誰かにやってほしいビジネスアイデア①ゴッドファーザー喫煙所
勝手にひらめく主婦よしえの「こんなのあったら面白そう」というビジネスアイデアを掲載します。面白そうだから誰かにやってほしい。いやもうあるかもしれない。責任は取れません。では第一話です。
第一話 リッチな気分になれる喫煙所
イタリア製の高級ソファに沈み込みながら煙を吐く。至福の瞬間だ。ソファの手元に置いた指先からすーっとタバコの煙が上がる。その一筋の煙は次第にゆったりと広がる様子を眺める。こんな風に煙草を味わえる空間が今の時代にあるなんて。
頭の重さを背もたれに任せて、上を向く。目を瞑る。ここは喫煙室。煙草を吸うためだけの部屋だ。
しばらくしてノックの音が響いた。
「どうぞ」
入って来たのは笑顔の男性。
「いかがですか?」
「これは、やられたよ」
諦めに近い声が出てしまった。名作のマフィア映画から持ってきたような家具に囲まれた小部屋。座った瞬間、脱力させる絶妙な座り心地のソファ。少し遠くに置かれたガラスの灰皿に手を伸ばして灰を落とす動きも、優雅な映画のワンシーンのように錯覚する。かなり凝った喫煙室だ。
「それにしても」もう一度、煙草をくわえながら呟いた。
「この部屋は全然臭わないね」
そう、ここは喫煙室独特の臭いがしないのだ。部屋に入ってきた男性は、その言葉を待ってましたといわんばかりの笑顔で答えた。
「見えない所に某メーカーさんの最新消臭機を配置しております」
「そうか。でも音がしないね」
「はい、かなり無音に近くなっております。実はまだ発表前の試作品でして、データーを取る代わりに特別に使わせていただいてるのです」
凄いな、この国の技術は。感心していると男は続けた。
「壁紙は国内で一番消臭機能が高い壁紙です。デザインと機能を両立させるのにだいぶ無理をお願いしました」
「機能性壁紙はデザインがいまいちだと思っていたが、これなら私の部屋にも使いたいくらいだよ」
煙草をもみ消しながら立ち上がると、入口とは違う出口を案内された。
「このドアの先に、着ている衣類についたタバコの臭いを軽減する小部屋がございます。そちらからも表へ出られるようになっています」
「そうか。気が利いてるね。秘書は喫煙後の僕を避けるんだよ。臭いが気になるとかいって」
そういいつつ、もう一度ソファに腰を下ろした。
「もう一服してから、私のオフィスに導入するか考えてもいいかい?」
男はにっこり笑った。
「もちろんでございます。ごゆっくりどうぞ」
静かに出ていく男を眺めながら、新しいタバコに火をつけた。この部屋が私のオフィスにあったらどんなにいいだろう。たった数分でリフレッシュできるし、来客のもてなしにも使えそうだ。最近は堂々と煙草を吸えないからな。話をするのにもちょうどいい。
男性は導入した後の使い道を考えながらもう一度、ソファに頭を預けた。
★解説★
私はタバコを吸わないけど、今の喫煙所って見せ物みたいでなんだかなあと思ってこれを閃きました。国内メーカーの技術をアピールしつつ、国内外に高級喫煙所としてパッケージ販売orリース。次第に一般ユーザーが使える場所も出てくるけど基本は高額。お部屋はゴッドファーザーのイメージです。
このアイデアは喫煙をすすめるものではありません。
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