【恒例洋楽年初企画#3】DJ Boonzzyの第64回グラミー賞大予想#12(完結編)~主要4部門
さて、1月22日に最初の予想記事を上げてから10週間、70日間にわたってシリーズ執筆してきたこの「DJ Boonzzyの第64回グラミー賞大予想」、この12本目でいよいよ主要4部門を予想して完結、日本時間週明けの月曜日4月4日の朝の本番、第64回グラミー賞授賞式を迎えることができそうです。先週木曜日3月31日開催の吉岡正晴さんとの「ソウル・サーチン・ラウンジ~グラミー賞大展望・予想」で発表した自分の主要4部門の予想をここで発表して、今年のこのシリーズ記事の締めにします。その「ソウル・サーチン・ラウンジ」の様子は、吉岡さんのnote.comの記事に掲載されてますので、ご興味のある方は下記↓から。
では最後の主要4部門の予想です。既にお伝えしてるように、今年から主要4部門のノミニーが昨年の8から10に拡大。アカデミー賞の作品賞が10ノミニーになっているからそれに対抗、という話もあるのですが、今回ノミネーション・コミッティーの廃止で、アカデミー会員投票上位8つを見たら、アカデミーが入れたかった「あの」作品が9位か10位で入ってなかったため、急遽10に拡大したという噂が結構信憑性を持って語られています。ノミニー数の拡大の発表がノミネーション発表のわずか数日前だった、というのもこの噂の信憑性を裏付けてる気がしますねえ。予想する側としてはますます予想が難しくなっているんですが、まずは新人賞部門。
48.最優秀新人賞部門(Best New Artist)
Arooj Aftab
Jimmie Allen
Baby Keem
FINNEAS
Glass Animals
Japanese Breakfast
○ The Kid LAROI
× Arlo Parks
◎ Olivia Rodrigo(受賞)
Saweetie
さて今年のノミニー構成ですが、ロック系3組(フィニアス、グラス・アニマルズ、ジャパニーズ・ブレックファスト)、カントリー系1名(ジミー・アレン)、ポップ系2名(キッドLAROI、オリヴィア・ロドリゴ)、R&B系1名(アーロ・パークス)、ヒップホップ系2名(ベイビー・キーム、ソウィーティー)そしてワールド系1名(アルージ・アフタブ)とかなり多様なノミニー構成、というか去年にも増してとっちらかった感じののノミニー構成になっています。
ノミニー予想の時にもお伝えしましたが、この新人賞部門、歴史的に資格要件がとかくあいまいで、いろんな事件が過去ありました(ホイットニーがノミネートされない事件とか、シェルビー・リンがアルバム6作目で受賞するとか、最近では去年のミーガンとかその前のリゾとか)。今回は468のアーティストがリストアップされた「有資格者リスト」がアカデミーの「スクリーニング・コミティー」から提示され、今回はここからのノミネーション投票ということで、ある意味これまでで一番明快なノミニー選出だったと言えます。そしてそのリストに含まれてたけど資格要件に疑問のあったポロGや、ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインは無事(笑)選出されてませんね。ただこの部門、本来対象期間中に「新たにブレイクスルーした」アーティストが選ばれるはずなのに、ビジュアルメディア向け最優秀ソング部門にノミネートのボー・バーナムが入っていない(上左写真、アルバムがトップ10入り)のに、まったく商業的にブレイクスルーのブの字もなかったアルージ・アフタブさんとかが選ばれているのは何とも解せないところではあります。また、一昨年から自分が推しているギャビー・バレット(上右写真)は今回めでたくこのリストに入ったのに選ばれなかったのも何ともお気の毒です。
とかいうことは置いといても、まあ今年のこの部門はオリヴィア以外の本命◎はありえないんでしょう。オリヴィアは「4部門スイープでビリー・アイリッシュの再現か?」とまで業界で噂されてるくらいですから、この部門を外すことはまず考えられません。それ以外で「ブレイクスルー」「作品のクオリティの高さ」「シーンやメディアの評価」といった観点から自分の目に付くのはメディアの評価の高いジャパニーズ・ブレックファスト(韓国系アメリカ人女性シンガーソングライター、ミシェル・ゾーナーのソロプロジェクト)、ジャスティン・ビーバーの次の世代をリードしそうなキッドLAROI、そしてUSでは商業的にはいまいちですが、UKでは去年のマーキュリー・プライズとブリット・アウォード新人賞を受賞してるフレンチ・アフリカ系イギリス人黒人女性シンガーソングライターのアーロ・パークス(自分の去年の年間アルバム1位のアーティストです)の3組くらいですかね。
