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アーセナル3-1マンチェスターU レビュー/戦術分析
スタメンとフォーメーション
ホームチーム・アーセナルは3連敗で迎えたミッドウィークのチェルシー戦に勝利し連敗ストップ。どのチームも停滞気味のCL争いの中で大きな勝ち点3を得た。
その中でもポジティブだったのはコロナ明けのラカゼットの替わりに入ったエンケティアの活躍だった。
今日の相手はユナイテッドは試合前で6位。アーセナルが一試合消化が少ないとはいえ3ポイント差と勝利必須の試合である。
ここで勝利すれば6差、消化の少ない試合も取れば9差となり、CL権争いはユナイテッドはほぼ気にすることなく、同じノースロンドンのトッテナムとの1vs1になるだろう。
アーセナルは中2日のチェルシー戦から変更はホールディング→セドリックのみ。前線4枚、中盤アンカー2枚いずれも変わらずの[4-2-3-1]。
その他のトピックとしては、約3か月ぶりに日本代表DF・冨安がベンチに帰ってきた。
一方アウェイチーム・ユナイテッドはミッドウィークにリヴァプールに0-4の完敗。
プラン・Bの5バックで入ったラングニックのチームは5分にしてプランが崩れ去り、後半はプラン・Aの4バックに戻すも、ほぼゴールに迫ることなく、前後半で2点ずつ失いリヴァプールに圧倒された。
そのリヴァプール戦からの変更はまず最前線に18日に生まれたばかりの息子を亡くしたロナウドが帰ってきた。
負傷交代したポグバは長期離脱、替わってマクトミネイが復帰しスタメンに。
最終ラインはダロットが左から右に、ワンビサカが外れアレックス・テレスがSBでは起用された。
CBはヴァランが復帰、替わって前節4失点目に繋がるパスミスと、その試合の後自宅爆破予告があったマグワイアがベンチとなった。フォーメーションは前節後半と同じ[4-2-3-1]。両チーム4-2-3-1という形になった。
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4-4-2で行く嚙み合わせの悪さ
試合は2分にして動いた。
アーセナルはジャカのクロスからサカのシュート、デヘアが止めるも左SB他ヴァレスが詰めていきなりアーセナルが先制した。
ラングニック体制で露呈するウイング(サンチョ)の守備の緩さ、またテレスも緩い寄せでサカにシュートを許し、ミッドウィークのリヴァプール戦同様、試合開始早々にしてユナイテッドは失点を許した。
この後はアーセナルが基本保持の展開になる。
ユナイテッドはフェルナンデスを前に出す[4-4-2]でハイプレスに来る為、相手アンカー(エルネ二ー・ジャカ)にはマクトミネイ・マティッチが出てくる必要がある。ハイプレスの最初の段階で引っかけず越された場合、アーセナルの前線で待機する選手にパスを通されることになる。
アーセナルとしてはこのスペースを使わない手はない。ウーデゴールはマティッチ・サンチョの背後、スミスロウは内に入り、マクトミネイの出たスペースで構えつつ、左SBタヴァレスの押し上げに貢献した。
ユナイテッドは最初の段階で引っかける必要があるも、フェルナンデスのプレスは空振りに終わり、遅れて出てくるマクトミネイ・マティッチのプレスは圧が掛かる前に越され、アーセナルの前進を楽々と許す形が目立った。
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サンチョ・マティッチが圧を掛ける裏で待つウーデゴール、マクトミネイの裏で待つスミスロウに、ユナイテッドは次々とボールを通されていった。サンチョが高い位置を取る一方、エランガは下がり、タバレス・スミスロウを気にする展開が続いた。
アーセナルは得点後前進に成功しつつ、24分のエンケティアのシュートぐらいでシュートが打てない展開が続いた。サイドはなかなかクロスを上げることができず、またユナイテッドのロナウドのプレスバックが機能し、アーセナルは思う通りに攻め込むことができない展開が得点後は続いた。
ユナイテッドの攻撃のメインは、ロナウドがプレスバック等最前線での役割以外も行う中で、右WGエランガの裏抜けとなった。5分・14分と、ロナウドの下がったところから、エランガがタヴァレスの裏を突き、ゴール前まで持って行くも、GKラムズデールにセーブされた。
アーセナルもアーセナルで寄せが足りず、24分にはダロットにミドルシュートを許しクロスバー直撃と自分たちの緩さからピンチを招いていった。
ダロットのシュートがクロスバーを叩いた2分後、アーセナルに追加点が生まれる。
