ねじの話 「ドリルねじ4」 「働き長さ」
ドリルねじは主に鋼板や硬質ボード、木材を鋼板に固定するファスナーとして卓越した締結作業性と信頼性、またコストパフォーマンスに優れたねじとして建築の現場で幅広く利用されています。ドリルねじの性能を十分に引き出すために必要な情報を5回のシリーズでお伝えします。第4回は「働き長さ」です。
「働き長さ」「呼び長さ」
ドリルねじ締結時のトラブル回避のためには適応板厚を理解することが大切ということを前回までシリーズで考慮しました。ドリルねじを使って被締結材を確実に固定するためには「働き長さ」(最小・最大)を考慮しドリルねじの呼び長さを選定する必要が有ります。
「働き長さ」
ドリルねじの先端側のねじ山はタップとしての機能を果たします。それゆえに締結する際に完全なねじ山を下地鋼板と噛み合わせるためにはドリル部に加えねじ山3つ分(3ピッチ)が下地鋼板から突き出るようにします(この長さを「突き出し長さ」とも言います)。
また半ねじタイプでは首下にねじ山の無い軸部分が存在しますが、少なくともねじ山1ピッチ分が下地鋼板に掛かってなければ固定できません。
これらのことを考慮に入れた最大・最小の「働き長さ」について解説します。
最大働き長さ
一般に最大働き長さは「下地材より完全に突き出たねじ部の3ピッチを除いた有効な締結長さ」とされます。
次の様にして計算できます。
最小働き長さ(半ねじタイプのみ)
半ねじタイプでは下地鋼板へねじ山が掛かる様に最小働き長さも考慮します。
まとめると、ドリルねじで被締結材を確実に止めるために下地鋼板から少なくとも3ピッチが突き出るようにします。また、半ねじ使用の際には少なくともねじ山が1ピッチ分、下地鋼板に噛み合っていることを確認します。こうすることでドリルねじは被締結材を下地鋼板へしっかりと固定します。
次回「ドリルねじ Vol.5」はドリルねじの外観と機能にフォーカスします。