昨年話題になったミッキー・ガイトンと同様目を引く黒人男性カントリー・シンガーのジミー・アレンとか、ケンドリック・ラマーのいとこのベイビー・キームとか、今年になって今回のグラミー対象期間前にリリースしたシングル「Heat Waves」がHot 100チャートイン59週目で1位と、ちょうど対象期間中にブレイクスルーし損ねた可哀想な感じのグラス・アニマルズとかも気にはなるところですが、印を付けるとするとさっき上げた3人でしょうね。期間中「Without You」(全米8位)をマイリー・サイラスとのリミックスデュエットなどで大ヒットさせ、今週現在も2位にいるジャスティン・ビーバーとの「Stay」(全米7週1位)も大ヒット、勢いと言う点では申し分のないキッドLAROIが対抗○でしょうか。穴×は迷いましたが、自分の年間アルバム1位だったアーロ・パークスに。なお、個人的には何でフィニアスがここで新人賞部門にノミネートされてるかが全く理解不能、というか一昨年プロデューサー部門受賞してる彼がそもそもノミネートされて、本来他にノミネートされるべき新しいアーティスト(例えばマネスキンとか、ギャビーとか)の枠を取り上げてしまってる事に対してもの凄い違和感を感じてます。アーティストとして他部門で受賞すると、その後の年の新人賞部門からは自動的に外されるというルールがあるはずなんですが、プロデューサーだからいい、というのはいかに何でもビリー・アイリッシュのお兄ちゃんだからといってもおかしくないか?と思うのは自分だけでしょうか。
49.最優秀アルバム部門(Album Of The Year)
○ We Are - Jon Batiste(受賞)
Love For Sale - Tony Bennett & Lady Gaga
Justice (Triple Chucks Deluxe) - Justin Bieber
Planet Her (Deluxe) - Doja Cat
× Happier Than Ever - Billie Eilish
Back Of My Mind - H.E.R.
Montero - Lil Nas X
◎ Sour - Olivia Rodrigo
Evermore - Taylor Swift
Donda - Kanye West
『Letter To You』が対象作品だったはずのブルース・スプリングスティーンが今年もノミネートされなかったことについての不満はもうさんざんこれまで言って来てますのでもうここで蒸し返すのはやめにしておきますが、このノミニーリストを見ると「まだ他にもっとノミネートされてしかるべき作品があるはずなのに」と思ってしまうのは自分だけでしょうか。その中でLGBTQコミュニティからの絶大な支持を取っていると思われるリル・ナズXや、グラミー・ダーリンのH.E.R.、そして芸歴70年でおそらく最後の作品となる、業界からくまなくリスペクトを集めているトニー・ベネットのガガとのコール・ポーター作品集(このアルバムのリリース披露ライブのメイキングを報道したCBSのTV番組『60 Minutes』での、アルツハイマーと闘う感動的なトニーの姿が印象的でした)あたりは、まあノミニーとしては理解できるところです。なお、ニューヨークタイムズによると、8から10にノミニー数拡大することによって今回入った2作は、テイラーの『Evermore』とカニエの『Donda』だったそうです。アカデミー、かなりテイラーのこのアルバム、入れたかったんでしょうねえ。
そんな中、やはりこの部門でも本命◎を付けるとすると、「勢い」「評価」「ポップ・カリスマ性」などからいっても、やはりオリヴィア・ロドリゴの『Sour』なんでしょうねえ。何と言っても「Drivers License」「Good 4 U」と全米ナンバーワンヒット2曲と全米3位の「Deja Vu」を擁するこのアルバム、単なるセルアウトアルバムではなくて、同じジェネレーションZ世代の女の子達の共感を呼ぶ歌詞とか、ロック・アルバムとしても成立しうるアルバムの構成だとか、まあ本命として文句のないところでしょう。
対抗○はジョン・バティーストの『We Are』。今回11部門ノミネートと今年のグラミーの台風の目となっているジョン、ニューオーリンズという出自をベースに伝統的なジャズやR&Bのスタイルをベースにしながら、フレッシュな曲調と音楽解釈による楽曲の数々を収録したこのアルバム、日本では知名度低いですが、全米ではリベラル系のコメディアン兼コメンテーター、スティーヴン・コルベールの番組『The Late Show With Steven Colbert』のハウスバンドのバンマスとして既に一般の間でも、そしてミュージシャンの間でもよく知られているだけに、オリヴィアを倒すとするとこのアルバムしかないのでは、と思いました(ライナーノーツであのクインシー・ジョーンズが彼を絶賛してるのもポイント高いところです)。
