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#984 アルバム論71|無罪モラトリアム / 椎名 林檎(1999)

アルバム論、本日から椎名林檎を紹介します。
ガチ勢として真剣に聞いた「無罪モラトリアム」「勝訴ストリップ」「絶頂集」の3作について紹介したいと思っております。


椎名林檎とは?

もう説明するまでも無いでしょう。
東芝EMIの秘蔵っ子として1998年に20歳の若さでデビューし、翌年99年にリリースした「ここでキスして。」がスマッシュヒットして全国区となり、「本能」で本格的にブレイクして、若くしてトップアーティストの仲間入りしました。

その独特の言葉遣いやセンス、ビジュアルやファッションなどの細部までのこだわり、そして女性である武器を最大に活かしたエロス!とにかく彼女の登場はセンセーショナルでした。
そして何よりも音楽の引き出しが広く、ポップスもロックもバラードもとにかくすべてが鬼カッコいい感じで、ライト層やコア層にも人気のある、稀有な存在でしたね。

僕は「ここでキスして。」で存在を知り、本能をリリースした位の時期に興味を持ち、本作「無罪モラトリアム」を買ってみて度肝を抜かれて速攻ファンになり、特に1st~2ndの辺りはメッチャ好きで、「下剋上エクスタシー」のVHSもメチャクチャ見ていました。
もうバンドでやりたくなって勝訴ストリップのバンドスコアまで買ってしまい、高3の頃はライブでもやりましたね。

その後、ちょっとロックから離れた「カルキ~」以降は音源を買うほどでは無かったんでしたが、東京事変になってまた聞くようになりましたし、奥さんが林檎が大好きでちょくちょくライブにも行っているので、人生で常に林檎の音楽は共にありますね。


無罪モラトリアムとは?

ちょっと記憶が薄いんですけど・・・
札幌に「四丁目プラザ」という複合ショッピングモールがあり、そこの8Fとかに結構コアなCD屋があったんです。
そこのフライヤーでTBHとかSLANGを知ったりしたんですが、そのCD屋は割とコアな音源しか置いてなかったんですが、「無罪モラトリアム」は置いていたので、そこで購入した記憶があります。

この年、1999年は僕の中でエグイ1年で、MAKING THE ROADバームクーヘンというモンスターアルバムがリリースされた年で、改めて振り返るとこの年がいかにレベルの高い1年だったかがわかりますね。

シングル3曲以外にも後の代表曲となる曲も多く、椎名林檎で一番愛されているアルバムかも知れません。
そして2ndアルバム以降、林檎はシンメトリーにこだわり、アルバム収録曲の文字数などは対になっているのですが、まだそのルールが適用されていないレアなアルバムだったりします笑

当時はハイスタハイロウズブランキーとかを好んで聞いていた僕でしたが、林檎は林檎でメチャクチャカッコよくて、僕の中でフェイバリットになったのは言うまでもないでしょう。
買って良かったと思えたCDでしたね。



無罪モラトリアム 歌詞カード

オヤジに主役を与える辺りが秀逸ですね


この時林檎は20歳!若いです!


この時は東京の路線は未知の世界でしたね


縦書きの歌詞などはやはり独特な世界観ですね


歌詞の言葉選び、ひとつひとつが独特です


このアルバムのベースはロックテイストで秀逸です
ベースは全部、亀田師匠(鬼)が弾いてます


もう1stの時点で林檎カラーですね


無罪モラトリアム 渾身の全曲紹介

1. 正しい街

1stアルバムの1曲目は、やはりどんなバンドでも思い入れのある会心の一曲をセレクトするフシがあると思いますが、林檎もガッツリいいのを持ってきました

もう冒頭の「AH-」の時点で、「絶対名曲だ・・・」と思わせるくらいのパワーがあるロックバラードで、展開が秀逸なカッコいい曲です。

この曲だけなく、このアルバムは全体的に10代の頃に作った曲を収録しているとのことなんですが、この曲も10代の頃に作った曲でして、歌詞には林檎が学生時代にすごした街の「百道浜」「室見川」といった地名が出てきます。
10代でこの曲を作ってしまう辺りが恐ろしいですね笑

そして余談ですが、2008年位に一時的に椎名林檎のコピーバンドを結成していた時期があり、その時にこの曲もコピーしました。
過去に好きなベーシストBEST10でも紹介しましたが亀田師匠のベースアレンジは秀逸であり、なかなかベースが弾きごたえがあり、弾いていて楽しい曲でした。
懐かしいですねえ。


2. 歌舞伎町の女王

そしてこの曲でしょう。
2ndシングルにして、椎名林檎が「新宿系」という唯一無二の称号であり、不動の地位をほしいままにした切っ掛けともなった曲ですね。
かなり攻めているロックな曲です。
とにかく歌詞の中のストーリーが秀逸で、そのような光景というか家庭が目に浮かぶ、リアリティを感じる曲ですね。

バンドで合わせたことは無いんですが、ベースが非常に気持ちよくて、弾いていて楽しい曲ですね。

あとこの曲の思い出は、「おやすみなさい」という漫画で、ケニーくんが子供の子守歌にこの曲を歌い、「椎名林檎の子守歌は寝れないよ!」と突っ込まれるシーンが笑いましたね笑


