【恒例洋楽年初企画#3】DJ Boonzzyの第64回グラミー賞大予想#11~ミュージカル、ビジュアルメディア&プロデューサー部門
いよいよ第64回グラミー賞の授賞式が2週間後に迫り、今週は授賞式当日のパフォーマンスを行うアーティストのリストが発表に。しかしそれと相前後して飛び込んできたのが、授賞式でのパフォーマンスが発表されていて、過去にも何度もグラミー賞授賞式で演奏し、自らも受賞経験豊富なフー・ファイターズのドラマー、テイラー・ホーキンスの突然の訃報。自分も知り合いがポロッとFBで呟いているのを見て「え?」と思って調べたところ、確かにフーファイのツイッター・アカウントでテイラーの訃報が掲載されていました。何というショック。
そもそもニルヴァーナのドラマーだったデイヴ・グロールのバンド、フーファイでドラマーとしてデイヴに劣らぬパワーとテクニックと存在感で、バンドに不可欠の存在だったテイラー。ちょうど彼らはアルゼンチンでのヘッドライナーギグを終わって、ブラジルで開催中のロラパルーザの最終日である今日日曜日3/27にヘッドライナーを務めるはずでした。アルゼンチンでのセットの締め曲「Everlong」の様子を収めたこの動画が、彼の生前の最後の映像となってしまいました。死因についてはネット上でODが取り沙汰されているようですが、正式な発表はまだありません。多分フーファイのグラミーでのパフォーマンスはないでしょう。この状況でデイヴをはじめバンドのメンバーが演奏するのは難しいでしょうから。パフォーマンスで出演しない代わりに、In Memoriumのコーナーでおそらく彼の名前が出るという皮肉なことになりますよね...テイラーの冥福を心よりお祈りします。
さて気を取り直してグラミー予想です。その前に直前番宣になりますが、今度の木曜日、3/31に毎年恒例の音楽評論家、吉岡正晴さんとのプレ・グラミーイベント「ソウル・サーチン・ラウンジ~グラミー賞大展望・予想」、今年はいよいよ新宿カブキラウンジで2年ぶりのリアル開催となります(昨年はZoom開催)。詳細は下記の吉岡さんのnote.comの記事から。吉岡さんは既に主要部門の予想を始められてるようなので、自分も追い込み頑張らなくては。ということで、ミュージカル、ビジュアルメディア&プロデューサー部門の予想です。
43.最優秀ミュージカル・シアター・アルバム部門(主なソロイスト/プロデューサー/楽曲作者に与えられる賞)
× Andrew Lloyd Webber's Cinderella - Original Album Cast ( - / Andrew Lloyd Webber, Nick Lloyd Webber & Greg Wells / Andrew Lloyd Webber & David Zippel)
Burt Bacharach and Steven Sater's Some Lovers - World Premiere Cast ( - / Burt Bacharach, Michael Croiter, Ben Hartman & Steven Sater / Burt Bacharach & Steven Sater)
◎ Girl From The North Country - Original Broadway Cast ( - / Simon Hale, Conor McPherson & Dean Sharenow / Bob Dylan)
Les Misérables: The Staged Concert (The Sensational 2020 Live Recording) - The 2020 Les Misérables Staged Concert Company ( - / Cameron Mackintosh, Lee McCutcheon & Stephen Metcalfe / Claude-Michel Schönberg, Alain Boublil, John Caird, Herbert Kretzmer, Jean-Marc Natel & Trevor Nunn)
Stephen Schwartz's Snapshots - World Premiere Cast ( - / Daniel C. Levine, Michael J Moritz Jr., Bryan Perri & Stephen Schwartz / Stephen Schwartz)
○ The Unofficial Bridgeerton Musical - Barlow & Bear ( - / Emily Bear / Abigail Barlow & Emily Bear)(受賞)
今回のグラミーの対象期間である、2020年9月1日~2021年9月末ですが、コロナの関係でブロードウェイは2020年3月12日~2021年6月1日までクローズされていましたので、この期間の正真正銘のミュージカル上演というのは対象期間の最後4ヶ月だけだったわけで、自然と対象作品もかなり例年に比べて少なかったはずなんですが、今年もこの部門は例年より1作品多い、6作品がノミネート。それには上記の状況をふまえた今年ならではの背景もあるようです。
