腐食って何? どうすれば防げるの?
私達Bossardの扱うファスナー・締結部品は沢山の金属製品が存在します。金属製品は使用環境や期間によって、“さび”などの腐食が生じます。
錆は、アイテムの外観や表面価値を損ないますが、早期発見または予防しなければ大きなダメージを与えることに繋がります。
腐食が原因で製品が故障するようなことは避けなければいけません。
最悪のケースでは、建物の構造に影響する重大な事故災害につながる恐れがあります。
腐食とは何か、そして様々な種類の腐食を防ぐための基礎知識を知っておくことは大変重要です。
腐食に対する以下の情報が適切なファスナー・締結部品を選定するお手伝いになればと思います。
腐食の発生原因
腐食の主な原因は、水分と金属との間で起こる電気化学反応です。
大気中の酸素によって通常は金属表面に薄い酸化皮膜を形成しています。
酸素に加え大気中の水分や雨水などの水滴、また、金属表面の汚染物等が表面に付着すると酸化皮膜が破壊され、金属 の腐食が進行し錆が発生します。
腐食のタイプ
腐食を防ぐ方法を理解するためには、腐食の種類の違いを知ることが重要です。
腐食の種類を知ることで、適切な対策を取ることができます。以下に腐食のタイプと防止策について簡潔に記します。
均一腐食(全面腐食)
特徴・原因:最も一般的な腐食です。ファスナーの露出した部分に赤みがかった色が均一に分布しているのが特徴です。
すきま腐食
特徴・原因:すきま腐食は同じ金属同士を重ね合わせたり表面に異物が付着したりすることで不動態皮膜(腐食の進行を防ぐ、金属表面を覆う緻密な薄い酸化物皮膜)が破れた通気性が良くない小さな隙間や凹み部分が水分を取り込むことで生じます。酸性化環境でなくても生じるため孔食より起こり易く、すきま腐食が発生すると接合面の数だけすきま腐食のリスクが倍増します。
ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)
特徴・原因:ガルバニック腐食は、腐食環境下で2つの異なる金属が接触すると発生します。電位差のある金属に水がかかり、電子のやりとりが生まれることに起因します。イオン化傾向の小さな金属に引っ張られイオン化傾向の大きな金属が腐食されます。イオン化傾向の大小は学生時代、「貸そうかな、まぁあてにするなひどすぎる借金」と覚えた記憶が皆さんにもあるかと思います。
K>Ca>Na>Mg>Al> Zn>Fe>Ni> Sn>Pb>(H) >Cu>Hg>Ag>Pt>Au
※Hは水素
孔食
特徴・原因:孔食は、ニッケルやクロムのような高貴な仕上げでコーティングされた金属表面で発生します。被膜が破壊され露出した部分は、環境要因の影響を受けにくい周囲の部分に比べて性能が低下します。電流密度が生じ孔の中で電解腐食が発生します。さらに溶けた金属イオンの濃縮が起こりることで酸が生成されて腐食性がさらに強くなる、という悪循環が生じます。
粒界腐食
特徴・原因:金属組織の結晶粒界(金属の結晶粒内の規則正しい並び方とは異なる原子配列が乱れた領域)が優先的に侵され結晶粒がバラバラになる腐食です。例えばオーステナイト系ステンレス鋼は、熱間成形や溶接などで高温に加熱されるとクロムの炭化物が結晶粒界に析出し粒界腐食が発生します。
応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)
特徴・原因:引張りを受けた金属が塩化物環境に曝されるときに生じる腐食でファスナーの割れとして顕現します。このタイプの故障は多くの場合、孔食から始まります。錆に強いといわれるステンレス鋼が起こし易い腐食としても知られています。
水素脆化(すいそぜいか)
特徴・原因:腐食の形態ではありませんが、ファスナーの水素脆化は、接合部の腐食の結果である可能性があります。高強度のファスナーに応力がかかると、引っかき傷などの小さな表面の欠陥が小さな亀裂に変わる可能性があります。鋼の原子に水素が存在する場合、それらは亀裂の先端の周りの引張応力によって引き付けられ、そこで「水素原子の雲」を形成します。 水素は金属の微細構造を弱め、部品が破損するまで亀裂が成長し続ける可能性があります。「遅れ破壊」とも呼ばれ高張力鋼などで発生することが多いです。
上記の「腐食」を理解することと同時に、設計の初期段階でファスナーの選択を優先し、腐食の可能性を回避することが安心・安全な締結につながります。
ご相談いただければファスナー選定のお手伝いを当社エキスパートが行います。
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