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ピンキーのカッコよさに痺れる。アイラブ漫画喫茶。#5
このマガジンは漫画喫茶のことを書いているのに、何を読んだかの話を一度も書いていないことに気づきました。漫画喫茶コラムのニーズもさることながら、私などが書くマンガの話に興味があるかどうかぜんぜんわかりませんが、記録として面白かったマンガをちょいちょい紹介しようかと思います。
「ピンキーは二度ベルを鳴らす」うめざわしゅん 全1巻
話題の「ダーウィン事変」がとても面白かったので、同じ作者の過去作を読んでみました。
小人症の「ピンキー」を主人公にしたピカレスク・ハードボイルドです。ピンキーはアンダーグラウンドの世界のトラブル収拾人。ストライプのダンディなスーツ姿で、武器は瓶入りの硫酸、口をきかない大男のチーフを用心棒に、知性と暴力で闇社会を暗躍します。
善も時には悪となり、悪も時には善を行う。ピンキーのもとにトラブルを持ち込んでくるギャングやDVの被害者やJKビジネスの女子高生なども、完全な悪人でも完全な善人でもないというリアル具合で描かれており、展開も一筋縄ではいきません。そのアングラな世界の表現も含めて、高品質のマンガ特有の「マジモンの香り」がします。
ダンディズムあふれるピンキー。
名セリフも連発です。
「同情は善意の悪癖」
「生き方を学んでから生まれてくる奴はいない。皆生きながら学ぶんだ」
「“かわいい”と云う言葉は“かわいそう”から枝分かれしている。同情は侮蔑だ」
「言葉は溢れ返り乱発され、遂には致死量に達した。人はもう黙るべきだ」
カッケェ〜〜〜。
世間でいうハッピーエンドとは違うのかもしれませんが、いずれも読後感も素晴らしいです。
ただ、1巻とあっても続刊はなくてたった5話で終わってしまいます。
もしどこかで見つけたらすぐに読んでほしいマンガです。