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タケシとヒロシ【Apple Arcade三昧#010】

今回のApple Arcade三昧は、だいぶ前にNintendo Switch版でもリリースされ、高評価を受けたインディーゲーム『タケシとヒロシ』をご紹介。数あるApple Arcadeのアプリの中でも異色な“短編”のゲームだ。


⬛︎弟思いの兄になろう!

ゲーム概要は、プレイヤーは兄タケシとなって、弟ヒロシのために、作りかけのゲームを遊ばせて接待プレイを行う。というものだ。
弟に遊ばせるのは、「マイティ・ウォーリアー」という兄が未完成のRPG。
次々と現れるモンスターにターン制で攻撃しあうだけの単純なRPGだが、弟に気持ちよく遊んでもらうために、「出現させるモンスターやその数」をコントロールし弟の操作している勇者をやられてしまうギリギリの接戦で勝利させていく。というもの。
ギリギリの勝利になると、弟ヒロシのドキドキ(%)は高まり、その数値が戦闘後に楽しさゲージ(スコア)として溜まっていく。目的はヒロシを喜ばせるためなので、ゲームでただ勝たせるだけでなく、ヒロシの楽しさゲージがノルマをクリアしていないと、シナリオが進まないようになっている。

戦闘後、「ドキドキ」の数字は、そのまま「たのしさ」に反映される。

このゲーム、ストーリー部分については人形劇で語られ、RPGの場面は2Dイラストのキャラでゲーム画面が表現されている。
とくにストーリーの人形劇はかわいらしく、セリフの音声こそないものの、軽快な音楽で会話が表現されているので、音も相まって上質なアニメーション作品を観た気分になる。ぜひ体感してもらいたい。

兄タケシは、弟ヒロシが遊ぶタブレットに遠隔で指示を出し、リアルタイムでモンスターの出現を調整する。

公式のトレーラーはこちらから。

https://youtu.be/I7ynBU-upNM?si=8N6peb661TilOPtH


⬛︎単純だが何度も何度もやってしまう

兄タケシであるプレイヤーは、ラウンドごとに「どんなモンスターを何体出現させるか」といった部分がコントロールできるようになっており、弟ヒロシをドキドキさせるような絶妙な敵の組み合わせを考える
しかしこれがなかなか上手くギリギリで勝たせてくれない。(敵の攻撃にランダム性があるので…)
また、勇者ヒロシにはレベルの概念もあるため、戦うたびにレベルも上がる。おのずとプレイヤーは勇者のレベルに合わせた敵の配置が必要となるため、常に「勇者にとって強すぎないギリギリの強敵を配置しなければならない」というスリルが毎ラウンド訪れる。
5ラウンドで1チャプター進んでいくストーリーなので、ついつい5ラウンド程度なら、と何度もリトライしてしまう中毒性がある。が、前述したようなランダム性をもつ敵を配置しないと歯応えある戦いにならないため、どこか一か八かの運で配置していた部分もあった。

最初は、とにかく配置すればいい、と思ってテキトーに配置。すぐやられてしまう。トライアンドエラー大事。

⬛︎シナリオと音楽も秀逸。

この単純なRPG?ももちろん面白いのだが、その楽しさを支えているのは、なんといってもストーリーなのである。
タケシとヒロシは仲の良い兄弟だし、クラスメイトも一緒になって織りなす学生生活の感じも良い。意外に細かい表情で動き、音楽に合わせて可愛らしい表情を見せる兄弟とその絆の行方を想うと、どんどん続きが見たくなってしまう。
“短編”ではあるが、シナリオの分量もちょうど良く、続きがあればやってみたい。と爽やかな読後感がある

かわいい弟のためなら『マイティ・ウォーリアー』つくっちゃうぞ!

⬛︎短いながらもよくまとまっている良作!

文中でも伝えたが、この『タケシとヒロシ』はやり込み要素があるにせよ、かなり短い時間でエンディングまでたどり着ける“短編”であるところはApple Arcadeにとってかなりの魅力だろう。
『TEMPLE RUN LEGENDS』のレビューにも挙げたApple Arcade以外にも存在する“大量のゲームアプリ”を消化していかなければならない状況(果たして何に追われているのか)から脱して、たとえ短くても魅力的なコンテンツをたくさん楽しむのが人生にとってよい気がする

また、この“短編”をアップルが買い取ってApple Arcade化したという決断は作品の魅力が大きかったのだろう。”現代的でハートフルなシナリオとともに、しっかり遊べるゲームパートがある作品”として多くの人に遊んでもらいたい一作だ。

write by こたろ

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