まずボブ・ディランの楽曲を使って1930年代大恐慌時代の五大湖近くの地方都市(ディランの出身地のミネソタ州ダルース)を舞台に、貧困や人種差別などを背景に描かれる群像劇『Girl From The North Country』は、初演から1週間でブロードウェイのシャットダウンで中断されたものの、ブロードウェイ再開後、2021年10月から再開してます。もともと2017年のロンドン初演と2019年のオフブロードウェイはそれぞれ批評家団体から最優秀ミュージカルを受賞しているくらいで、ブロードウェイも評判がかなりよく、今年6月のトニー賞の有力候補にもなっているようです。昨年受賞の『Jagged Little Pill』(アラニス・モリセットの楽曲使用)やその前の年受賞の『Hadestown』(アメリカーナ・シンガーソングライター、アネイス・ミッチェルの楽曲使用)と、ここのところミュージシャンの新旧の楽曲を使った作品が強いこの部門、まずは本命◎はこの作品では、と思ってます。
同じようにブロードウェイシャットダウン前の上演を音源作品にした、『レ・ミゼラブル』のステージコンサートアルバムや、ブロードウェイ再開後に初演を飾った、アンドリュー・ロイド・ウェーバーによる新解釈の『シンデレラ』のミュージカル(王子様とシンデレラのキャラと立場が逆になってるようで)などもノミネートされているのですが、まあ話題性という点でアンドリュー・ロイド・ウェバーの『シンデレラ』には対抗×くらいは付けておきますか。もう今更『レ・ミズ』でもないでしょうしね。
一方、今回のノミニーには、過去のミュージカル作品を音源作品化したものも目立ちます。バート・バカラックがO・ヘンリーの短編を題材に、あの大ヒットミュージカル『春のめざめ(Spring Awakening)』の楽曲を担当した(共作者がダンカン・シークでした。覚えてますか?)スティーヴン・セイターと、40年ぶりに書いたミュージカル『Some Lovers』(2011)の楽曲アルバムや、こちらも大ヒットミュージカル『ウィキッド(Wicked)』(2003)の楽曲を手がけたスティーヴン・シュワルツの楽曲集『Snapshots』がそれです。ただいずれも今更感と寄せ集め感が受賞しそうな感じを思わせません。
そこで注目したいのが、若干20歳の天才ピアニスト、エミリー・ベアと、こちらも19歳のアビゲイル・バーロウの2人が、ネットフリックスの人気ドラマ『ブリジャートン家(Bridgerton)』(イギリス19世紀の上流階級を舞台にした恋愛ドラマ)にインスパイアされて、「このドラマをミュージカルにしたらどんな曲がいいだろう?」と妄想して作ったアルバム『The Unofficial Bridgerton Musical』です。エミリーとアビゲイルは、コロナロックダウンの中、この妄想を楽曲という形にして、デモ音源をTikTokに更改してSNSを通していろんなフィードバックを集めて楽曲を完成していったらしいんです。何とも今の時代ならではの制作過程だし、通常のブロードウェイなどのルートを一切経由していないところが、正しく今的だと思いませんか?ちなみにエミリーは5歳でプロのピアニストとしてデビュー、数々のジャズフェスやカーネギー・ホールでの演奏などを既に経験していて、あのクインシー・ジョーンズがメンターになってるという、昨年のグラミーで主要部門にノミネートされてたジェイコブ・コリエーとイメージが被る感じですね。ということで、この作品が受賞すると面白いぞ、ということで対抗○をつけておきます。
44.ビジュアル・メディア向け最優秀コンピレーション・サウンドトラック部門(アーティストとプロデューサーに与えられる賞)
Cruella - Various Artists (Craig Gillespie - compilation producer / Susan Jacobs - music supervisor)
Dear Evan Hansen - Various Artists (Alex Lacamoire, Benj Pasek, Justin Paul & Dan Romer - compilation producers / Jordan Carroll - music supervisor)
○ In The Heights - Various Artists (Alex Lacmoire, Lin-Manuel Miranda, Bill Sherman & Greg Wells - compilation producers / Steven Gizicki - music supervisor)
One Night In Miami... - Leslie Odom, Jr. & Various Artists (Nicholai Baxter - compilation producer / Randall Poster - music supervisor)
