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しずおかフィナンシャルグループが新たな価値創造へ___次世代育成プログラムHOPEで若手エースを送り込む真意

大企業の次世代リーダーを育成するプログラム「HOPE」。企業の未来を担う人材が期間限定でボーダレスのいち社員として働き、視点・判断基準・リソースなどすべてが異なる「新規事業開発」の現場に身を置くことで、どう変化し、どんな成長を遂げたのか。本人と企業担当者へのインタビューを通して、HOPEのリアルに迫る。

今回は、2023年から2年連続で次世代リーダー育成プログラム「HOPE」での人材育成を決めたしずおかフィナンシャルグループ グループ事業開発部事業開発室長の白石紘康さんに話を聞いた。

プログラム受講者のインタビューはこちら


白石 紘康さん
2000年、株式会社静岡銀行に入行。約20年間営業店で勤務後、支店長を経験後に全国地方銀行協会へ出向。約1年の出向期間を経て、しずおかフィナンシャルグループのグループ事業開発部の事業開発室長を務める。


新規事業開発、地域金融機関としての競争力を強化するために

2021年の銀行法改正により、地域の活性化や社会課題解決の目的であれば、金融領域以外への事業展開が可能となったしずおかフィナンシャルグループ。グループ全体を俯瞰し、シナジーを生みながらインパクトを出す新規事業開発に特化した組織として、事業開発部(現:グループ事業開発部)が発足された。

「いざ、新規事業開発に取り組もうとした時、銀行員の私たちは決算書を読んだり、事業計画書を書いたりすることはできても、実際に事業を立ち上げるノウハウがないことを痛感しました。さらに地域の課題解決というテーマにおいて、どういった考え方でビジネスを生み出せばいいのかわからず、いろいろと模索していた際にボーダレス・ジャパンのことを知りました。」

ビジネスで社会課題の解決に取り組み、50以上の事業を展開するボーダレスを知った白石さんは、代表の田口と話した際にとても心が震えたという。

「田口さんの著書も読んでいましたし、ボーダレスへの理解はそこそこあるつもりでした。しかし、実際に田口さんの話を聞いてここまで本気で社会課題解決に取り組んでいる会社はないと思いました。正直に、新規事業開発に取り組みたいけれど、ノウハウがないと相談したところ、提案してもらったのが次世代リーダー育成プログラムHOPEです。大手自動車メーカーや大手金融機関などの先行事例もあり、非常に興味が湧きました。」

話を聞くのではなく、現場を見ることにこそ価値がある

一定期間、よその会社に自社の人材を送り込むことは、人事の立場からすると大きな意思決定になるだろう。しずおかフィナンシャルグループが、若手人材を送り込む決断を下した背景にはどんな思いがあったのだろうか。

「ノウハウがない我々としては、新規事業を生み出す現場を見てみたいという気持ちがありました。田口さんも”来ていただいた社員の方には新規事業開発のメンバーになってもらい、全てお見せします。”とおっしゃっていて、裏表がない姿勢を感じました。研修などを取り入れ、自社で内製化することも選択肢の一つでしたが、HOPEを活用して自社と異なる環境にどっぷりと浸かってもらうことに価値があると思いました。社長の柴田からも”トライしてみよう”と激励をもらい、次世代リーダー育成プログラムHOPEの導入を決めました。」

どの社員が第一号としてボーダレスに出向くかは、社内公募で決めたという。

「年に一度、公募を募る機会があるのですが、本件は時期が合わず特例の公募を行いました。手が上がるか不安もありましたが、いくつかの応募がありました。地域に貢献したい気持ち、夢や情熱がある若手の人材にいってほしい気持ちは強かったです。私の役割は、HOPEでボーダレスに行く社員を心から応援し、戻ってきたときに活躍できる受け入れ体制を整えることだと思い、その役割に徹しました。」

6か月で起きた変化、異なる環境こそが人を成長させる

社内公募でボーダレスへ出向くことになったのは、入行7年目の岩﨑璃乃さん。定期的に行われる企業側への報告会で彼女の変化をどう見ていたのだろうか。

「最初の3ヶ月、岩﨑が悩んでいる様子がひしひしと伝わってきました。銀行員としてのプロ意識を持つ彼女にとって、主体性や自分の意見を求められるボーダレスの文化や環境に適応するのはとても難しいことだったと思います。」

しかし、変化が訪れたのは半年が経過したころ。

「いつもの報告会での岩﨑の様子に変化がありました。発表内容もさることながら、自分の言葉で堂々と話す姿に大きな衝撃を受けました。人は、半年でここまで変わるのか!と。同じ部署の先輩社員たちも”完全に追い越されました”と度肝を抜かれた様子でした。端的で分かりやすいプレゼンの中でも、一番刺さったのは彼女が自分の言葉で静岡への思いや理想の社会を語る姿でした。彼女が大きな変化を遂げたのは、自身の殻を破り”自分の意見を言っていい” ”失敗は恥ずかしいことじゃない”というボーダレスの考え方を自分のものにできたからだと思います。」

