塾で寝てたら銃を向けられてた
中3の2学期。
高校受験が徐々に近づいていたので、
学校以外の勉強の時間も増えていた頃だ。
友達に誘われて入った塾は個人経営。
在席していたのはS先生の1人だけで中学生1-3年生全員教えていた。
事務員なども一人もいない、
完全一個人経営だ。
一学年10名以上いたわけだから、
30名以上の生徒を教えながら
経営もしていたのはすごく器用だなと思った。
そんな彼は知識が豊富で授業も面白かった。
授業後、
男子の居残るメンバーを巻き込んで
ガストとかボウリングに連れていってくれた。
家からのお小遣いがほぼなくて
外食やレジャー施設に遊びに行くことがほぼなかったので、
彼らと一緒に遊ぶのは本当に楽しかった。
S先生は生徒いじりが雑な時もあるが、
彼のキャラをみんな知っていたので
いじめと受け取る人は一人もいなかった。
僕もいじられる対象の一人で
いじり方が雑だと感じることもあったが
面白いことが大半だから半ば受け入れていた。
前回いじめられていた塾と比べたら格段に居心地は良い方だったと思う。
居心地が良かったから
授業中寝た時にチョップを食らう時もあった。
そういうのも含めておもしろかった。
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受験の3ヶ月前のある日。
自習するためにS先生の塾にむかった。
塾の教室は
授業用の教室と小さな教員室兼自習室のみ。
自習室は埋まっていたので
低学年が授業を受けている後ろで
自習することにした。
晩飯を食べた後だったので、
1時間経ったあたりで眠くなってきた。
寝たら怒られるやろうなー
と思っている内に、
ふと意識が飛んでいたようだ。
すると、
左目の下に爪で思いきりつねられたような激痛が走る。
何が起こったかわからず顔を上げる。
すると授業を受けるために前に座っていた塾生が2つの場所に視線を向けてざわついていた。
1つは僕の方。
もう1つは僕から見て5,6m先の半開きになっている出入り口。
痛みで涙目になりながらじっくり出入り口を見つめると人影が見える。
S先生だ。
先生の手には両手じゃないと持てない大きさのライフルを持っていた。
ライフル銃のエアガンで僕の目の下を撃ったことをすぐに察した。
僕が気づいたのを察した瞬間、
S先生はドアを締める。
先生がいなくなった途端、より教室内は騒然となる。
一分後、S先生は戻ってきて
何事もなく授業を始め出した。
どういうことだ?
何が起きた?
人をエアガンで撃っていいの?
騒然としてたのになんで普通に授業が続いてる?
頭の中が1日中混乱する。
勉強に集中ができないので
早々に帰った。
その日からのS先生は、特に変わらない様子だった。
数カ月後に高校受験に合格したと同時に、
塾を卒業した。
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1年近く経ったある日。
実家で毎日取ってた朝刊で驚愕の事実を知る。
S先生が覚醒剤所持で逮捕されたと。
絶句した。
しかも、
覚醒剤を所持しはじめた時期と
僕が塾に通っていた時期が被っていた。
あの先生が?
そんなことする人だったか?
と思い巡らせた時に「あ、」と思いつく。
そういえば
ある時から授業中に教室離れることが増えてたし、
教員室に生徒が入ることが少なくなっていた。
授業中に覚醒剤を打っていたことを想像すると、ゾッとする。
エアガンで僕を撃ったという奇行も、
少し納得がいった。
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そのまた1年後。
事件のこと忘れていた頃。
地元の図書館に向かう。
図書館の前の交差点で
すれ違った車の中の運転手をたまたま見た時に、ゾッとした。
S先生である。
髪型や体型など明らかにS先生だった。
その時の僕の顔は、
明らかに青ざめていたと思う。
出所したのか?
見つかったらなんか変なことされるんじゃないか?
と疑心暗鬼になる。
結局僕に気づくことなく彼は走り去っていった。
覚醒剤をする人って身近にいるものなんだな。
と子どもながらに思った。
つづく
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【当noteの発信内容】
当noteは、
占い師からただのフリーターになった何者でもない32歳の男が、
自分史を通じて
自身の人生のミッション(役割)を見つけだすことで、
自分探しの旅を終わらせるまでの軌跡をつづっていく。
人気占い師から、ただのフリーターになった男の話
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