見出し画像

都知事選、ワクチン、優生保護法

今年7月の都知事選のこと皆さんまだ覚えていますか。愛、覚えていますか。

石丸伸二氏の躍進、蓮舫氏のバーサカー化、暇空茜氏の大健闘、安野貴博夫妻の清廉さなどなど、話題豊富でしたね。

そして一部で話題だったのが内海聡氏の大善戦である。

組織的な選挙戦を展開しているとの情報はあったが、12万票って、、、安野氏と暇空氏の間である。

内海聡氏は自らキチガ医を名乗り、反標準医療(反医療ではない)、反ワクチンの急先鋒である。もっとはっきり言えば、陰謀論丸出しの怪しい人だ。まともな医者には全く相手にされていない。

うーん、相変わらずなんですね。。。

だからこの集票力にはやや驚いたのだが、それほどおかしなことでもないとも思われたのである。

なんせ、今回のコロナ騒動において、反反ワクチンの人達のお行儀が悪すぎたし、誠実さのかけらもないお医者さんたちも多かったからである。

コロナワクチンのリスクベネフィットのバランスを疑問視する穏当な異議申立てをも、十把一絡げに非難するお医者さんたちいっぱいいたよね。

現役世代にとってはちょっと強めの風邪にすぎないコロナのために、わずかとはいえリスクのある(あるいはリスクが未確定の)ワクチンを射つのは、割に合わないのではないかという冷静な意見にまで発狂して罵詈雑言なげつけてた、頭と性格の悪いお医者さんいっぱいいたよね。

そしたら態度を硬化させて、内海聡氏のようなマジモンの陰謀論者になびいてしまう人も相当数でてくるわけである

ここで陰謀論とかいうよろしくないレッテル貼りをしてしまってるのだが、そういう空気を読まないというか、空気に逆らう人が正しいこともしばしばあるってことは指摘しておきたい。

空気を読んでいるだけ、時流に乗っているだけの人間は、頭を使っていないから、大間違いをやらかすこともあるのだ。

例えば、ワクチンに関連する事項として、優生思想がある。

ワクチンと優生思想がうっすらつながっていたことを知ったのは、『自由の国と感染症』の翻訳をしていたときである。

本書は、ローラ・リトルという筋金入りの反ワクを取り上げているのだが、注目すべきは以下のくだりである。

1906年から1909年にかけて、リトルは天然痘ワクチンの危険について講演するために各地を回り、1909年にはミネアポリスを離れてオレゴン州のポートランドを終生の住処とした。ここで彼女は二つの重要な活動を指揮している。一つは、強制的不妊手術についての州法の可決を阻止したことである。ワクチン接種に関するリトルの立場への賛否はともかくとして、同じ政治的イデオロギーと科学的信念を根拠として、強制的ワクチン接種に反対し、犯罪者や精神的に「不適格」な者に対する強制的不妊手術の法律に反対したことは強調されるべきであろう。1900年代初頭においては、強制不妊手術法や優生学に基づいた法律は珍しくなかったが、反ワクチン主義に奉じた人々が、このようなおぞましい法律に抗議した数少ない人々の中にいたことは注目に値する。

自由の国と感染症』114頁

この人たちは当時はきっと鼻つまみ者だったのだろうが、それでも優生主義思想にちゃんと反発したのである。

ここから先は

1,365字
この記事のみ ¥ 200

サポートは執筆活動に使わせていただきます。