そして穴×。実はトニー・ベネットとビリー・アイリッシュで大いに悩みました。過去にジャズ系のアルバムで最優秀アルバムを受賞しているのは2008年第50回の、ハービー・ハンコックがレナード・コーエンやノラ・ジョーンズ、コリン・ベイリー・レイなどをフィーチャーしてジョニ・ミッチェルの楽曲をジャズ解釈したアルバム『River: The Joni Letters』、1992年第34回のナタリー・コールと亡き父ナット・キング・コールのデュエットを含む『Unforgettable With Love』、1965年第7回のスタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルトの『Getz / Gilberto』そして御大フランク・シナトラが3回(1959年第2回、1966年第8回、1967年第9回)といった顔ぶれで、2000年以降では1回しかありません。ただジャズがまだメインストリームだった60年代を除けばどの受賞作品も大御所的アーティストによる、過去曲のトリビュート作品ばかりなんですね。そして今回のトニーとガガのアルバムはコール・ポーターの作品集であり、この後のレコード・オブ・ジ・イヤーでもこのアルバムから曲がノミネートされてることもあり、まあROYは無理としてもアルバムはひょっとしてトニーの最後の花道ということで受賞するかも?と思わせる、そんなオーラを感じてしまうのです。ただ普通に考えればビリー・アイリッシュの可能性の方が高いのでこちらに印を付けますが、トニーとガガのこのアルバム、究極のダークホースかもしれません。
50.ソング・オブ・ジ・イヤー(Song Of The Year - 作者に与えられる賞)
Bad Habits - Ed Sheeran (Fred Gibson, Johnny McDaid & Ed Sheeran)
A Beautiful Noise - Alicia Keys & Brandi Carlile (Ruby Amanfu, Brandi Carlile, Brandy Clark, Alicia Keys, Hillary Lindsey, Lori McKenna, Linda Perry & Hailey Whitters)
Drivers License - Olivia Rodrigo (Daniel Nigro & Olivia Rodrigo)
◎ Fight For You - H.E.R. (Dernst Emile II, H.E.R. & Tiara Thomas)
Happier Than Ever - Billie Eilish (Billie Eilish O'Connell & Finneas O'Connell)
Kiss Me More - Doja Cat Featuring SZA (Rogét Chahayed, Amala Zandile Dlamini, Lukasz Gottwald, Carter Lang, Gerard A. Powell II, Solána Rowe & David Sprecher)
○ Leave The Door Open - Silk Sonic (Brandon Anderson, Christopher Brody Brown, Dernst Emile II & Bruno Mars)(受賞)
Montero (Call Me By Your Name) - Lil Nas X (Denzel Baptiste, David Biral, Omer Fedi, Montero Hill & Roy Lenzo)
Peaches - Justin Bieber Featuring Daniel Caesar & Giveon (Louis Bell, Justin Bieber, Giveon Dezmann Evans, Bernard Harvey, Felisha "Fury" King, Matthew Sean Leon, Luis Manuel Martinez Jr., Aaron Simmonds, Ashton Simmonds, Andrew Wotman & Keavan Yazdani)