3. 丸の内サディスティック

アルバム曲ですが、このアルバムで下手したら一番有名なのはこの曲かもですね。ソロでも、東京事変でも、割と最近も愛されて歌われ続けている印象があります。この曲で東京の地名、特に丸ノ内線に関して覚えたキッズは多かったでしょう。

とにかく何と言うかロックであり、ジャズな感じもあり、ポップでもありカテゴライズするのがむずかしい、カッコいい曲です。
大学でクソ歌が上手い女友達がいたんですが、カラオケでこの曲を歌うのが上手くて、毎回歌ってもらってましたね笑

そしてこの曲は歌詞がいいですね。
「青 噛んで熟って頂戴」とか凄いですよね笑
あとは何といってもベンジーが肺に映ったり、グレッチで殴ったりと好きに使っています笑
こうしてベンジー愛を曲にした事でブランキーファンも林檎のファンになったりでしたね。


4. 幸福論(悦楽編)

1stシングルのリテイク版で、かなりパンキッシュなアレンジになっており、クソカッコいいです。僕はオリジナルではなくこっちのバージョンを先に聞いたので、幸福論=悦楽編と刻印されてしまっております。

サントリーカクテルバーのCMで初めてこの曲を聞いた時に「なんだこのカッコいい曲は!」と衝撃を受けて、林檎に興味を持った記憶もありますね。


ライブでは拡声器で歌う辺りが最高にカッコよかったですね。
コピーバンドでもやっていたので、この曲のベースは最高に楽しかったですし、「下剋上エクスタシー」で亀田師匠がアレンジをしまくってるんですが、そっちのバージョンで耳コピして弾いてましたね。

とにかく林檎を語るうえで欠かせない、最高にカッコよくてクールな曲ですね。


5. 茜さす 帰路照らされど…

かなり壮大な正統派バラードです。
ピアノと言い、英詞ヴォーカルと言い、メロディセンスと言い、アレンジと言い、メロウでメチャクチャカッコいい曲で、かなりベテランの作曲家とかが作るレベルの曲と思います。
とても21歳の小娘がリリースできるレベルの曲ではないですが、この曲作ったの16歳の頃だったようですからね笑
改めて林檎の引き出しの多さと天才さが爆発している曲です。
英語のラスサビのところとか、聞いたら16歳のあの頃を思い出してウルっとしますね。


6. シドと白昼夢

このシドは言うまでもなくヴィシャスですね。
この後に収録されている「ここでキスして。」でもシド・ヴィシャスの名前は出て来るので、このアルバムで2回シドの名前が登場するんですが、本人もまさかこんな東洋の島国で小娘に使われていると思っていないでしょう笑

この曲も不思議な雰囲気な曲ですね。
ジャズな感じの構成でありつつも、サビは正統派ロックみたいな感じで、静と動が入り乱れる感じの曲です。
歌詞もいいですね。「あなたには殺されてもいいわ」とかはゾクっとします。


7. 積木遊び

このアルバムでの箸休め的な曲ですね。
箸休めと言いつつ独特のギミックと言うか、色々と遊んでいてカッコいいですね。
冒頭のベースがいきなりカッコいいですが、ギターのリフもカッコよく、途中の琴のような音もカッコいい。
歌詞も色々遊んでいたり、ライブでは振り付けもあったりで楽しい曲ですね。


8. ここでキスして。

3rdシングルにして、世間に椎名林檎の名前を広く知らしめたスマッシュヒット・シングルですね。
ティーンに共感されるであろうラブソングで、今でいうあいみょん的な感じですかね?そんな感じで売れるべくして売れた感じの曲ですが、完成した時にバンドメンバーに聞かせると「ちょっと売れ線の曲だね」と言われたようで、何と言うかレベルの高い会話してそうですよね笑

あまりライブでやっている印象はないですし、僕が好きな「変態的なロックの椎名林檎」の曲とは対極だったりするんですが、良い曲は良いですね。
この曲はこの曲で良いと思っております。

全体的に素晴らしい曲ですが、やはり英語で歌うラスサビが好きですね。
90年代後半を代表するラブソングですね。


9. 同じ夜

この曲もエグイくらいメロウですね。
椎名林檎で一番美しいバラードを聞かれれば、僕はこの曲と答えるかも知れませんね。
とにかく美しく、切なく、染みる曲です。
高1の頃に付き合っていた彼女がいたんですけど、その娘と別れた時のことを思い出してとにかくメロウになってしまう、そんな曲ですね笑

当時下剋上エクスタシーのVHSをメッチャ見ていたんですけど、この曲がシークレットトラックのような感じで、収録曲の表記は無いんですけど最後に収録されていて、それが腹立つくらいカッコいいですね。
名曲です。


10. 警告

この曲もコピーバンドを組んでいた時にバンドでコピーしましたね。
この曲のベースは弾いていてメチャクチャ楽しかったです(特にBメロのところ)
流石亀田師匠ですね。
このアルバムに収録されている曲で、一番ロックンロールな曲ですね。
ライブでも生える、カッコいい曲です。


11. モルヒネ

そしてこのアルバムをしめくくる曲ですが、そんな印象無いですね笑
モルヒネだけにエピローグ的な感じかも知れませんね。


まとめ

そんな感じで振り返りながら久々に聞きましたが、改めてカッコいい作品でした。
しかし繰り返しになりますが、これを21歳でリリースしたというのは鬼ですね。僕なんて21歳の頃ウイイレと麻雀しかしてなかったですし笑

そんな感じで次回は勝訴ストリップを紹介します!

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