山崎八段竜王戦挑戦者決定3番勝負進出
山ちゃんが1組優勝のながせ軍曹を破り竜王戦挑戦者決定3番勝負に進出した。この挑決3番勝負は格と賞金から、タイトル挑戦に準じるものとされ、次点がつく。山ちゃんは10年前にもこの3番勝負に出ているので、これで次点が2つとなり、タイトル挑戦回数に1が加算されることに。結果、山ちゃんのタイトル挑戦回数は1から2となった。めざせ獲得。ちなみに獲得も叡王戦優勝で一つ次点を持っている。
この挑決3番勝負で山ちゃんに対するのは、2組優勝のひろせ八段を破った1組2位のあまぴこ九段。山ちゃん、あまぴこは共に評価値ディストピアに抗うことを宣言したレジスタンス棋士なので、善悪を超えた終盤の泥仕合が期待される。
3番勝負第一局は振り駒の結果、山ちゃんの先手。あまぴこ九段はかつてのエース戦法横歩取りをここで投入、やまちゃんも負けじと、新山崎流で対抗。97手で山ちゃんの勝ち。竜王挑戦に王手とする。
第2局はあまぴこ九段の先手。山ちゃんがパックマンを仕掛けて、あまぴこ九段も受けて立つ。早々に山ちゃん趣向の作戦が瓦解、43手の短手数であまぴこ九段が勝利。決着を次戦に持ち越す。
決着局となる第3局。先後は改めて振り駒で決め直し。結果、山ちゃんの先手となる。将棋はあまぴこ九段が飛車を振っての対抗形に。盤上右辺の押し合いは山ちゃんが制して優位を築くも、あまぴこ九段が上手く玉頭戦にもちこみ戦局は混沌としたものに。期待の泥仕合。二転三転した将棋は171手の激戦の末、山ちゃんの勝利。ふじい竜王・人外への挑戦を決めた。
竜王戦開幕局は、はぶさんーなべ戦の記憶が色濃いパリで行われた。振り駒の結果、先手はふじい竜王・人外。将棋は角換わり。ふじいくんの腰掛け銀に、やまちゃんは座布団飛車で対する。中盤の入り口で、山ちゃんにうっかりがあり、純粋な銀損になる。二日目の午前中に投了。「セーヌ河に身を投げて死んでしまいたい」と山ちゃんは敗戦の弁を残す。
二局目の対局場は、ふじい竜王・人外のお膝元、愛知県の万松寺。先手は山ちゃんで、将棋は相掛かりの力戦型に。抑え込みを図る山ちゃんに、うっかりがあり、早々に竜を作られる。二日目の午前中に投了。「万松寺さんに葬ってもらいたい。相手以前(に自分から負けてる)。ふじい竜王・人外の強さを感じてみたい」と敗戦の弁を残す。
三局目の対局場は、山ちゃんのお膝元、広島将棋センター(跡地)。後手番のやまちゃんは、ここで一手損角換わりを投入。ワールド全開で手損は10手まで広がるも、AIによる評価値は互角のまま推移する。終盤のたたき合いで最後に抜け出したのは、山ちゃん。「最後の29手詰めは見事でしたね?」とマイクを向けられ「あれは僕じゃなくて村山先生が指していたんです」
四局目の対局場は指宿、白水館。砂風呂からささきゆうき七段がリポート。「もう、将棋って何なんですかね」 敗着なき敗戦。ふじい竜王・人外の会心譜。山ちゃん自身は「ふじい竜王・人外の強さを感じられるところまで、やっとこられました」と敗戦の弁を残す。ふじい竜王・人外はこれで3勝とタイトル防衛に王手をかける。
五局目の対局場は、ホテル三日月竜宮亭。後手の山ちゃんは、角道を止めて、陽動振り飛車の構えから、右玉。千日手含みの待機戦術に、ふじいくんが打開を目指すも、持ち時間を使い、先に1分将棋に。大駒を切って山ちゃんの王様に攻めかかる。裸になった山ちゃん玉はふらふらと中段に逃げ出して小駒だけでは捕まらない形になる。ふじいくんの投了。山ちゃんはふじい玉に一度も王手をかけることなく勝つことになった。感想戦で、ふじいくんから自王への攻め筋を何通りも披露され、どの筋も有力だっと結論。「弱すぎます」と勝って自虐に走る山ちゃんに、今シリーズで一番の笑顔。
六局目の対局場は、天童市の舞鶴山山頂で人間将棋。不動駒がある中、山ちゃん玉を詰ましたふじい竜王・人外が反則負け。「反則負けになっちゃうんですか?!」とは、負けたふじいくんの弁。勝った山ちゃんは「僕は知ってました」
決着局、第七局の対局場は、鶴巻温泉、元湯・陣屋。振り駒の結果、山ちゃんの先手に。将棋は相掛かりの浮き飛車棒銀。即興的なちょい悪戦術に、ふじいくんの羅針盤に狂いが生じる。将棋飯に木こり風ハンバーグを注文する始末。その時「木こり風は、キノコが入ってますよ」とふじいくんを押しとどめたのが、山ちゃん。ふじい竜王・人外は、きのこを食べると、体が大きくなってブロックが壊せるようになる代わりに、正座がきつくなってしまうのだ。あと、味と歯ごたえも嫌い。
「なぜ、そんな敵に塩を送るようなことを?」
「いや、黙っておくかどうか、迷ったんですけど…」
「負けました」
「え?!投了ですか?!」
「違いますよ。将棋を続けましょう」
131手にて、ふじい竜王・人外が投了。やまちゃん、初タイトル竜王位戴冠。おめでとう。
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