× Right On Time - Brandi Carlile (Brandi Carlile, Dave Cobb, Phil Hanseroth & Tim Hanseroth)
まず最初に言っておきます。オリヴィア・ロドリゴはSOYは取らないと思います。いや、彼女の曲が受賞に値しないということではなく、今回の彼女のカリスマ性は、彼女というキャラクターとタレント、そしてあのよく作り込まれたアルバム構成であり、個々の曲にバラして評価するというのに彼女の今回の作品は適してない(例えばオリヴィアで1曲、というとかなり難しい)と思うからです。一方、最後のROYもそうですが、個人的には「2021年を代表する曲って何だった?」と訊かれると、多分そういう人も多いと思いますがやっぱりシルク・ソニックの「Leave The Door Open」が本来は一番順当なのではないかと思うのです。去年の3月にこの曲が突如リリースされて以来、古きよきR&Bラヴァーのシニア洋楽ファン達はもちろんのこと、若いリスナーもそして一番重要なのは、ミュージシャン達を中心にした業界の間でもこの曲が本当に両手を挙げて受け入れられてましたよね。YouTubeにもこの曲のカバー動画が、アマチュアミュージシャン達だけでなく、様々なプロのミュージシャン達によってあげられたのを見て「ああ、みんなこの曲に恋に落ちてるんだなあ」と思ったものです。なので本来なら「Leave The Door Open」に本命◎を付けたいところなんです。
ただ今回のノミネート楽曲の中ですごーく光っているのは、グラミー・ダーリンのH.E.R.による、昨年のアカデミー賞の最優秀オリジナル・ソング部門を受賞してる、一昨年からのBLMの流れをガチで汲んでいる、映画『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(Juda & The Black Messiah)』の主題歌「Fight For You」。曲調もカーティス・メイフィールドそのまま!といった感じの60年代っぽいファンク・ソウルで「いやあこれ反則だわ」って感じ。「Leave The Door Open」と楽曲としてはかなり競ってると思いますが、やはり「勝ちの要素」をいくつも持ってるこの曲に本命◎を付けざるを得ないですねえ。そしてクロース・セカンド(僅差の2位)として「Leave The Door Open」に対抗○を。いやでもこの2曲、どっちが来ても全くおかしくない僅差の争いだと思います。シルク・ソニックが取るといいなあ。
そして穴✗ですが、まだ主要部門での受賞歴はないものの、2019年第61回でアルバム『By The Way, I Forgive You』、そして「The Joke」がROY、SOYでノミネートされて以来ここ数年あちこちでノミネートされているブランディ・カーライルの「Right On Time」に。彼女は、バイデン現大統領が勝った2020年大統領選への投票参加を推進する運動のテーマ曲として書かれた、アリシア・キーズとのデュエット曲「A Beautiful Noise」でも作者としてノミネートされていて、この部門で何と2曲でノミネートされてるんですよね。この曲を含む今回のアルバム『In These Silent Days』(このアルバムは来年のグラミーの対象なので、来年のノミネートが予想されます)も評価高いので、シルク・ソニックとH.E.R.の次とするとこの曲ではないかと。ちなみに昨日、あのジョニ・ミッチェルが急遽プレゼンターとしてグラミー授賞式への出演が発表されてまして、実はジョニ・ミッチェルは最近ブランディ・カーライルとの親交が深いことが知られてるので、ひょっとすると?ということもあり、彼女に穴✗を進呈しておきます。
51.レコード・オブ・ジ・イヤー(Record Of The Year - アーティスト/プロデューサー/エンジニアに与えられる賞)
I Still Have Faith In You - ABBA (Benny Andersson & Björn Ulvaeus / Bernard Löhr & Björn Engelmann)
Freedom - Jon Batiste (Jon Batiste, Kizzo & Autumn Rowe / Russ Elevado, Kizzo, Manny Marroquin & Michelle Mancini)
✗ I Get A Kick Out Of You - Tony Bennett & Lady Gaga (Dae Bennett / Dae Bennett, Josh Coleman, Greg Calbi & Steve Fallone)
