ADHD/双極性障害ぼす子の実験記①
ADHDの診断を受けて10年。
双極性障害に至っては、いつからいるのか分からない。
気が付いたら、診断書のところにしれっといた。
治療してるのに病名が増える謎。
そんな中で、「治療」と思ってると辛いので、「実験」だと思うことにした。
「実験」なら、失敗しても仕方ない。何が失敗の要因か考えてやり直すなり、別のアプローチを考えるなりを重ねて、やっとこさ成功するのが実験だろうから。研究者の皆さんの諦めないハートは本当にすごい。
しかし「治療」だと、改善されなかった時の絶望感が酷い。
特に私のように、昔は健康優良児そのもので、薬なんてお腹痛くなった時に正露丸を飲む程度だった人間は、「薬を飲んでも良くならない」ということがなかなか受け入れられない。
10年やっても「この薬でもダメだった」という絶望に毎回襲われる。
そこで、無理やりにでも「実験だ」と思うことにした。
発達や精神の分野は、そもそも「脳」が完全に解明されていない以上、「患者の何割かに効果があるとされている」ことを実験していくしかないのだと思う。精神科で貰う薬にはよく「元々は別の治療薬だが、うつ病にも効果があった例がある」みたいな薬が出て来る。
ロボトミー手術なんて恐ろしいものが、割と近年まで行われていたぐらいだから、常に手探りで試行錯誤して、常識や正道が時とともに変わるのだろう。
(ロボトミー手術は、ショッキングな内容や画像が出て来るので、苦手な方は検索しないでくださいね)
※という個人的な考えに基づき、なおかつ「あまり重たくならないように書きたい」という考えの元で書いていきます。ふざけてるわけでも、軽んじてるわけでもないことをご了承ください。
また、あくまで「私の」実験記録であり、全ての方に当てはまるわけではありません。億人億色の症状と対策がありますので、一例にしか過ぎません。※
※「現在飲んでいるおくすり」と「過去の失敗例」は、興味がなければ読み飛ばしていただき、「トドメの一撃」あたりからお読みください※
現在飲んでいるおくすり
ストラテラ:40×2mg(ADHDのお薬の代表格。効き始めるまでに数週間かかる。今ではもう効果があるのかどうかよく分からん)
セルトラリン:25×3mg(意欲低下改善と、落ち込みの抑制。これは効いてる気がしている)
デエビゴ:5mg(ねんねのお薬① 個人的にはこれと↓のコンビが相性◎
一時期10mgだったけど、起き上がれないほどの眠気が残るため、5mgにして②と合わせてちょうどよくなった)ブロチゾラム:0.25mg×2(ねんねのお薬②)
エチゾラム:0.5mg(緊張を和らげ、不安を改善する。頓服として処方。でもほぼ毎日飲んでる。これも多分効いてる。上記4つに比べると依存性が高いとされている)
縁がない人には呪文みたいだろうが、分かる人には「おっ!ユーも?ミーも、ミーも!」と握手出来るレベルの有名選手だ。
現在は仕事を休職したのちに退職したので、これぐらいで済んでいる。
逆に「無職で、子供もいないし介護もしないし、家事を分担できる夫とストレスが発生しにくい生活」をしていても、これぐらいは飲まなきゃいけないという見方も出来る。
収入がめっちゃ減ったのに、宵越しの銭はもたないマインドが変えられず、金銭的不安という高ストレス要素があるにはあるが、それはまあ自業自得なので仕方ない。旦那氏の監視能力に磨きがかかる一方だが、あっちもぷいきゅあのグッズとかあれこれ買ってるので、「お金はまた稼げるけど、推しの笑顔は今しか見れないかもしれないんだよ?!」というオタクのダメ理論をちょいちょい見逃してくれている。
※「お金はまた稼げる(稼げるとは言ってない)」なので、よいこのみんなは真似しないでね!