◎ Respect - Jennifer Hudson (Stephen Bray & Jason Michael Webb - compilation producers)
Schmigadoon! Episode 1 - Various Artists (Doug Besterman, Cinco Paul & Scott M. Riesett - compilation producers)
✗ The United States Vs. Billie Holiday - Andra Day (Salaam Remi - compilation producer / Lynn Fainchtein - music supervisor)(受賞)
さっきのミュージカルアルバムの6ノミニーが多いと思ってたら、何と今年のこのコンピレーション・サウンドトラック部門は7ノミニーと過去最多。しかも今回はどれもそれぞれに気になる存在感を放つ作品のコンピ・サントラばかりで、まあ予想するのが大変です。そしてこの部門はアカデミー賞やその他の映画各賞に対応する部門がなく、グラミー独自の部門なのでこういう風に粒揃いの場合余計難しいんですよね。一応ひとわたりざーっとなめて見ましょう。
まずはもう皆さんご存知、ディズニー映画『101匹ワンちゃん』のスピンオフ実写映画で悪役のクルエラをあのエマ・ストーンが新境地的に演じる『クルエラ(Cruella)』のサントラコンピ。フローレンス&ザ・マシーンが歌う主題歌「Call Me Cruella」だけが新曲で後はオハイオ・プレイヤーズ「Fire」とかスーパートランプ「Bloody Well Right」とか結構渋い選曲の80年代までのヒット曲が満載。『Dear Evan Hansen』は、2016年ブロードウェイで大ヒットし、2017年第71回トニー賞で最優秀ミュージカルをはじめ6部門受賞した同名ミュージカルの映画版のサントラ・コンピ。ミュージカルで一躍スターとなったベン・プラットが映画(批評家の評判は散々だったようですが)でも主役を務め、オリジナルのミュージカルの楽曲をサム・スミスやSZAなどポップスターがカバーしたものが収録されてます。『In The Hights』も2008年ブロードウェイで大ヒット、第62回トニー賞で最優秀ミュージカルをはじめ4部門受賞(その年のグラミーの最優秀ミュージカルアルバム部門も受賞してます)したミュージカルの映画盤で、今や世界的現象の『ミラベルと魔法だらけの家(Encanto)』の楽曲を書いている、リン・マニュエル・ミランダが楽曲と制作と脚本を共作している、NYでの移民達のいきいきとした日常を描いた人間ドラマ。コンピ・サントラは全曲ミランダが書いてます。
さてこの部門の重要な要素の一つと思われるのは、残り4作品のうち3作品がBLM関連であること。まず『One Night In Miami...』は1964年のマイアミを舞台にサム・クック、モハメド・アリ、マルコムX、NFLのスターQBのジム・ブラウンという当時の時代でそれぞれの分野で黒人のリーダー的存在だった4人が一同に会した様子を描いた、2013年上演の劇の映画化。昨年のアカデミーやゴールデングローブ賞にも複数部門でノミネートされてました。サントラコンピは「Chain Gang」や「A Change Is Gonna Come」などサム・クックの定番曲をサム役のレズリー・オドムJr.が歌うバージョンや、テレンス・ブランチャードのジャズナンバー等R&B、ジャズ曲で占められてます。『Respect』は皆さんご存知、ジェニファー・ハドソンがアレサを演じ、サントラコンピには、アレサの曲がずらりと並ぶ中、ジェニファーとキャロル・キング他1名が共作して、アカデミー賞の最優秀オリジナルソングにもノミネートされている「Here I Am (Singing My Way Home)」が1曲だけオリジナルで収録。『The United States Vs. Billie Holiday』も同様のフォーマットの作品で、こちらではアンドラ・デイがビリー・ホリデーを演じ、黒人差別を糾弾する彼女の代表曲「奇妙な果実」を巡るFBIとの戦いを描いた作品。サントラコンピはビリー・ホリデーの曲をアンドラが全編歌っているもの。
最後の『Schmigadoon!』は現役サタデイ・ナイト・ライブのキャスト、シシリー・ストロングを中心に、フレッド・アーミセンやマーティン・ショートらSNLの先輩達も登場する、アップルTV+放映のミュージカル・コメディ。SNLの連中が出てて個人的にはすごく観てみたいのですが、コメディものはこの部門受賞歴ゼロなので、受賞はないでしょうねえ。
で、予想です。本命◎は『Respect』。昨年は『Jojo Rabbitt』が『アナと雪の女王2(Frozen 2)』を抑えて受賞するというちょっとした番狂わせがありましたが、この部門は、ここ最近は『アリー/スター誕生(A Star Is Born)』や『ラ・ラ・ランド』と音楽を題材にした王道モノが受賞してますし、何といってもこの『Respect』の制作者の一人が、グラミー・アカデミーのCEO、ハーヴィー・メイソンJr.だってのが強力ですよね。そして対抗○は今の『ミラベル』の大ヒットに至るリン・マニュエル・ミランダの強さを考えて『In The Heights』。穴×はBLM系で悩みますが、アンドラ・デイのビリー・ホリデーにそそられるので、『The United States Vs. Billie Holiday』に付けます。
