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『三体Ⅲ死神永生』読了した
アジア人初のヒューゴ賞受賞作品『三体』の最終巻ようやっと読み終わった。
一作目の最初の方のドキドキはとっくの昔になくなっている。
二作目で三体世界との和解がいったん成立しているというのもあるが、一作目のドキドキ感が圧倒的だったのが大きい。あの緊張感を持続させるのは並大抵のことではないと思う。
それでも最後まで面白く読ませてもらった。
三体世界との和解が成立したあとも、話は二転三転していくのだが、そこで問題になるのは、未来が無くなっていくときにいかに現在を生きるかということだ。
可能性が極めて低くても未来が残るほうに賭けるのか、無気力になるのか、あるいはいま現在の快楽に耽るのか、色々な生き方があると思う。
もちろん私達が現実に生きている世界は、三体世界や暗黒森林の驚異に晒されているわけではないから、そんな思考は空想の域を出ないのかもしれない。
しかし本作で提示された世界観のいくつかは現代的なimplicationがあるように思われる。
例えば、執剣者=ソードホルダーが決定的な選択をできるか否か、つまり、いま生きている人々の寿命を縮めても、地球世界の未来が残る選択をとれるかどうか、という問題である。いま生きている人間を死なせるという選択はサピエンスにとっては非情極まりない。未来を犠牲にするほうがはるかに簡単だ。
だが同時に、未来を犠牲にして成り立つ現在にどれほど意味があるのか?という問いを突きつけられることになる。
私はこういう問題意識に支えられて最後まで読んでしまったというわけである。
後は映像化がどうなるかが気になるところだ。
どんなふうに映像化されるのか、想像するだけで楽しくなってしまうのであった。
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