過去の実験での失敗例
エビリファイ(液体):頓服で使用。双極性障害に対しての処方。躁状態を抑える方。効果のほどがよく分からなかったのでいつの間にか消えた。
クエチアピン:不安感、緊張感に対しての処方だったと思うが、調べてみると統合失調症向けと出てくる。おや? これもいつの間にか消えた。
ラツーダ:双極性障害において、鬱状態の方を緩和する目的で処方。1年以上続けたが、日によって効果のある量が変異して、終盤は自分で飲む量を調節していいとされた。多分、その不安定な感じが逆に辛くなって変更。
レキサルティ:うつ状態の緩和のために処方。何でいたのか分からないぐらいすぐ消えた。
アルプラゾラム:デパスとかが有名な、不安感を抑えるおくすり。依存性高めだからか、一定期間飲んで落ち着いた頃に消えた。
炭酸リチウム:落ち込みの抑制。1年弱服用し、動悸、頻脈、手の震えなどの副作用が出たため中止。断薬後、チック症のような症状が出る)
ジエノゲスト:こちらは婦人科の分野だが一応。もしかしてPMSが酷いのではと思い婦人科を受診。ホルモンの分泌量を調整してくれるらしい。結果、めちゃくちゃ相性悪くて鬱症状が過去最高記録を更新した。今は漢方薬を出してもらい、なんとか誤魔化している。
今のおくすり手帳で遡れる範囲だけでも、これだけ変遷していてビックリした。
基本的に言われるがままに飲んでいて、自分で理解することをしなかったと反省している。
おくすり手帳には「気分を落ち着かせる薬」と書いてあるのに、調べてみると「副作用として興奮状態を引き起こす可能性がある」みたいなことを書いてあるものもあり「どっちやねん!!!!」となった。
よく、「医師とちゃんと相談してください」と見聞きするが、多分その「ちゃんと」の中には、「自分が飲んでるお薬のこともちゃんと知っておいてくださいね」という意味が含まれているのだろう。
私が能天気だったせいかもしれないが、そもそも「医師が処方する薬で、効くかどうか分からない、どんな効果が出るかも若干博打」という意識が希薄だった。
ほにゃらら系の抗不安薬でどうのこうの~~
みたいな専門的なことまで覚える必要はないが、下記のポイントぐらいは頭に入れておくと、「実験記録」として有用なデータが得られ、医師と「ちゃんと相談」がしやすくなるのではないかと思う。
効能(できれば、どのように作用して効果が出るのかも把握しておくと◎)
副作用(中でも、重篤な副作用は発生可能性が低く、不安を煽るだけになりかねない場合、医師も薬剤師も言及を避けることがある。私は「知っている方が安心するタイプ」なので確認しているが、「もしこうなったらどうしよう」といった不安感が強い人は、代表的な副作用を確認するだけの方がいいかもしれない)
依存性の高低
服薬をやめる場合はいきなり中断していいのか、少しずつ減らさなきゃいけないのか
また、口の渇きが異常なまでに酷く、お手洗いの回数が増えてしまうのも地味に悩みだった。長時間電車に乗る時とか、長丁場が予想される会議の時とか、麻雀のように合間にトイレ行きにくい趣味がある場合など、結構不安の種だった。車で高速道路に入る時なんて、万が一の為に、水がない環境で、唾液で何とかしのぐ方法とかを調べたほどだ。
(今は改善されたが、どいつが犯人だったか分からない。ので、やはり副作用は確認すべきだと)
トドメの一撃
コンサータ18mg
こいつ。まじこいつ。
副作用が過去最も酷かったが、効果も過去最高だった。
こんなに効果の始まりと終わりがハッキリしてる薬は初めてだった。
語弊を恐れずに書くと「お薬でキマる感覚」を体験出来た。
1週間足らずで、薬が切れた後の副作用が地獄で、そこから逃れたくてまた服用する状態になり、私の中のルパンが「こいつぁやべぇぜ」と言った。
勝手に奇声が出る、勝手に身体が動く・ねじれる、謎の猛烈な不安感でベッドの上で暴れ倒す、過呼吸と号泣が同時勃発して助けを求められなくなる…などなど「ガチヤバい」を体現・実感するフルコースだった。
このままだと、小学校の時にいた、道行く子供に「ぱいぱ~い」と笑顔で手を振ってくる「ぱいぱいじいさん」のようになるのではないか。
真剣に不安だったのに、「ぱいぱいじいさん」の響きが懐かしくも可愛らしく、ああもう俺の情緒返してくれ!と頭をかきむしった。
医師と相談の上、服用をソッコーで中止した。
人によっては服用時間を調整して、起きてる間はコンサータが効いている状態にし、切れる時間に合わせて睡眠薬を服用して寝るというスタイルの人もいるようだ。
副作用が重くない、生活環境と上手く合わせられる等、きちんと付き合っていけている人もいるので、医師とよく相談してみてほしい。
(これは素人の意見なので、本当にあくまで参考程度にしてほしいのだが、
「お子さん」「一人暮らしの人」が服薬を検討するのであれば、本当によくよく医師と相談してほしい)
薬物治療への疑問
コンサータについて調べまくった中で、こんな声を見つけた。
「ADHD治療薬を飲んだ僕は、僕なのだろうか?」
私も、ストラテラだけを飲んでいる時は分からなかったが、コンサータを知った今ではその疑問の意味がよく分かる。
本当に人によるので断言はしないが、コンサータを服用すると人格が変わるレベルの変化が起きることもある。
私の場合は、社会経験とか、羞恥心とか、人の目とかによって蓋をして、頑丈な箱に閉じ込めていた部分が、クラッカーを炸裂させたようにパーーン!と出て来た。
小学校中学年ぐらいの頃まであった、なんかよく分からない自信と、未来に希望が持てる感と、自分1人で出来る感で溢れた。
多分中学生あたりから「何か偉そうで、何でも口にして、協調性に欠けるやつ」になり、段々と箱に閉じ込めていくようになった部分が飛び出した。
一見、良いことのように見える。
だが「何でもかんでも口にしてはいけない」「正論は人を傷つけることもある」「本当のことでも嘘でもない微妙なことが必要な時もある」等、人様の心の傷や迷惑と引き換えに教えてもらった大事な学びだってあるのだ。
生まれ持った性質のままの自分と、経験によって形成した自分と、どっちが本当の自分なのか。
コンサータを服用して、その両極端な2択を迫られているように感じた。
発達障害や精神障害を抱える人は、極端な2択に囚われがちだという。白でもなければ黒でもないのが我慢ならないとか、イエスかノーしかないと思い込みがちなのだとか。
そんな人に、「本当の自分」とかいう定義も何もあったもんじゃないモノを問い掛けたら。おそらく迷宮入りして2度と出て来れなくなるのではないか。
想像したら背筋が寒くなった。初めてハッカ油をお風呂に入れて、適量が分からず思い切りブチこんだ時ぐらい寒かった。
私は何のために薬を飲んでいたのか。
精神障害はともかく、発達障害は「本人が困ってたら障害。困ってなければ個性」と言う医師も少なくない(子供の時から診断されていた場合は別かもしれないが)。
冒頭にも書いたが、「薬を飲んでるのに良くならない。普通の生活を送れない」というストレスや焦りはそう簡単に解消出来ない。
あれこれと薬を飲んでいることも不安や悩みの種になり、精神疾患に追い風を吹かせているのかもしれない。
ならば、薬に出来るだけ頼らないという選択肢があるのではないか?