45.ビジュアル・メディア向け最優秀スコア・サウンドトラック部門(スコア作曲者に与えられる賞)
Bridgerton - Kris Bowers
○ Dune - Hans Zimmer
× The Mandalorian: Season 2 - Vol. 2 (Chapters 13-16) - Ludwig Göransson
The Queen's Gambit - Carlos Rafael Rivera(受賞)
◎ Soul - Jon Batiste, Trent Reznor & Atticus Ross(受賞)
さっきのコンピ・サントラ部門は、映画の劇中に使われる挿入楽曲のコンピ盤を表彰する部門で、このスコア・サントラ部門は、映画のスコア(場面のバックに流れるいわゆる「映画音楽」ですね)のサントラ盤を表彰する部門。昔はこの部門、過去80年代に6年連続受賞、通算でも11回受賞のジョン・ウィリアムスとか、『ロード・オブ・ザ・リングス』シリーズで2003~2005年に3年連続受賞したハワード・ショアなど圧倒的な巨匠が君臨する部門でしたが、彼らも最近はあまり出てこず、最近ではアイスランド出身の女性作曲家、ヒドゥル・グドナドッティルが昨年は例のホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』、その前の年はHBOミニシリーズの『チェルノブイリ』で2年連続受賞と、世界中いろんな国から登場する優秀な作曲家たちが普通に評価される部門になっています。
ただ今回は、昨年もこのブログで触れてましたが、昨年のゴールデングローブ賞とアカデミー賞両方の最優秀スコア部門を見事受賞した、ジョン・バティーストと、ナイン・インチ・ネイルズの二人、トレント・レズナーとアティカス・ロスの『ソウルフル・ワールド(Soul)』がどーんとここにノミネートされてるのがいかにも光ってますね。そもそもこの作品のアカデミーとGG賞での受賞が、今回グラミーで11部門ノミネートで、ジョン・バティーストが今年の台風の目になっているある意味遠因でもあるわけなので、まあここはこれが本命◎でしょう。
そして対抗○は、今週末発表されるアカデミー賞の今年の最優秀スコア部門でも最有力候補と見られている、こちらも巨匠のハンス・ジマーの『デューン砂の惑星(Dune)』のスコアに付けるしかないでしょうね。ハンス・ジマーも何だかんだいってこの部門、過去9回ノミネートのうち、受賞は1996年第38回の『Crimson Tide』と2009年第51回の『The Dark Knight』の2つだけなんで、今回はひょっとするとチャンスあるかもです。いやまあでもジョン・バティーストだろうなあ。
穴×は、2019年第61回で、マーベルの『ブラック・パンサー』のスコアで受賞している、チャイルディッシュ・ガンビーノとの仕事など幅広い活動でも知られる、スウェーデンの作曲家、ラドウィッグ・ゴランソンのスター・ウォーズのスピンオフ・シリーズ『The Mandalorian』のスコア作品に。
46.ビジュアル・メディア向け最優秀ソング部門(作者に与えられる賞)
Agatha All Along (From "WandaVision: Episode 7") - Kristen Anderson-Lopez & Robert Lopez Featuring Kathryn Hahn, Eric Bradley, Greg Whipple, Jasper Randall & Gerald White (Kristen Anderson-Lopez & Robert Lopez)
✗ All Eyes On Me (From "Inside") - Bo Burnham (Bo Burnham)(受賞)
All I Know So Far (From "P!NK: All I Know So Far") - Pink (Alecia Moore, Benj Pasek & Justin Paul)
◎ Fight For You (From "Judas And The Black Messiah") - H.E.R. (Dernst Emile II, H.E.R. & Tiara Thomas)
○ Here I Am (Singing My Way Home) (From "Respect") - Jennifer Hudson (Jamie Hartman, Jennifer Hudson & Carole King)
Speak Now (From "One Night In Miami...") - Leslie Odom, Jr. (Sam Ashworth & Leslie Odom, Jr.)