Peaches - Justin Bieber Featuring Daniel Caesar & Giveon (Josh Gudwin, HARV, Shndo & Andrew Watt / Josh Gudwin, Andrew Watt & Colin Leonar)
Right On Time - Brandi Carlile (Dave Cobb & Shooter Jennings / Brandon Bell, Tom Elmhirst & Pete Lyman)
Kiss Me More - Doja Cat Featuring SZA (Rogét Chahayed, tizhimself & Yeti Beats / Rob Bisel, Serban Ghenea, Rian Lewis, Joe Visciano & Mike Bozzi)
Happier Than Ever - Billie Eilish (FINNEAS / Billie Eilish, FINNEAS, Rob Kinelski & Dave Kutch)
Montero (Call Me By Your Name) - Lil Nas X (Omer Fedi, Roy Lenzo & Take A Daytrip / Denzel Baptiste, Serban Ghenea, Roy Lenzo & Chris Gehringer)
◎ Drivers License - Olivia Rodrigo (Daniel Nigro / Mitch McCarthy, Daniel Nigro & Randy Merrill)
○ Leave The Door Open - Silk Sonic (Dernst "D'Mile" Emile II & Bruno Mars / Serban Ghenea, John Hanes, Charles Moniz & Randy Merrill)(受賞)
今年もいよいよ最後の部門の予想になりました。今年の8ノミニーから10ノミニーへの拡大で、ノミネートの恩恵を受けたのは、ニューヨーク・タイムズの報道によるとこのROYではアバとリル・ナズXらしいですが、リル・ナズは先程も述べたLGBTQからの支持、今回グラミー初ノミネート(!)となったアバについては数々のミュージシャンがリスペクトを表明している上に、去年40年ぶりの新作(こちらも今回のグラミーの対象期間外で、来年の対象になります)が彼ら最高の全米第2位を記録したこともあって「ノミネートおめでとう!」と祝福してあげたいですよね。それ以外では、オリヴィアやシルク・ソニック、ビリー・アイリッシュといった順当なノミニー以外でやっぱり目に付くのはジョン・バティーストと御大トニー・ベネット、そしてブランディ・カーライル。これらの曲の共通点は、チャート的な実績があるわけでもなく「2021年を代表するレコード」と言えるかどうかは正直疑問符が付きますが、それぞれ今年のグラミーのROYのノミニーとしてはある程度理解はできます。
ここで昨年もやった、数字の面から2021年を代表する曲は何かというのをチャートや売上、ストリーミング数のランキングで検証してみます。
<Hot 100年間チャート(ビルボード誌)>
1.Levitating ▲4 - Dua Lipa
2.Save Your Tears ▲3 - The Weeknd & Ariana Grande
3.Blinding Lights ▲8 - The Weeknd
4.Mood ▲5 - 24kGoldn Featuring iann dior
5.Good 4 U ▲4 - Olivia Rodrigo
<売上(RIAA認定)>
▲5 Drivers License - Olivia Rodrigo
▲4 Montero (Call Me By Your Name) - Lil Nas X
▲4 Stay - The Kid LAROI & Justin Bieber
▲4 Good 4 U - Olivia Rodrigo
▲4 Rapstar - Polo G
▲4 Levitating - Dua Lipa
<オン・ディマンド・ストリーミング数(MRCデータ調べ、オーディオ・ストリーミング数+ビデオ・ストリーミング数)>
1.Levitating - Dua Lipa(8.05億=6.27億+1.78億)
2.Drivers License - Olivia Rodrigo(7.61億=5.95億+1.66億)
