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『さらば、わが愛/覇王別姫 4K』みた

公開30周年、レスリー・チャン没後20年てことで、中国映画の金字塔『さらば、わが愛/覇王別姫 』の4kリマスターが公開されているので観たのである。

京劇の男役のチャン・フォンイーと女形のレスリー・チャンが、くっついたり離れたりするという物語の構造である。レスリー・チャンは舞台上でのパートナー以上の関係を求めるが、チャン・フォンイーのほうは普通に結婚したりして、、、

そこに、作中で繰り返し演じられる演目『覇王別姫』のストーリーが重なってくる。覇王とは項羽であり、姫とは虞美人のことである。虞美人は項羽と最後まで苦楽を共にし、いわゆる四面楚歌の情況において自害しを全うする。

また辛亥革命、日中戦争、国共内戦、文化大革命といった中国現代史の荒波に翻弄される一大叙事詩となっている。

さらに現在の我々はレスリー・チャンもまた自害したことを知っており、その狂おしいまでの妖艶さに涙してしまうのであった。

チャン・フォンイーの妻を演じるのはいまや世界的な女優となったコン・リー。このころすでに大女優の風格を漂わせており、クライマックスの文革に向けて重要な役割を演じた。

そのクライマックスでは、人間は現実の情況に強いられたら簡単に信念も感情も捨ててしまうってことがよくわかる。この3年強、東アジアではたくさんみられたことだ。紅衛兵に吊るし上げられたら、なおさら容易に大切なものも投げ捨てるだろう。

監督のチェン・カイコーは、よほど共産党のことが嫌いのようで、日本軍と比較して貶めるようなことまでしている。

本作は中国、香港、台湾の合作なのだが、今の中国や香港なら作れないだろうなあ。


レスリー・チャンが故人であることを除けば、25年前に初めて観たときとほぼ感想は変わらない。中国第4世代の最高傑作であり、中国語の映画で最も好きな作品の一つだ。

KADOKAWAさんありがとう。


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はむっち@ケンブリッジ英検
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