昨年この部門を軽々とかっさらっていったビリー・アイリッシュの『No Time To Die』が明日発表のアカデミー賞の最優秀オリジナル・ソング部門にノミネートされてて、受賞最有力と見られてるようですが、ここグラミーでは、何と昨年のアカデミー賞で最優秀オリジナル・ソング部門を受賞した、『ユダ&ブラック・メシア裏切りの代償(Judas And The Black Messiah)』からのH.E.R.の「Fight For You」がノミネートされてるんです。これはもうこの曲が本命◎以外ないですよね。あー予想簡単でうれしい(笑)。
対抗○は先程のコンピ・サントラ部門の予想と同じ発想で、やっぱりグラミー・アカデミーCEOのハーヴィー・メイソンJr.が絡んでるというのと、何と言ってもアレサのバイオピック(伝記映画)だというのと、そこに作者に「You Make Me Feel Like A Natural Woman」の作者であるキャロル・キングが絡んでるっていうので、ここは『リスペクト』からのこの曲かな。
そして穴✗ですが、今回シーンでとても反響を呼んだ、コロナ時代を象徴するような一人ロックダウン・コメディ・スキット作品『Inside』で全米の注目を集めたボー・バーナムに付けたいと思います。本来ボー・バーナム、主要賞の新人賞部門や、コメディ作品部門にもノミネートされてしかるべきなんですが、なぜかアカデミーは、ボー・バーナムはこの部門しかエリジブル(資格あり)でないという謎の裁定をしたためこの部門しかノミネートされてません。でも彼がこの作品に書いた楽曲はどれもオルタナ・エレクトロ・ポップの素晴らしい作品ばかりですし、この曲もいきなりマジな曲調なのに後半どんどんおかしくなっていく(笑)という秀逸な作品なので、穴✗くらいは付けてあげたいのです。
47.最優秀プロデューサー部門(クラシック以外)
◎ Jack Antonoff(受賞)
Rogét Chahayed
✗ Mike Elizondo
Hit-Boy
○ Ricky Reed
いよいよ今週木曜日の吉岡正晴さんとのグラミープレイベントを前にして、主要四部門以外の最後の部門まで来ましたね。今年のこのプロデューサー部門の最大のポイントは「今年でジャック・アントノフは受賞できずに3年連続ノミネートだけど、今年はさすがに受賞するのか?」ということに尽きます。この3年間、テイラーの『Lover』に『Folklore』の6曲、ラナ・デル・レイの『Norman F***ing Rockwell』、チックスの『Gaslighter』といった、シーンにおいてとても重要な作品を多数手がけてきて、ちゃんとノミネートされてるのに、一昨年はビリー・アイリッシュのお兄ちゃんのフィニアス(これはしょうがないね)、去年はデュア・リパやポスティを手掛けたアンドリュー・ワットにさらわれて、2年連続受賞できなかったジャック。今年はテイラーの『Evermore』で1曲、そしてラナの『Chemtrails Over The Country Club』(今回このアルバムがどこにもノミネートされなかったのは不思議ですが)、セント・ヴィンセントの『Daddy's Home』の他、クライロやロードのアルバムもプロデュースして、前の2年以上に充実した仕事をしてるんですよね。3年連続ノミネート自体が偉業だし、今年はさすがに取るんじゃないか、ということで本命◎はジャックです。
対抗○は今回が3回目のノミネート、昨年の仕事では何といってもリオン・ブリッジズの『Gold Diggers Sound』のプロデュースが光ってて、それ以外にもカミラ・カベロやショーン・メンデス、そして何といってもジョン・バティーストの「Sing」をやってる、今やベテラン・プロデューサーのリッキー・リードが順当ではないかな、と思います。
そして穴✗は、今正にヒットしてる『ミラベル』も手掛けていて、去年の仕事としては評論家筋に評価高かったパンクバンド、ターンスタイルの『Glow On』や僕の好きなレイク・ストリート・ダイヴ(久々の好アルバムでした)の『Obviously』の他、トウェンティ・ワン・パイロッツやジョナス・ブラザーズも手掛けていた、こちらももうベテランプロデューサーのマイク・エリゾンドかな。『ユダ&ブラック・メシア裏切りの代償(Judas And The Black Messiah)』やナスの素晴らしいアルバムを手掛けてて、ナスのカムバックの原動力となったヒット・ボーイも本当は印付けたかったんですけど、まあこういう感じが妥当ではないかと思います。
ということでいよいよ残すは主要四部門になりました。こちらの予想は、木曜日の吉岡正晴さんのイベントでアナウンスして、ブログへの掲載はその後、今度の週末までにやろうと思いますので皆さん、是非木曜日は新宿カブキラウンジにお越し下さい。お楽しみに!