浅倉透「ふふっ、魔力ないわ」
※アイドルマスターシャイニーカラーズの話です。
白昼堂々、というわけではない。サーヴァントの存在が一般の目に触れることは禁忌だ。ましてや宝具や魔術を使用されては魔術の神秘を削ぐ事になる。
だが、基本的に大きな土地を使う聖杯戦争を除いてはこんな昼間に戦闘を持ちかけてくるサーヴァントは殆どいないはず。 だからセイバーも連れてきていない。無警戒とはまた違う。まぁ、なんとなく襲われる気はしなかったから連れてきていない。
そんな軽率な思いと裏腹に、今目の前には見知らぬサーヴァントがいる。
丸腰の彼女を襲ったサーヴァントは不気味に光る槍を構える。強襲というか暗殺が得意なのか。とにかく絶体絶命のピンチだ。
周りに人はいない。ある程度魔術で対抗できる。それならここで丸腰の状態で戦うしかない。その間にセイバーが来るのを待とう。そうしよう。
────だが、そう思ったのも束の間。
浅倉透「あれ」
不思議とさっきまであった魔力が無くなっている。
昨日の銭湯で失った分がまだ回復していないのか、何か呪いをかけられたか。
浅倉透「ふふっ、魔力ないわ。」
彼女はそう言って眼前に迫るランサークラスの英霊に笑って見せた。余裕、諦め、そんな感情からくるものではない。ここで絶たれる運命であるというのなら仕方がないと、邪念も欲も一切無い透明の如き感情をもつ彼女の本能が笑わせのだ。ここで敗北するのは残念ではあるが、万能の杯に執着もない。何故なら彼女にとっての聖杯戦争とは、道端で何気なく交わされるじゃんけん程度の重みしかないからだ。ああ、でも。
──あともう一度くらい、あの人と話したかったな、とか思ったり。
??「アーチャー、強襲かけて。」
透を貫かんと迫っていたランサーをどこからか飛んできた矢が襲う。ランサーに与えられた流れ矢の加護。飛び道具で彼にダメージを負わせることは不可能に近い。しかし、浅倉透に向けられた殺気を断つには十分な干渉だ。
英霊の槍を止める程の力、即ち他のクラスの英霊の力。ランサーが感知できないほどの距離からきた強力な襲撃となれば、それはアーチャークラスの英霊のものだということは自明だ。好機と見たのか物陰からアーチャーのマスターである彼女が姿を現した。
樋口円香「ほんと、浅倉ってば昔っからそう。」
浅倉透「え、なんで。」
樋口円香「こっちのセリフ。なんでセイバーがいないの?」
浅倉透「まだ昼間だし、連れてこなくてもいいかなって。」
浅倉透「そしたら、なんか襲われちゃった。セイバーいないのに。」
樋口円香「(ため息)…。どうせ、令呪の使い方も理解してないんでしょ?」
※ここのため息は「はぁ…。」という音とは限りなく近い音ではあるがテキストでは「……。」で表されてるシャニマス特有のやつ。樋口円香の得意技。
浅倉透「えっ、あー。うん、わからん。」
樋口円香「アーチャー、ランサーを止めておいて。私達が退避できるまで。」
※画像は聖杯戦争とは無関係の湿布の話
この2人が聖杯戦争に参加したらこういうシーンがあると思います。そしてラストでバーサーカーに倒されたアーチャーの敵討ちをセイバーが果たすパターンですよね。
シャニマスやってるとこういう攻防を繰り広げるノクチルが頭を駆け巡るので楽しいですね。特に浅倉は感覚で生きているというか脊髄が喋ってるようなキャラクターだと思ってるので、こういう殺し合いする世界観で結構最後まで残るやつな雰囲気を当てはめやすいです。
それだけキャラクターの深度が深いというか、もはや3次元レベルで多彩な色を見せてくれるのは魅力であり、シャニマスの最大の特徴です。
この間追加された越境イベント、アジェンダ283のコミュは特に個々の考え方や行動に芯のある個性が見えるという、ゴミ拾いというテーマからは想像もつかない人間関係が描かれていてとても最高です。早く真乃以外と会話するノクチルを見てみたいですね。
シャニマスでは完璧な答えみたいなものは出さずにいる場合も多いので、考察の幅をきかせればきかせるほど自分だけのアイドル像が見えるのです。その幅をきかせすぎた人がこのように幻覚や幻聴を経験し、これって公式だっけ?っていうなかなかヤバいベクトルに向かっていってしまうわけですね。楽しみ方は人それぞれですがやはりここまで傾倒するともう止まらないのも多くの人が堕ちてる道です。
とはいえやればやるほど疑問も湧いてきます。
『杜野凛世のPと黛冬優子のPは同一人物なのか?』
最近これすごい思います。なんなんすかねこれ。
大学でシャニ学専攻したかったです。
樋口円香Pより