シェアリングエコノミーと医療・健康・介護業界 その2
前回
https://note.mu/boonbeppu/n/nad993d45846e
にひきつづき、標題を。
最近、リーディングファシリテーターの山本伸さん
https://www.read4action.com/facilitator/detail/?id=118
http://lmdpnov2016.peatix.com/view
から教えてもらっているRead for Action(面白い読書体験ですよ。未体験の方は是非!)的に一人で読んでみると、、、
【この本を読む目的】:シェアリングエコノミーという言葉の意味をそもそも知りたい&それと医療健康介護の世界の営みがどう関連してきそうなのか、しないのか(特にこの数年間の短期的に&5年くらいの中期的に)についてなんとなくでいいので理解したい
【問いを立てる】
・シェアリングエコノミーとは何か?
・シェアリングエコノミーにおける医療健康介護に関連する既存事業はあるか?
・今後、医療健康介護の世界で可能性のありそうな発展・進化のシェアリングエコノミー的なサービスはどのようなものがあるか?方向性だけでも知りたい
本日はシェアリングエコノミーとは何か?というあたり。
アルンさんの著作「シェアリングエコノミー」から引用。さすが学者さんで、いろんな先人たちの先行研究・記術を総括しつつ論じられているのでバランスが良い印象あり。
アルンさんは、「シェアリングエコノミー」とほぼ同じ意味で「クラウドベース資本主義」という言葉を使っているとのこと。正確には次の5つの特徴を備えた経済システムを指す(詳細割愛)。
1. おおむね市場に基づく:財の交換が行われ新しいサービスが生まれる市場が形成され、より潜在力の高い経済活動が実現する。
2. 資本の影響力が大きい:資産やスキル、時間、金銭など、あらゆるものが最大限活用される新しい機会が生まれる
3.中央集権的組織やヒエラルキーよりも大衆の「ネットワーク」が力を持つ:資本と労働を供給するのは、企業や政府ではなく分散化された個人となる。ゆくゆくは取引を仲介するものも、中央集権的な第三者ではなくクラウドベースの分散型市場となる可能性がある。
4. パーソナルとプロフェッショナルの線引きが曖昧:車での送迎や金銭の貸し借りといった、従来「私的」とされてきた個人間の行為が労働とサービスの供給源となり、しばしば商業化・大規模化する。
5. フルタイム労働と臨時労働、自営と雇用、仕事と余暇の線引きが曖昧: 伝統的にフルタイムとなっている仕事の多くは、案件ごとに拘束時間や稼働率、従属度、独自性のレベルが異なる請負仕事に取って変わられる。
なるほど〜。。。とはいえ、ちょっとわかりづらいですかね。というか、わかったようなわからないような。。。以下を読んでいただくとイメージつきやすいかも。補完的です。
他の人の定義も紹介されている。
「シェアリングエコノミーとは、十分に利用されていない資産にインターネット上のコミュニティからアクセスできるようにし、資産所有の必要性を下げることの価値である」(中略)続けて、この定義の5つの価値を挙げている。ひとつ目は、価値だ(金銭を介しても物々交換でも、取引により経済的価値が生じる)。ふたつ目は、利用しきれていない資産(ボッツマンの余剰キャパシティに相当する)。3つ目は、オンラインでアクセス可能であること(インテーネットの実現力だ)。4つ目はコミュニティ(コミュニティの信用、ソーシャルな関わり、価値の共有を通じて、取引をスムーズにする)。5つ目は、所有する必要性の減少(財は所有せずに他者から提供されるサービスになる)。アレックス・ステファニー「シェアというビジネス」より一部引用
その他、これまで目に付いた印象的な記述をご参考までに引用。上記定義の補足的な理解も進みます。
・言い換えれば、シェアリングエコノミーでは、サービスや財のほかに流通するものがあるということだ。シンプルに言うと、レッシングの想定するシェアリングエコノミーでは、「好感情」が流通する。そして、「金銭が役に立たないばかりか、多くの場合、金銭を絡ませることは有害以外の何物でもない」。ローレンス・レッシング「リミックス – ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方」2008より一部引用
・シェアリングエコノミーという言葉が、これほど人口に膾炙(かいしゃ)している背景には、ウーバーやエアビーアンドビーなどのプラットフォームによる積極的な宣伝活動のほかに、より深い理由があると考えられている。早くから経済全体にわたる共有型アプローチを支持してきた人々の考えと理想をいくらかでも具体化しているという点だ。顔が見えない非人間的な20世紀の資本主義を離れ、人と人のつながりがあり、コミュニティに根ざし、共通の目的に沿った取引に向かう変化を感じさせるのである。
・現代のシェアリングエコノミーに現れている活動と、過去の贈与経済に見られたものとのあいだには、多くの類似点がある。端的に言えば、資本主義的交換に今後起きる変化には、商業偏重で人間性を失い非効率化したシステムに贈与経済を再統合するものでもあるというのが私の考えだ。
・人から人への贈られるギフトの流れから、何が起きるのだろうか?ハイドによれば、ギフトの話により「増加がもたらされる」という。言い換えれば、贈与交換は「社会的価値」の交流を促進することが目的なので、手元に置かれたままのギフトは何の用もなさず、「進呈」されて初めて意味がある。「ギフトの輪の概要を見たので、一見すると矛盾とも思える贈与交換の特徴にも合点が行くだろう。ギフトは使われても使い尽くされないのだ。実際には正反対で、使われなかったギフトは失われ、贈られたギフトは豊富であり続ける」。(中略)また、贈与経済の精神により、環境に責任を持ち持続可能な生活に合った文化が生まれるという。「豊かな森林があるのは、人間が森の恵みをギフトとして扱ってきた結果なのだ」。ルイス・ハイドの「ギフト」1983より一部引用。
・暴力から教育的成果まで、現代が抱える多くの問題は、人的つながりの不十分さから発生していると見られる。
「人的つながりの不十分さ」のインパクトは、大いに興味・共感を持つ記述でした。人間心理に根ざした新規事業推進や組織開発に興味があることもあり、また、ワークショップに参加していて自分の最近のテーマ・キーワードとして「つながり」という言葉・概念がよく出てくるからです。
シェアリングエコノミーの定義・全体像が理解できたわけではありませんが、入り口としては一旦イメージできました。最終的に自分なりの総括をしたいと思います。
次回は二つ目の問い:次は、「シェアリングエコノミーにおける医療健康介護に関連する既存事業はあるか?」について探求します^^。
つづきの3つ目の記事はこちら
https://note.mu/boonbeppu/n/nff68d0eeb237
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