コンサータのおかげで辿り着いた1つの可能性だ。
副作用は地獄だったが、「実験」としてはやや成功と言っていいだろう。
2度とやりたくない実験だが。
今後の実験方針
端的に言うと、薬は少しずつ減らしていき、その間に認知療法など他の方法を試していくことになった。
私が出来るだけ薬物治療を減らしていきたいと言った時に、主治医はこう言った。
「薬物治療は対処療法的で、根治療法ではないって考えるタイプの医師も多くてね。私もそうだから、認知療法と薬物療法を両方やって、次第に薬を減らしていけたら良いと思う」
いや、早く言って?????????
と思ったが、これに関しては私が悪い。
「今がキツいから、今何とかしてくれ。薬でも何でもいいから早く何とかしてくれ」というスタンスで通院を始め、その後特に何も言わなかった。
個人的意見だが、精神科は基本自己申告だ。
脳みそをパカっと開けて、
「あー、この辺が損傷してますね。最近何かしました?」
「はぁ、ちょっと美女を少々間近で浴びまして…」
みたいなことが出来ない。出来たらすごく楽だが。
顔も瞳もツヤツヤキラリとしていてハキハキ明るい声で「しにたくて辛いので薬をください」と言われても、「いや、あなたは大丈夫でしょ」とは言えない(平気で言う医師もいるらしいが)。
ガリガリのコケきった顔で「私まだ頑張れるので大丈夫です!たまたまストレスチェックに引っかかっただけです」と言われても、「いや絶対だいじょばないよ」とはなかなか切り出せない。
だから「今何とかしてくれ」という患者には、基本薬物治療で進める医師が多いように思う。
もともと私は「頭痛薬だ」とラムネを渡されて頭痛が治るタイプだったので、「薬を飲めば大丈夫」というマインドが強かったのかもしれない。
そして医師が「もうこの薬はやめましょう」と自発的に言うのは、血液検査などで数値が引っ掛かった時ぐらいだった(※私の場合です)。
それ以外では、「効果がない」「副作用が辛い」と患者からの自己申告に基づいて薬が変わってきた(※私の場合です)。
私から「違う道を検討したい」と言う必要があったとは、なかなか気づけなかった。
だからと言って、医師を責める気は全くない。
だって目に見えないし、数値化できるものほとんどないし、どう辛くてどう苦しくてどう困っているのかは本人にしか分からないのだから。
むしろすぐ効果的結果を求める私を、ほんのーり宥めてほんのーり(いい意味で)あしらって、じっくり治療に付き合ってくれていたと感謝している。
10年経ってようやく、やっとこさ、方針転換を決められた。
そして記録を振り返ることの重要性も痛感したので、これからたまに実験記録を残していく。
記録その②がいつになるか不明だが、11月ごろからTMS治療を始める予定なので、良かったらまた様子を見に来ていただけたら嬉しい。
(TMS治療とは:めっちゃ簡単に言うと脳に電気刺激を与える治療方法。全ての病院・クリニックが実施しているわけではない。2019年から適用されるようになったもので、保険診療・自由診療でも違いがある。副作用もゼロではないのでよく調べてみてほしい)
ここまで長々とお付き合いいただき、その上でお願いするのも申し訳ないのだが、感想などいただけるようであれば是非この記事のコメントに残していただけると大変ありがたい。
感想は何回でも噛み締めたいのに、Xだと流れて行ってしまうので…。
また、認知療法はほぼ未知の領域なので、すでに実施しているという方で「こういうのもあるよ」だとか、同じく初心者の方であれば「これ気になってるんだけどYOUどう思う?」とか教えていただけると励みになる。
(ストラテラも服用開始時は副作用があったが、コンサータに比べると可愛いモンだったので省略した。気になるようだったら教えてほしい)
しつこいようだが、ほんっっっっっとに個人差があるので鵜呑みにはしないでいただきたい。
でももし何かの参考になれたなら、それはとても嬉しい。
どうかあなたの心が少しでも穏やかになりますように。