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ピダハンの世界

私が言語についての勉強をしていた際に出合った本になります。

今回はこのピダハンについて書かれた書籍の一部を紹介したいと思います。

この本は、ピダハン言語とユニークな認知世界を描き出す、科学ノンフィクションです。この本は、筆者が30年がかりで、実際に彼らと寝食を共にしながら実際にピダハン文化に触れているというところにとても価値があると個人的には思っています。

ピダハンはブラジルのアマゾン熱帯多雨林の奥地に暮らす、少数民族で、狩猟採集者です。

ピダハンの文化には、右/左の概念や、数の概念、色、名前も存在しない。神も創世神話もありません。ピダハンの会話には過去と未来が存在しないという特徴があります。ピダハン語の文法には、過去や未来の概念すらほぼ見られないと筆者はこの本の中で言っています。食事に関してもピダハンは、食料を保存するということをしません。未来に食料を残すという選択をせず、その日のうちに食べてしまうという選択をします。これも、未来を見据え食料を保存しないという面白い文化です。

ピダハンは、自分の経験から外れた事実を重んじないというところがあり、物事をありのままに受け取ります。その証拠に、ピダハンは実際に見聞きしたことしか話さない傾向があります。それが創世神話ができない理由でもるし、特定の宗教を持たないことにもつながります。イエスを実際に見たことがないのに、なんでイエスの言葉を信じるのか?そんな具合です。

ピダハンには、抑うつや慢性疲労、極度の不安、パニック発作などの産業化が進んだ社会で日常的な、精神疾患が見られません。

ピダハンは、請求書の支払い期日を気にする必要はないし、子どもを大学に行かせなきゃいけないという悩みもありません。しかし、ピダハンには命を脅かす疫病(マラリア、感染症、ウイルス)などの不安はあります。家族のために食料を調達し、乳児の死亡率も高い、獰猛な爬虫類やジャガーなどの哺乳類、危険な虫などにも頻繁に遭遇します。彼らの土地を脅かそうとする侵入者の暴力にもさらされる。

しかし彼らは慌てたりしない。そして何より笑顔が多く、とても幸せそうだと筆者は語っています。実際にピダハンは笑顔になる頻度も非常に多かったという研究もあります。私たちの生活は彼らの生活よりも気楽なはずなのに、いろいろな場面で慌て、不安に駆られることが良くあります。

ピダハンの言語には「不安になる」と似た語彙を見つけることができないと筆者は語っています。ピダハンの文化の中に未来を考え不安になるということがないということを証明しています。今、目の前を生きる。そういう文化だということですね。

人類がどのようにして言語を獲得し、言語によってどのような精神性を持つのか、文化の形成と言語の関係など、ピダハンから学ぶことは相当あると私自身感じています。少ない言語でどのようにして仲間たちとコミュニケーションをとり、生活の大事な一部である狩猟を成り立たせているのか、性に対する考え、死に対する考え、これは私たちの想像を超えるものがあります。まさに人は生物であるということを思い起こさせてくれます。

現代社会とその真逆にあるピダハンの文化を知ることで、私たちが人間としての生きることのバランスをどのようにしてとるのかということを考えるきっかけになると思います。

まだまだ、書き足りないことがたくさんありますが、実際に自分自身の経験と重ねて読まれた方が良いと思いますので、感想はここまでとします。

​みなさんも書籍ではありますが、ぜひピダハンの文化に触れてみてください。

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