自社に戻ってからのミッションをつくることの重要性

岩﨑さんのボーダレスでの勤務期間は当初9か月。その間、企業担当者がやっておくべきことについて話を聞いた。

「変化を目の当たりにしたことはもちろん、彼女がしずおかフィナンシャルグループに戻ってきてからのことを考えておくのが私の役割でした。自部署でどんなことができるかを検討し、最終的に地方自治体と協働で高校生向けの社会課題解決プロジェクトを始動させることを決めました。

地域の金融機関が新規事業開発に取り組む際に果たすべき役割は、一人称で新規事業に取り組むだけではなく、地域の人とともに社会課題の解決に取り組める環境をつくることも意義があると思ったからです。」

同プロジェクトの名前は「GOTEMBA MIRAI PROJECT 2024 powered by TGC」。プロジェクトの中心的な役割を任されているのは岩﨑さんだ。

「7月からスタートしたプロジェクトですが、大きな方向性を伝えただけで、自分でタスクを洗い出し、クオリティの高いアウトプットを出してきます。自分で課題を見つけ、解決するための方法を見出し遂行できるところは、HOPEの経験が生きていると感じる瞬間です。まずは、このプロジェクトを成功させ、今後は地域とのハブとなり、様々なプロジェクトを主導していって欲しいです。」

次年度もHOPE継続を決定。理由に追加された「人材育成」の側面とは

しずおかフィナンシャルグループは、2024年度も次世代リーダー育成プログラムHOPEを継続し、2人目の社員をボーダレスへ送り出している。新規事業開発のノウハウを求めて導入を決めたHOPEに、人材育成の面でも大きな可能性を感じたという白石さんに今後の展望について話を聞いた。

「さまざまな社会の変化から、地域金融機関で働くものに求められる専門性は、金融領域に限りません。今後、地域で社会課題に取り組む人と共に歩んでいく上で、自らが新規事業開発に取り組むことは、お客さまを真の意味で理解し、有益な価値提供につながると思っています。二人目の社員は、本人の経験やノウハウの獲得はもちろんですが新しい考え方を組織に根付かせたい思いから決めました。」

二人目の社員にどんな声をかけているのかという質問に対し、

「今年度送り出した長谷川は、社内ベンチャー制度に2年連続で手を挙げるほど熱量がある人材です。彼には、”期間中は銀行員であることを忘れるほど中に入り込み、静岡の社会課題を解決するために自分に何が必要か感じてきてほしい”と伝えました。ボーダレスの新規事業開発は、「本気の失敗ができる」という大企業では難しい経験ができる場所だと思います。自分の意志をもった本気の失敗を経験し殻を破ることで、自分の夢や果たすべき役割に気づく経験を経て大きな成長を遂げ、未来を切り拓く次世代リーダーとして活躍してくれると思っています。」

地域金融機関が社会に生み出す希望とは

最後に、しずおかフィナンシャルグループとして白石さんの今後の社会課題解決への思いを語ってもらった。

「私たち地域金融機関が果たすべき役割は、地域で社会課題に取り組む人と一緒に課題解決に貢献していくことだと思っています。銀行が築いてきた信用や信頼に裏付けられた実績とこれから育んでいく事業開発の経験をもって、お客さまに本気で向き合い、真の価値を提供することには大きな可能性があります。

静岡から社会課題を解決する事業やプロジェクトがどんどん生まれていき、地域が活性化されていくことが私の夢です。その時、重要なのが「若い人の力」だと思っています。失敗を重ねながら、どんどん挑戦していく若手の力こそが地域を盛り上げる力になります。ボーダレス・ジャパンとは、HOPEのみならずさまざまな形で連携し、これから一緒に社会を良くする活動に取り組んでいきたいですね」

地域金融機関としての新たな役割を果たすことで、大きなインパクトを生み出せる可能性に懸けたいとインタビュー冒頭に力強く語った白石さん。地域の方々と本気で向き合うために新規事業に取り組み、情熱をもって未来を担う次世代リーダーの育成に取り組む実践者としての姿に大きな希望が感じられた。

会社を変え、社会を変える次世代リーダー育成プログラム「HOPE」

社会問題をビジネスで解決するために、大企業の皆さまと共に取り組むことで、社会変革を起こしていきたい、という希望を込めたプログラムがHOPEです。今年は新たに3つの企業からの受け入れを開始しました。

しずおかフィナンシャルグループをはじめ、様々な企業からの社員がソーシャルベンチャーの現場で、視点・判断基準・リソースといったすべてが異なる環境に身を置き、大きな変化を遂げて企業に戻ってから活躍しています。

「今までとは異なる視点をもち、組織に新しい風を吹かせる次世代リーダーを育てたい」
「ソーシャルな視点をもった新規事業開発をできる人材を育成したい」

そういった今後の大企業の未来を担う人材の育成をご検討の企業様はぜひお問い合わせください。

HOPEについて詳しくはこちらをご覧ください。

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ボーダレス・ジャパン、次世代リーダーを育成する出向プログラム「HOPE」で京セラ・ふくおかフィナンシャルグループ・しずおかフィナンシャルグループの3社を受け入れ開始
Text:Mikiko Mine

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