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世界の見え方が変わる
冬休みが終わったと思ったら三連休で、何となく調子が狂います。仕事もまだ本格的には始まらなくて、昨日も今日も、夢中で粘土いじりをしていました。
粘土という新しい趣味を見つけてから、テレビを見ていても、人の顔が大きく映るたび、鼻はあのあたりから生えているのか、頬骨はこんなふうになっているのか、などと、顔の造形を観察するようになりました。自分の顔を洗うときも、そうか、ここがこう盛り上がって、ここはこんなふうにくぼんでいるのか・・・と、じっくり凹凸を味わうようになりました。これまでさほど興味を持って見ていなかった、古今東西の立体造形物にも、俄然興味が湧いてきました。
新しい趣味ができると、見える景色が一変します。今まで、見ているようで全然見えていなかったものが、突然くっきりと輪郭を帯びて輝き出し、まるで、生まれ直したような気分です。この世界に生まれてまだ数年ほどの子どもたちは、こんなふうにして世界のすべてを、おっかなびっくり味わいながら過ごしているのかな。
昨日は、古代エジプトの若きファラオ、ツタンカーメンを、彼の生前の姿といわれている胸像の写真を見ながら作りました。
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長女がツタンカーメンをこよなく愛しているので、がっかりさせないよう頑張りました。出来上がったものを見せたら「いいと思う」と言ってくれたので、満足です。作りながら、若くして命を落としたファラオに、とびきり美しい黄金のマスクを作った当時の職人たちに、思いを馳せました。
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ツタンカーメンが遠い目をしていたので、今日は王妃アンケセナーメンを作って、隣に置きました。
アンケセナーメンの顔は完全に想像ですが、ツタンカーメンの肌に油を塗ってあげている仲睦まじい絵があったり、ツタンカーメンの棺の中にアンケセナーメンがたむけたのかもしれない花束があったりして、きっと包容力のある温かい人だったのだろうと思い、穏やかな顔になるように、ああでもないこうでもないとかなり時間をかけて作りました。しかし残念ながら、長女に見せたら「いいけど、アンケセナーメンはもっと美人」とのこと。確かに、王妃になるくらい人だから、もっとキリリとした美人だったかも。必死でいじりすぎて首にヒビが入ってしまったので、乾いてから修正するつもりです。
この2体を作り終えたら、猛烈に燃え盛っていた粘土熱がやっと少し落ち着きました。一つのことに夢中になると、世界がそれ中心に回りだして、視野が極端に狭くなる悪い癖が発動しています。明日はクールダウンで、粘土以外のことをして過ごそうと思います。