どう選り分けて、どう見せるか。本の売り方と新しい図書目録のはなし。
弊社(ボーダーインク)は1990年の創業、今年で32年を数える沖縄の出版社である。それなりの数の本を出してきたし、現在進行形で出し続けている。会社から徒歩数分の場所にある倉庫には、これから世の中に出ていく予定の本たちがズラリと並んでいる。
本というのは、同じ商品を継続的にくりかえし購入してもらうタイプの商品ではない。飲食物のように「食べてしまって無くなったので同じものを買ってくる」ということはないし、腐りも減りもしないから、基本的には一度買えばだいたいそれで終わりである。
なので、たくさん売れるためには、同じ人に同じ商品をくりかえし買ってもらうのではなくユーザーの数を増やさないといけない、ということになる。
ユーザーをどうやって増やすか、「たくさんの人が買いたくなるようなヒット本を企画する」という身もふたもない話はさておいて、本というのは生活への密着度は高め、家具や建物などの大物より気軽に買えるし持ち運びもできるから、まずはその特徴を生かした「組み合わせの妙」で販売することが多い。
あっちの本とこっちの本をセットで売るとどうなるか。今まで本を扱っていなかった、あの店に現場にこの本を並べてみたらどうなるか。この著者とこの著者さんをコラボしてもらったらどうなるか。
類似ジャンルで並べるのではなく、本と本、本と店、本と人、意外な組み合わせにすることによって、今まで気にとめていなかったユーザーへのフックになったり、既存の読者が知られざる本を見つけて買ってくれることが少なくないのである。
「意外な組み合わせ」であることを積極的にポップや広告などでPRすることもあるし、意外性を押し出さずに自然にその場に馴染むような演出をすることもある。どんなふうに売れてほしいかを念頭において「場のデザイン」をするのも醍醐味のひとつだ。
冒頭で言ったようにボーダーインクは32年にわたって本を発行してきたので、かなり昔に発行してほとんど動きがなくなった本も存在するのだが、そうした古い本が、新しい演出や売り方によって売れたときの嬉しさは何ものにもかえがたい。
なにげなく見かける本の売り場ひとつ、図書目録ひとつとっても、こういう小さな努力が積み重なっていることが伝わってくれれば、なお嬉しい。
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2022年秋バージョンの図書目録がもうすぐ完成いたします。
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さらに、2022年11月に出した図書目録のデータをここで公開したいと思います。
すべての本が載っているわけではないけれど、どんな本を出しているのかの参考にはなると思います。この2021年11月号を含むバックナンバーは在庫切れです。最新号も早めにお求めを。
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