3.Good 4 U - Olivia Rodrigo(7.1億=5.8億+1.3億)
4.Stay - The Kid LAROI & Justin Bieber(6.8億=4.87億+1.93億)
5.Save Your Tears - The Weeknd & Ariana Grande(6.78億=5.58億+1.2億)
これ見て「あれ?」と思いませんでしたか?そう、チャートとストリーミングの2冠のデュア・リパの「Levitating」、今年のグラミーでは影も形もないんですよね。去年のグラミーで主要3部門にノミネートされて、最優秀ポップ・ボーカルアルバム受賞もして、授賞式ではリル・ベイビーとこの「Levitating」をパフォーマンスしてたのに、です。この曲のシングルリリースは2020年10月ですから、問題なく資格要件あったのに、これほど2021年に実績のあった楽曲がどこにもノミネートされてないというのは、よっぽどアカデミー・メンバーに嫌われているのか。でも前年主要3部門ノミネートですからねえ、不可解です。キッドLAROIも新人賞部門のみで「Stay」がノミネートされてないのは不思議ですが、それ以外では、今回ノミネート対象に作品を提出していないウィークンドは当然として、やはりオリヴィアの2021年の活躍が際立ってますね。
となってくると、このROYも順当にいくとオリヴィアの「Drivers License」が本命◎ということになります。これに対抗しそうなものというと、やはり本音としてはシルク・ソニックに取ってほしい!という思いもありますので、シルク・ソニック「Leave The Door Open」が対抗○です。ちなみにこの曲の2021年の成績は、年間チャートでは7位、売上は▲2(ダブル・プラチナ)、残念ながらストリーミングではオーディオ、ビデオ共にトップ10には入っていませんが、まずまずの成績、可能性はなきにしもあらずといったところか。
そして穴✗ですが、ここでひょっとすると、ということでトニー・ベネットとレディ・ガガの「I Get A Kick Out Of You」が上の2曲についで取る可能性があるのでは。あの『60 Minutes』のドキュメンタリーで、NYラジオ・シティ・ミュージック・ホールでのアルバムリリース披露ライブのリハーサルではアルツハイマーで覚束ない感じで、相手がレディ・ガガということも判ってない様子だったトニーが、ラジオ・シティのステージに立って幕が開いた瞬間、スイッチが入ったかのようにエンターテイナーに一瞬にして変貌する様子、そしてステージに登場したレディ・ガガを見るなり「レディ・ガガ!」と叫んでガガが涙ぐんだ様子などを観たアカデミー・メンバーは多いと思いますし、そうした人たちがもうそう長くないかもしれないトニーの最後の仕事に敬意を表して評を投じるかもしれないと思うからです。最後にトニーが取ったらそれはそれは感動的な場面が観られるでしょうね。
ということで12回にわたって掲載してきたこのグラミー賞大予想ブログ、最後までお付き合い頂きありがとうございます。今年の授賞式は当初の1月31日から延期された4月3日、日本時間では4月4日月曜日の朝から、今年はLAから場所を移動してラスヴェガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナから、去年同様トレヴァー・ノアのMCで開催されます。昨年はLAコンベンション・センターをベースに、コロナ仕様の分散会場での開催で、オープニング・ライブはハリー・スタイルズでしたが、今年のオープニングは誰がやるか楽しみですね。実は今ラスベガスでは、シルク・ソニックが3ヶ月のレジデンシー(ラスベガスの一つの会場専属ライブアクトとして、継続してライブを一定期間行うこと)をやってて地の利があるからひょっとしてシルク・ソニックがオープニングか?とシルク・ソニック・ファンにとっては心踊りますよね。その他、当日のパフォーマンス・ロスターもすでに発表されてます。詳細はここで↓
そして当日のパフォーマンスで注目は、当日出演予定だったフー・ファイターズのドラマー、テイラー・ホーキンスが先週50歳の若さで亡くなったことを受けて、当日はテイラーへのトリビュート・パフォーマンスが急遽予定されていること。フーファイはパフォーマンスを行わないことが確認されてますが、どういうメンバーがどういう形でテイラーへのトリビュートをやるのか、テイラーの冥福を祈りつつ、期待したいと思います。当日は例年どおりの生ブログもまたやりますので、お楽しみに。では明日の授賞式まで!
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