![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/97940340/rectangle_large_type_2_760c248eafad48a27a26a4533c8f613b.jpeg?width=1200)
なぜ子育てと教育?そのはじまりについてまずは語ろう
「オランダから子育てと教育のことを語ろう」というコラムを書き始めると聞いたら、私とお付き合いのある多くのかたはなぜ?と思うかもしれない。2018年に18年お世話になった映像会社IMAGICAを離れて独立して以来、新しい働き方を追い求めて、地域の活性化や中小企業の成長のために、複数のポジションをこなしてきた。さらにヨーロッパまで活動の範囲を広げて、今はオランダにいる。行政の外部アドバイザーとして関係人口を増やすことや地域の経営者と新しい会社や団体をつくるといったことに取り組んできたものの、そもそも教育への接点はまったくない。そんな私が今になってなぜ教育?と思われても仕方がないことのように思う。
独立してから、いつも子育てと教育が中心だった
![](https://assets.st-note.com/img/1676279168536-BbuLF39zDS.jpg?width=1200)
でも振り返ってみると、会社を辞めてからの私の人生はいつもその中心に「教育」があった。東京から神戸へ移住を決めたのも、半分以上は息子にとって最適だと思った学校がそこにあったから。そもそもオランダに来たのも、息子や娘それぞれに合った学びの場がどこか、夫婦ふたりで話し合った末の結論だった。オランダでは、ビジネスに適したアムステルダムやロッテルダムといった都市ではなく、息子にとって一番だろうと思った学校があるヒルフェルスムを住む場所に選んだ。四十を過ぎてから生まれた息子と娘、そのふたりにとってそれぞれ一番幸せな場所はどこか?というのが、私たち夫婦にとっての一番の関心事でもあるし、これまでの夫婦の会話の中心でもある。
もしかして息子がギフテッドかもと感じた夜
![](https://assets.st-note.com/img/1676279865620-GEwzLU9gOO.jpg?width=1200)
「ギフテッド」という言葉に触れたのは、そんな中でもここ最近のことかもしれない。息子の神戸での学校での親同士の付き合いのなかで、世の中には「ギフテッド」と呼ばれる特異な才能を持った子どもがいるというのは、少しだけ記憶の片隅にはあった。でも、そのことについて本格的に意識したのは、オランダに来て間もないころ。生活環境の変化に慣れずに深夜に夜泣きしていた息子を、日本との時差のあるオンラインMTGで睡眠不足の状態で眠い目をこすりながら、寝かしつけている時だった。激しく感情を表に出して泣き叫ぶ息子の姿に、ぼんやりと「ギフテッド?」という言葉が脳裏によぎったのはその時だった。寝かしつけた後、ダイニングの作業テーブルに戻って夫婦で顔を見合わせたときに、自然と二人とも同じことを考えていた。「もしかしたらギフテッドかも?」
それから「ギフテッド」について調べる日々が始まった
![](https://assets.st-note.com/img/1676279373958-ehjZm6CemV.jpg?width=1200)
それからギフテッドのことを調べるのが日課になっていく。一般的に言われている特性と息子と比較してみれば、いくつか共通するところもある。ひとつの興味のあることに没頭して、繰り返しひたすらやり続けること。あの夜に私たち夫婦で目にした息子の姿、時折激しく感情をぶつけることもギフテッドにはよくあることらしい。そして、高いiQを持っていることだけでギフテッドとも言い切れないそうだ。そうやってあれこれ調べれば調べるほど、ギフテッドそのものの定義のあいまいさが浮き彫りになるばかりで、結局わからないことのほうが蓄積していった。
ギフテッド本人や家族にとって大事なこととは?
![](https://assets.st-note.com/img/1676279505726-zoCk6gR9lM.jpg?width=1200)
調べるだけにとどまらず、オランダのギフテッド本人とその家族を支援する団体や、ネットワーク、教育機関に連絡を取り合って、話を聞いたり訪問したりする機会ももらった。そういったことを繰り返しながら、徐々にオランダにおけるギフテッド教育の考え方に触れ、アメリカを代表とする他の先進国での経緯や日本でのこれからの取組について、考えさせられることも多くなっていった。そして、ちょっとした違和感も感じている。「ギフテッド」という言葉だけが一人歩きし、その能力開発にばかり目がいってしっているがために、本当にその本人や家族にとって大切なことが置き去りにされてしまってないだろうか。
そして、オランダからギフテッドを語ろうと思った
![](https://assets.st-note.com/img/1676279291012-tEVpPON2Hs.jpg?width=1200)
幸いなことに、私が今住んでいるオランダは、世界有数の教育水準と子育ての哲学が育まれてきた先進的な場であり、世界で一番子どもが幸せな国でもある。そういったオランダのギフテッド教育のあり方を見聞きし、伝えることだけでも、何か物事をあるべき方向へ突き動かす推進力になるかもしれない。その想いで、「オランダから子育てと教育のことを語ろう」と思い立った。
![](https://assets.st-note.com/img/1676279586613-lUA6rvhDHo.jpg?width=1200)
結局のところ、息子がギフテッドかギフテッドでないかは、正直今はどうでもよくなってきている。ギフテッドだろうとなかろうと、息子本人にとってそれはなんら特異なものではなく、ごくごく自然な個性のうちのひとつでしかないと思うからだ。無邪気に父親である私をからかいながらじゃれてくる息子の笑顔を見ていると、なんとなく、普通の4歳の子どものようであり、思い違いだったかもな、と思わなくもない。でも、せっかく調べたり、つながったり、そしてそこから考えたことを、この場を通して伝えていくことは続けていきたいと思った。それが微力ながらも、これを読んだ人、特にギフテッド本人やその家族のみなさんが、自分たちが幸せになるために今の教育や社会をどのように変えていくべきかを考えるきっかけとなり、それを実現するために行動を起こす勇気を少しでも与えることができたらと願っている。