ボール保持がうまく行かずラムズデールまで下げたところから、エルネ二ーがボールを持ち、マティッチ・サンチョの背後でウーデゴールがボールを待つ13分と同じ形。
マティッチはウーデゴールに目をやり気づいていたが、中途半端立ち位置でエルネ二ーのパス出しも、ウーデゴールへのパスコースを切ることができず、ボールを運ばれ、最後はウーデゴール→サカのワンツー、こぼれ球をエンケティアが詰め追加点。かと思われたがVARが入り、エンケティアはオフサイドの為ノーゴールとなったものの、その前のサカとテレスの接触がPKと判定され、このPKをサカが沈め結局2点目となった。
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またその2分後、今度はユナイテッドにゴールが生まれる。
左サイドでボールを運び、サンチョのボールキープから低い位置にいたマティッチのクロスから、中でロナウドが駆け引きに勝ち、インサイド気味にボールを合わせ、2-1。これがロナウドはプレミア通算100点目となった。前半は互いに問題がありつつも、ユナイテッドが抱え続ける穴を突き、そのままアーセナルリードで前半を終えた。
少なすぎたチャンス
後半は前半終盤からシュート本数が増えた中で、両チーム落ち着いた入り方をした。
50分、アーセナルはまたもウーデゴールがマティッチ・サンチョの間のスペースでボールを受けたところから、内にいたスミスロウがエランガを引っ張り、最後は左SBタヴァレスのシュートも大きく枠を外す。
その4分後、ユナイテッドはCKからタヴァレスがハンドを犯し、PKを獲得。
同点に追いつく絶好のチャンスも、フェルナンデスのシュートはポストを叩き追いつくことができない。
同点に追いつくことができなかったユナイテッドは攻勢を強める。
58分はマティッチのパスからエランガがシュート。
62分はフェルナンデスの左のオーバーロードからマティッチ→テレスと繋ぎ、前で3vs3を作り、最後はオーバーラップしたダロットがシュート。しかし、ラムズデールが触り、ボールはポストを叩くに終わった。
後半中盤はフェルナンデスがタッチを増やし、ユナイテッドが僅かながら優勢になりつつあった。しかし、ラングニックらしい縦に早い攻撃というのはこの58分と62分の2本に終わった。
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フェルナンデスがサイドに流れたところから、セドリック・サカは混乱し、テレスのロールに付いていけず、あわやというチャンスを作られた。
70分、アーセナルに決定的な追加点が生まれる。
ボールを前線まで運び、右サイドでウーデゴールからサカへ。この攻撃はテレスがクリアするも、クリアボールをフェルナンデスがトラップミス。
このボールをエルネニー→ジャカと繋ぎ、最後はミドルシュート。今シーズンベストゴール候補の強烈な一発が突き刺さり3-1となった。
ユナイテッドはフェルナンデスのトラップミスがあったものの、その前のプレーを含め、またしてもボールへのチャレンジが足りず、結果ミドルシュートで失点する形となった。
アーセナルは74分、サカに替えてホールディング。残り15分を5-4-1で守りに入った。この形は一つのアルテタアーセナルの締めパターンになってきたのかもしれない。
ユナイテッドはその3分後、マティッチに替えてラッシュフォード、エランガに替えてリンガードを投入し、システムも4-3-3気味に変更するが、シャープに守るアーセナルの5-4-1の前にゴール前まで迫ることはなく。
試合はそのまま3-1で終わった。
感想
アーセナルはこの勝利でCL争いはトッテナムだけを気にする展開になっただろう。3連敗からチェルシー→ユナイテッドと最高の結果でまとめ、スカッドには冨安復帰など明るいニュースが増えてきた。
チェルシー戦含め、失点シーンの守備・特にクロスへの対応の緩さ等は気になるが、2点目のウーデゴールは前節の2点目同様パスセンスが輝きを増している。現状CL争いをするチームの中で一番調子が上向いているのはアーセナルであることは間違いない。冨安復帰もあり、このまま最終節まで走り抜けるかは非常に楽しみである。
一方敗れたユナイテッドはこれでCL権はかなり厳しいものとなった。
リヴァプール戦後、来季から現アヤックス指揮官・テン ハグの就任が決まったが、ラングニックになったのが昨年11月。それでこの感じで大丈夫?という感じである。
監督によって戦術の浸透するスピードが違うのは間違いないが、今シーズンだけでなく、来季にも心配が及ぶ連敗となった。
最後に
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