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アメージングボンバーマン【Apple Arcade三昧#001】

【Apple Arcade三昧】は、アップル端末で遊べる月額600円のサブスクリプションのゲームアプリ遊び放題サービス、『Apple Arcade』の配信ソフトを勝手に紹介・勝手にレビューする不定期連載。

今回はbornひさびさの更新再開となる序章を経て、第1回ということもあって、まずは誰もが知る名作『ボンバーマン』の新作『アメージングボンバーマン』を取り上げよう。

『ボンバーマン』とは、1983年に初めて登場した、時限式のボム(爆弾)を置き、爆発によって相手を倒すアクションゲーム。ステージにいるすべての敵を倒す(もしくはゴールを目指す)という、ステージクリア型がメインとなるシリーズだが、PCエンジン版で多人数対戦を搭載し人気に火がついた。その後は主に白熱した多人数対戦ゲームとして人気を博し、今も新作が出続けるハドソン(現コナミ)の代表作だ。

ここでは割愛するが(といって少し語る)、特にスーパーファミコンのスーパーボンバーマンシリーズは1人用モードでも多人数モードでも楽しい良作で、著者世代(1980年代生まれ)にはずいぶん長い期間愛された。

時は流れ、2010年代後半になるとFortniteやスプラトゥーンのようなネット対戦ゲームが人気となる。ボンバーマンも例外ではなく、『スーパーボンバーマンRオンライン』と題し、オンライン対戦に特化したゲームをマルチプラットフォームで展開した。(2022年12月にサービス終了。バトル特化ではないが、バトルも強化された後継作としてスーパーボンバーマンR2が2023年発売と発表されている。)

とまぁ、多人数対戦ゲームとして、昔から友達の家に『桃鉄』か『スマブラ』か『ボンバーマン』があれば退屈はしなかった、その『ボンバーマン』のオリジナル新作『アメージングボンバーマン』がなんとApple Arcadeで配信中だ
(何かと前置き長めの筆者。すみません。)

今回紹介する作品
アメージングボンバーマン

Apple Arcadeで配信中(2022年12月現在)

■操作性もよい完全新作ボンバーマン

オシャレな見た目だが、ちゃんと普通のボンバーマン。

単純に『ボンバーマン』のスマホ版が出た、というのであればじつは2014年にもう出ていて、その時の操作性の悪さといったら。Wi-FiやBluetoothでの通信対戦は魅力的だったもののなかなか浸透せず、上述した操作性の悪さは、アップデートもロクにせず、いつの間にかアプリ自体が姿を消してしまったようだ。

だが今回の操作性はかなり良い。とまではいかないがスマホにしては頑張っている。コントローラーが推奨だけども、寝る前に一戦、二戦程度なら許容範囲か。
ナナメ入力に対応しているが、設定で十字のみの反応に切り替えられたりする。これで良くなるか?というと少し微妙だが、なんと言っても最近のアップル端末はNintendo SwitchのJoy-Conにも対応。小さいながらもタッチよりはかなりマシ。コントローラーを持ち歩いてプレイするのも良いだろう。

そして勝敗についてだが、今回はなんと一度やられただけでは終わらない、スコア制。なので、やられても数秒後には復活する。
最初にSCOREを6000点持ち、誰をどのようにやっつけたのか(やられたのか)、自爆なのかなどによってSCOREが増減し、制限時間が終わった時にたくさんのSCOREを獲得しているものの勝ち、というものになった。
色塗り加減で勝敗が目に見えるスプラトゥーンよろしく、本作はさらにSCOREでハッキリ今の順位が見えているぶん、SCOREの高いプレイヤーへの集中攻撃やボムでの挟み撃ちなど、点取り争いは激化すること必至。
ちなみにタイトルにもある『AMAZING』は、現時点でSCOREを一番持っている敵を倒した時(+4000点)に『AMAZING!』と表示されることを指しているようだ。(他に意味もあるだろうが。)
ゲーム性で考えれば、逆転を狙って強い敵を倒しにいきたくなるような、順位の頻繁な入れ替えを狙った作りになっているということだ。

継続してプレイするのに大事な、オンライン対戦ゲームの累計ポイントなどのお話。
オンライン対戦専用ゲームでありがちな、週間ユーザーランキングで一喜一憂するものも楽しいが、本作では一戦ごとの「勝敗によってもらえるポイントが違うよ」程度。他プレイヤーとはそれ以外で争うことはなく、自分だけのペースで成長していける、ライトユーザー向けのシステム構成と言ってよいだろう。

レベルアップの条件もそんなに厳しくない。やっていればいつかはレベルアップできるだろう。もらえるのはアイコンや対戦前に表示できるポーズくらいだが。

■オシャレなボンバーマン

なんといってもこのオシャレなグラフィックが今回のボンバーマンの良いところ。
今も続く人気作をオシャレにするときっていうのは、たいていクラシックなグラフィック(だいたいファミコンとかのドット時代)を踏襲しつつ、現代風のアレンジを加えたりするものだが、この作品も例に漏れず。
かつてのファミコンやスーパーファミコンで使われたアイコンたちが登場し、懐かしさを盛り上げる。かつ、操作キャラクターは3Dにしていて、あくまで懐かしい要素は部分的でオシャレな使い方におさえている

