいぶん歳をとったものだが、ハサウェイ・ノアもそれくらいは成長していた。
かつてのどうしようもないクソガキが大人になっているというのが嬉しかった。アムロ・レイが第二次ネオ・ジオン抗争で死んでいなかったらこうあってほしいというキャラになっていた。彼がシャアに言った「貴様ほど急ぎ過ぎもしなければ、人類に絶望してもいない」という言葉通りにハサウェイは進んでいるようにみえる。
作中何度も逆襲のシャアにおけるハサウェイのファム・ファタールであったクエス・パラヤがフラッシュバックする。そしてもちろんこれは富野由悠季の作品であるから代役も登場する。コードギアスのCCみたいな女の子である。宇宙船で邂逅するのがクエスっぽくもあるし、さる要人の愛人という設定はララァ・スンのようでもある。
ただし、上述のようにハサウェイは良い家柄であるし、クエスの父親も連邦政府高官であった。CCとは違う。あるいはハサウェイの敵役ケネス・スレッグとも。
作中ではハサウェイと、CCやケネスの間に線が引かれていることを示唆する場面が何度もある。アムロ・レイは「革命はいつもインテリが始める」と言ったが、明らかにハサウェイはインテリの側の人間であり、他の二人とは一線を画している。
モビルスーツは丁寧に描かれていた。市街地での格闘は特にかっこよかった。丁寧にリアリティを演出するのは、明らかにMSGイグルーからの流れであろう。
また市街地での格闘で、一般人にも被害が出るところをかなりマメに描いているのはマーベルの影響であろうか。
ただし、ガンダムのデザインは好きになれなかった。スターダストメモリー以降のゴチャゴチャと装飾品の多いガンダムは嫌いである。まあ好みの問題なのだが。
その他、オープニングはセリフ大杉でややゲンナリしたとか、細かいところでは文句を言いたくなるシーンもあったが、作品全体には大変満足している。
こうしてサーガが続き、質の高い新作が公開されるのは嬉しいことである。特に本作のようにキャラクターがちゃんと成長しているときには。