本田健『大富豪からの手紙』聴いてみた
先日仲の良い上司と飲みに行ったときに強く勧められた本である。最近ちょっと意識高まりすぎてて、もうしばらく自己啓発本はいいかなってなって思っていたところだなのだが。
しかし話のネタにはなるだろうし、けっこう売れた本らしいし、そもそもAudibleのコイン余ってることだし、まあ物は試しということでライブラリーに追加したのであった。
大富豪だった祖父からの手紙を受け取った大学生がそれをもとに行動していくというストーリーだ。この手の本がストーリー仕立てになるとご都合主義になりがちなのだが、本書も例外ではない。そしてそのこと自体はさしたる問題ではなくて説得力があればいいのだ。
重要なメッセージの一つは、人生において起こったことはすべて意味があるというものだ。良いことであれ悪いことであれ幸せにつながりうる。もちろんそのためには幸せになりたいと真剣に願う必要がある。でないと行動がついてこない。まあそこがいちばん難しいのだが。。。
というようなことをふまえて、第7章「失敗」はとても感銘をうけた。成功者でも7割くらいは失敗してへこんでいる時間だ。たいていの人間はそれが耐えられないので途中でやめちゃうんだよね。楽天家じゃないと無理なんだろう。失敗もふくめて自分の運命として受け止めつつ、切り開いていける男が成功できるのだ。つまり意識高くないとダメってことかな。
もうひとつはお金との向き合いかたで、お金との距離感が大事である。いいかえると器よりも大きすぎるお金を手にすると重荷になるということらしい。重荷になるほどのお金はなかなか手に入らないんだけど、、、という根本的な問題はおいといて、器を大きくするにはたくさんの人間を幸せにすることらしい。
それはたしかに理解できる。自分が生み出した幸せの総量がある閾値を超えると、指数関数的にお金が転がり込んでくるだろう。
そしてそのお金を手に入れるための仕事は誰かの幸せのためにするものだ。結果としてお金が入ってくる。自分が夢中になれることを探すのが人生の面白さでもある。なかでも自分の得意なこと、才能を活かせることが天職になる。世界は君の才能が開花するのを待っている。。。まあこの辺は普通ですね。
しかしブルーカラー労働は汗の量り売りでありお金持ちになるのは難しい、医師や弁護士などホワイトカラーでも本質的には同じなどと言い出してびっくりした。いやまあ私自身勤務医であってそれはよくわかるんだけども。さらには、事業をたちあげて小さなビジネスオーナーが一番幸せとか、資産運用は資産の選び方が重要などお金めっちゃ大好きな発言まで飛び出すのであった。
著者の中では、さっきのお金との付き合い方や距離感が大事という意見と矛盾なく一本筋が通っているのだろうが、、、私にはよくわからなかった。
そうかと思うと、第8章では急にブータンを訪ねて、この国の人達は豊かではないが日々幸せに暮らしているとかいう展開になってさらに混乱するのであった。さっきのブルーカラー蔑視発言はなんだったのか。
全体的に内容は易しいので2倍速で聴ける。もっと速くてもいけたかもしれない。ところどころ混乱させられるがそれは二倍速で聴いたからだろう。さすがベストセラーだけあって、二倍速でも随所にはっとする名言が散りばめられているのが良かった。