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【公民連携室】自治体のパートナーとして、持続可能な地域ビジョンを描き共に事業を創造する

2024年10月1日、ボーダレス・ジャパンは地方自治体と連携し地域課題の解決を図ることを目的とした「公民連携室」を新設しました。なぜ、今ボーダレスが地域課題の解決に向けて公民連携を強化することに至ったのか。

13カ国で50以上のソーシャルビジネスを展開するボーダレス・ジャパン代表の田口一成と「ふるさと納税forGood」事業の立ち上げを経て、地域課題解決の最前線で挑戦を続けてきた竹下友里絵が対談しました。


Q. ボーダレスが公民連携室を立ち上げた背景について教えてください。

田口:ボーダレスは、今年18期目を迎えました。創業当初は、世間的に「社会問題」というと途上国のイメージがありましたが、この5年ぐらいで「地域課題」という言葉をよく聞くようになりました。ボーダレスでは、2018年からソーシャルビジネススクール事業「ボーダレスアカデミー」を運営していますが、1,000名以上の社会起業家支援を行ってきた実績から見ても、地域課題に取り組む社会起業家が年々増えている印象です。

私たちが感じている社会の変化は大きく2つあります。1つは、日本社会が直面している経済的・人口動態的な課題。地方の人口減少もまさにそうです。もう1つは、人々の価値観の変化です。単なる経済成長・拡大ではなく、あえて小さいことが豊かであるという価値観も広がってきています。

竹下:そうですね。私自身、昨年「ふるさと納税forGood」というポータルサイトの立ち上げに関わった経験があるのですが、その過程でたくさんの自治体を訪問しました。その時に、日本の地域が抱える課題の深刻さを肌で感じたんです。

例えば、高齢化率が50%を超える人口わずか500人ほどの村を訪れた時、特に医療などのインフラが十分に機能していない現状を目の当たりにしたことがあります。こういった深刻な地域課題に対して、ボーダレスが貢献できることがあるのではないかと考えました。

田口:竹下の経験もそうですが、ボーダレスは現場のインサイトを取りに行くことをとても重要視しています。そこに住む人たちのお困りごとは何なのか、どんなアプローチをすれば課題を解決することができるのか。ボーダレスが培ってきたネットワークやノウハウをどうすれば地域課題の解決に生かすことができるのか考えた結果、公民連携室を新設することにしました。

Q. ボーダレスはこれまで主にビジネスを通じて社会課題に取り組んできましたが、なぜ今、行政との連携に踏み出すのでしょうか?

田口:確かに、これまではソーシャルビジネスを通じて社会課題の解決に取り組んできました。しかし、地域課題の解決には行政との連携が不可欠だと気付いたんです。ビジネスだけでは届かない領域があり、また行政だけでも解決が難しい問題があります。そこで、私たちのビジネスノウハウと行政の持つリソースや権限を組み合わせることで、より大きなインパクトを生み出せると考えました。

例えば、教師の働き方改革や、探究学習の充実などを実現する、新たな学校運営モデルの構築というテーマがあります。これは教育行政と密接に関連するため、民間企業だけでは実現が難しい課題です。一方で、ICTを活用した業務効率化や、企業と連携した実践的な探究プログラムの開発など、従来の運営の延長線にはない、新たな手法やテクノロジーの導入には、民間のノウハウが不可欠です。

竹下:この話を聞いても、ボーダレスが行政と民間の間に入り、コーディネート・プランニングをしていくイメージが湧きました。ボーダレスが今年の6月に開催した「ENJIN」に参加いただいた社会起業家、プロフェッショナルの方々との連携も実現可能ですよね。ボーダレスには、多様な分野のソーシャルビジネス実践者とのネットワークがあります。これらのネットワークを活用することで、地域特有の課題に対しても、多様な視点からアプローチできる可能性が広がると考えます。

Q. 今後、どのようなアプローチで公民連携を進めていく予定ですか?

田口:強調しておきたいのは、私たちが単にプロポーザル案件を取りたいわけではないということです。自治体のパートナーとして、どんな地域を作っていくかを一緒に考え、事業を創造していきたい。そういう強い思いがあります。

具体的には、まず地域の方々や行政と対話を重ね、その地域が目指すべきビジョンを共に描きます。そして、そのビジョンの実現に向けて、私たちのネットワークやノウハウを活用しながら、具体的なプロジェクトを立案・実行していく。このプロセス全体に伴走するのが、「公民連携室」の役割だと考えています。

竹下:とてもやりがいのある仕事だと感じています。このアプローチの中で最も重要なことは、市民参加です。「官民連携」ではなく「公民連携」という言葉を使っているのは、まさにこの理由からです。地域の課題を最もよく知っているのは、そこに暮らす市民です。その声を聞き、共に解決策を考えていきたいですね。

例えば、地域の空き家問題に取り組む際には、単に行政と不動産業者が連携するだけでなく、地域住民の方々とワークショップを開催し、空き家の新しい活用方法を共に考えるなど市民も参画できるプログラムを用意します。そこから生まれたアイデアを、ボーダレスのネットワークを通じて事業化していく。このような、市民、行政、民間企業の三者が一体となったアプローチを目指しています。

Q. 最後に、公民連携室の今後のビジョンについてお聞かせください。

田口:私たちの短期的な目標は、まず3〜5つの自治体とパイロットプロジェクトを立ち上げることです。それらのプロジェクトを通じて、公民連携の具体的な成功事例を作り出したいと考えています。

今まで取り組んできた社会起業家の育成支援はもちろんですが、例えば、ボーダレスのクリエイティブの力を活かした特産品開発や、公教育現場におけるアントレプレナーシップ教育の導入など、各地域の特性に合わせた取り組みを展開していきます。

中長期的には、これらの成功事例をモデル化し、全国の自治体に展開していくことを目指します。ある地域で成功した取り組みを他の地域にも適用し、それぞれの地域の特色を活かしながら発展させていく。そうすることで、地域間で良い影響を与え合う好循環を生み出したいと考えています。

竹下公民連携室の活動を通じて、「市民参加型の地域づくり」という文化を根付かせていきたいと思います。行政、企業、そして市民が対等な立場で地域の未来を考え、行動する。そんな当たり前の光景を、日本中の地域で見られるようにすることが我々の大きな目標です。

具体的には、地域課題解決のためのワークショップやアイデアソンを定期的に開催し、市民の声を直接施策に反映させる仕組みづくりを支援していきます。また、地域の若者や学生たちが地元企業や行政と協働でプロジェクトを進められるようなプラットフォームの構築も今後のアイデアの1つです。

田口:そして、これらの活動を通じて、「地域」という枠にとらわれない新しい価値観やコミュニティの形成も促進していきたいと考えています。例えば、複数の地域をまたいだプロジェクトチームの結成や、地域間での人材交流プログラムの実施など、従来の行政区分を超えた協力体制の構築を目指します。

このように、公民連携室は単なる「行政と民間をつなぐ」存在ではなく、日本の地域社会に新たな可能性を吹き込む触媒としての役割を果たしていきたいと考えています。私たちの活動が、地域に暮らす人々に希望を与え、そして日本全体の地方創生の一助となることを願っています。

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TOPICS「ボーダレス・ジャパン、自治体連携を強化するため「公民連携室」を新設
Text:Yurie Takeshita
Edit:Mikiko Mine

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