NY家族旅行でジャズバー(2日目)
旅行2日目。この日のタスクはアメリカンなダイナーで朝食をとる。MOMAで芸術鑑賞をする。お洒落してジャズバーに行く。以上の3点。
最初のタスクであるアメリカンなダイナーにはお目当てがあって34stの「スカイライトダイナー」。大江千里絶賛のお店だ。
俺はメニューを見てワンプレートものを選んだ。選択肢を狭め英語のやりとりを極力排除する。メキシコ風のプレートだった。お嫁さんはパンケーキに卵とベーコン。母はオムレツとジャガイモの何か。お嫁さんは店員さんと焼き方がどうとか話してる。すごい。
うまかった。そして量が多い。俺は母が残す分も食べる。はらいっぱい。うんこが出るかどうかが、この旅の勝負の分かれ目になりそうだ。
お嫁さんから分けてもらったカリカリのベーコンが一番うまかった。
ダイナーからMOMAへの移動には地下鉄を使った。7日間乗り放題のメトロカードを購入。ニューヨークの地下鉄は分かりやすい。歩きと地下鉄が移動の主戦になるとガイドブックに書いてあった。
しかし我々には休日ダイヤルや各停/急行の存在が難しく、地下鉄を利用するとき最後までスリルを味わった。特に母にとっては改札が鬼門。メトロカードをうまく機械に通せない。俺は「磁気部をシュッと勢いよくリーダーに通すんだよ」とアドバイスをするが、改札は何度もエラー音で母に応える。
俺は母の苦闘にバイト先のレジ打ち業務を思い出す。レジを打つ俺から見て、お客さんの風体が50歳を越えてくると、もうTカードを通すのが怪しい印象だ。母は75才。健脚で若作りだがしっかりとおばあちゃんだ。
MOMAの前には長い列。入国の際の二時間待ちを思い出す。しかし今回はサクサク進む。ほどなく入館。すばらしい。10m×10m(見当)の巨大CGに出迎えられる。色彩が生まれて消えてくんずほぐれつうねることを繰り返す。
この旅では美術館を2か所回る予定。MOMAとメトロポリタン美術館。両館とも1回で見切れる分量ではないとお嫁さんの言う。
その割にこの日はMOMAを一通り見た感触を得た。ペース配分がうまくいった。名作名画が数多く展示されているわけだが、ゴッホの星月夜は別として(人気)、気になった絵にはまっすぐアプローチして、足を止めて眺めることもできた。旅行前に母と行った国立西洋美術館のキュビズム展とかぶっていた(あたりまえ)。作品だと思って眺めた白い小さな箱が空調のスイッチボックスだったことには、芸術と非芸術の境界を揺さぶられる心地がした。
最後にCGのくんずほぐれつをこってりと見てMOMAを出た。コレ面白い。
この旅行は拠点をホテルに構え連泊してニューヨークを巡る作戦。ホテルはシェラトン・ニューヨーク・タイムズスクエア。MOMAとはほとんどお隣同士。一度ホテルに戻ってからお昼寝してジャズバーに向かった。美術館って疲れるよね。
ジャズバー「ディジーズクラブ」はセントラルパークの南西角っこに面したタイムワーナーセンタービルの5階にある。140席。本格的な料理も楽しめるという。
19:00開演30分前に我々は席に着く。18:00から入場可だから早く入ってお料理も楽しめるよとガイドブックに載っていた。19:00は出遅れた感がある。それでもドリンクだけではなく料理も注文。オマールエビのスープ、カニのタルタルディップ、ビーガンジャンバラヤ、フライドチキン。俺はパイントを飲んだ。円安で何でもお高いニューヨークであるが、クラフトビールだけは日本と同じ値段で飲める。うまかった。
店内は綺麗で雰囲気があり本場のジャズバンドは上手だった。彼らは夜景を背に演奏した。リーダーのピアノと若手のトランペット、ベテランのサックスと超ベテランのトロンボーン。あとベースとドラムの構成。超ベテランのトロンボーンは立ち姿でジャズだった。はちきれんばかりのお腹と白髪の頭にちょこんと乗ったハンチング。
一曲目のA列車で行こう(的な何か)のピアノソロにぐっと来た。俺が好きなフィッシュマンズのひこうきのギターソロみたいだった。あとは時間が経つにつれアルコールと一日の疲れで、目をしぱしぱさせた。
これまでの旅の中で一番のニューヨークを感じた。
帰りにタイムワーナーセンタービル地下階にあるホールフーズマーケットを冷やかしてからホテルに戻って寝た。
マーケットには、お嫁さんと母がお土産にと思っているチョコブラウニーは売っていなかった。俺がケツプリオに頼まれているウィスキーも売っていなかった。どこかで手に入れなければならぬ。