SCOREのキャラクターアイコンはおそらくファミコン版から。左に見える火薬のアイコンはスーパーファミコン版あたりのものだろう。

こうして、“懐かしくも新しいクラシックゲーム”を作り上げるのである。悪いことではない。最近の主流である。

MAIN MENUの画面。オシャレなアニメーションとともにメニュー紹介。テレビやモニターに映るキャラクター、落ちているゲームソフトは懐かしさを感じるものばかり。

■音楽とボンバーマン

今作の特徴としてもっとも特徴的なのが、“対戦時に選ぶBGMによって、ステージのギミックやドロップアイテムが変わる=ルールが変化する”というもの。
対戦ゲームの場合、これまでの『ボンバーマン』でもあったように、対戦する前にはギミックが違うステージを選択して戦略を変えたし、BGMはあくまでステージを盛り上げるための音楽として設定されていたりしたものだが、今作は
音楽を選ぶこと=ステージ選択、つまり戦略の決定
ということになる。好きな曲で遊んでいればいいというわけではないのだ。
どの楽曲を選んでもステージ自体の形状は初代から続く四角形で変わらないが、楽曲によってブロックの配置が変わっているほか、プロモーションビデオのような映像のエフェクトが画面全体に広がってプレイを阻害したり、ブロックの出現や、アイテムが降ってくるタイミングがリズムに合わせて行なわれるということもある。楽曲は短いループではなく、ほぼアーティストがオリジナルで作った一曲まるまるが流れるので、このタイミングを覚えてしまえば、楽曲の終盤で突然現れる大量の火薬やスケート靴のアイコンを一気に拾って大逆転を狙う。という今作だけの戦略も可能というわけだ。

もちろんBGMとなる楽曲自体も本作の魅力のひとつだ。
YMCKという8BITミュージックに定評のあるアーティストの楽曲や、アイドルユニットによるエレクトロダンスミュージック、過去のボンバーマン楽曲のアレンジなど、どれも本作オリジナルで制作されたバトルBGMである。しかも、楽曲に合わせてバトル時間が変動しているのも地味に面白いところ。1:59だったり、3:00だったり。約1分の差はデカくない? 
短期決戦か逃げ残るか、戦略は楽曲によって大きく変わるのだ。

ある楽曲の、序盤とはいえ突然画面をガッツリ包み込んでプレイヤーを驚かせるネオンサイン。
規則正しい配置で突然出現するスケート靴。一気にこのアイテムの取り合いからスピード重視のバトルに変わっていく。
ちなみにバトル中は下にタイムバーが出ている。

■気持ちいいボンバーマン

さて、ここからの見出しは「気持ちいいボンバーマン」。実はこれと似たようなことを、今後もApple Arcade記事では伝えていくと思うのだが、非常に伝えづらい…どうしたものか。

というのも、この『アメージングボンバーマン』。個人的に何が一番刺さったかというと、ゲームプレイ中の振動だ。
同じゲームでいうとPS5のコントローラー「DualSense」には、なにかを触ったときの触感まで感じられるような細かい振動機能があるが、さすがにiPhoneでそこまでの微細な振動は再現できないものの、MAIN MENU画面でのかなり細かなリズムに合わせた「コツ」「コツ」という振動、バトル中にボムを置いたときの「ポコッ」、爆発時の「ボボボボッ」など、これまでに感じられなかったボンバーマン体験になるはずだ。

この体験についてだが、文章で説明するのはなかなか難しいが、割と新しいiPhoneを使っている人なら分かることだろう。「触覚タッチ」の感覚である。

iPhoneユーザーであれば、文字入力をしているとき、画面上のどこかを長押ししたとき、Apple Payで支払いを完了したとき、まるで何かを触ったかのような「コツン」と画面が振動する感覚を味わったことがあるはずだ。これが本作にも活かされているというわけだ。
この「触覚タッチ」は、本作に限らずApple Arcade作品ではかなり効果的に使われているので、ぜひ体験してほしい。

Apple Arcadeに入らずとも、「触覚タッチ」の振動を感じたい方は、iPhoneで以下の設定をしてみるとよい。
これが気に入ったのなら、きっと『アメージングボンバーマン』も期待通りに楽しめる。

まずはiPhoneの文章入力などで「触覚タッチ」を楽しもう。
Suicaなどを使った時も感じられる。

■弱点はオンラインの弱さ

これはApple Arcade共通の弱点かもしれないが、著者の中で、「オンラインのマッチング、半分くらいはコンピューター(NPC)説」というのがある。
実際には敵のユーザーネームも、ローマ字や数字だけで構成されていてわからないが、モード選択にある「vs CPU」と「vs ONLINE」の敵の動きにあまり差を感じないことがある。
筆者のプレイする時間帯によるかもしれないのであまり大きなことは言えないが、オンラインゲームの過疎化というのはよく聞く話だ。有料加入制でさらに幾多あるApple Arcadeのゲームのうちのひとつであるし、仕方ないと言えば仕方ないかもしれない。
しかし、それでもパーティーゲームなので、絶妙な運などもあって敵に負けることもある。そして何より、オンラインの相手はその場限り。一度対戦すれば次は会うかどうかもわからない。ランキングを競い合って、いがみ合うこともない。
そんな自由に楽しむゲームなのだ。オンラインの弱さは割り切っていこう。


■総評 “ていねいなクラシック進化系”。

『アメージングボンバーマン』は、こつこつプレイを積み重ねて少しずつレベルアップをしていく遊び方や、ストーリーモードもなくカジュアルに振り切ったビジュアルやBGM、システムを見る限り、数えきれないほどあるApple Arcade作品のうちのひとつとして存在させるために、非常にていねいに作られた作品だと感じた。
カジュアルに振った一方で、クラシックなアイコンを多用して、基本ルールもほとんど変えないことで、昔からの『ボンバーマン』ユーザーも離していない。かつ、新しいユーザーにもこのクラシカルで単純明快な面白さは伝わっているはずだ。
一度で遊ぶ時間は短めかもしれないが、Apple Arcadeに加入しているならアプリを入れておけば、ちょうどよい暇つぶしにもなり、仲間を見つけた時にすぐに対戦!といったことができるかもしれない。非常にお勧めできる作品である。

(こたろ)

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