クライアントのKPIを意識して記事を書く
ライターになって10年くらい。これまでブックライティング中心に仕事をしてきましたが、最近、企業からの執筆依頼がすごく増えています。
企業案件の中でも、私はBtoB商材を扱う企業の記事作成を割と得意としているのですが、「BtoBが得意です」と言うと、「どういうこと?BtoBって何か違うの?」と聞かれることが結構あります。
なので、ちょっとここで、BtoB企業の記事制作について、書いてみようと思います。
BtoBって何?
BtoBは「Business to Business」の略です。直訳すると、「企業間取引」ってことですね。たとえば、工場で使う機械、財務管理ソフト、ビジネスコンサルティングとかは、商品を提供する側も、それを購入する側も、企業です(※)。このような取引をBtoBと呼びます。
これに対して、購入する側が個人消費者の場合は、BtoC(Business to Consumer)って言います。スーパーやコンビニのような小売業、美容院とかは、BtoCに該当します。
(※)個人事業主が相手の場合もBtoBです。ここではビジネスをしている個人も「企業」と表現します。
常に目的(KPI)を意識して記事を書く
記事を書くときは、必ず「その記事によってクライアントは何をしたいのか」を意識するようにしています。
記事をライターに発注するからには、コストをかけてでも成し遂げたい目的があるはずです。それならば、その目的達成の助けとなるような記事を書きたい。ここは、仕様書通りに書けばいいってものではないと思っています。
この「目的」については、「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」という明確な指標や数値を設定されていることもあります。
BtoCのオウンドメディアだと、記事の目的・KPIは、SEOで上位表示させることだったり、多くのPVを獲得することだったりするかもしれません。
しかし、BtoBの場合、PVを稼ぐこと自体は、そこまで重要じゃないことも多いです。
BtoB商材には、非常に高額なものがあり、何十万、何百万円から、それこそ何億円という価格の商品まで存在します。誰も彼もが購入できるわけではないので、大勢の目に止まる必要はありません。「キーとなる何人かのハートをがっちり掴めればOK!」という戦略をとるケースもでてきます。
記事の目的は、実にさまざま。原稿を書く際には、その記事の目的を把握して、目的に沿った構成にすることが重要です。
BtoB企業のマーケティングフロー(すんごいざっくり)
BtoB企業からライターが直接依頼を受ける場合、その多くはマーケティングのための記事になります。(もちろん、採用や社内報などでの記事制作を頼まれることもありますが、その場合、BtoBとBtoCで気をつけることはほとんど変わりません。たぶん)
クライアントのニーズに応える記事を執筆するためには、ざっくりとでいいのでBtoB企業のマーケティングフローを知っておくと便利です。
BtoBのマーケティングは、だいたい次のような感じで進んでいきます。
①認知獲得
「とにかく自社のこと、商品のことを知ってもらおう」という段階です。
② リードジェネレーション(見込み客獲得)
見込み客(リード)の名前や所属、メールアドレスなどの情報を獲得することを「リードジェネレーション」と言います。
名刺交換、資料請求やセミナー申込み時のフォーム入力などによって、情報をGETします。
③リードナーチャリング(育成)
②で情報をGETした見込み客の「買いたい」度合いを上げていく工程です。
悩みを解決するための情報や、新しい技術の解説、成功事例などを提供することで、購入意欲を高めてもらいます。
④クロージング(商談・契約)
商談を行い、契約してもらう段階です。
この①~④は、すんごいざっくりした流れですが、ライターとしては最低限このくらい知っておけば何とかなります(もちろん、詳しいに越したことはありませんが)。
大事なのは、全体像を掴んでおくことです。
マーケティングの段階によって、書くことが変わってくる
マーケティングのどの段階に該当する記事なのかによって、伝えるべき情報や読者の前提知識が異なります。なので当然、取材で聞くことも、原稿に書く内容も変わってきます。
正直、クライアントから「この記事では、○○の段階の顧客に対して、××なアクションを喚起することを目的としています」と言ってもらえることは、ほとんどありません。
その場合、ライター側から探っていく必要があると、私は考えています。ここを把握できていないと、書くべきことが定まらなくて、なんかふんわりした原稿になっちゃうんですよね。
特に編集プロダクション経由ではなく企業と直接契約の場合、クライアント企業のほうでも、ライターにどのような指示を出せばいいのか手探り状態だったりしますから。
ここは、案件を受注する際に、しっかりヒアリングしておきたいポイントです。
......と、ここまで書いて気づいたんですが、この文章、企業から直接依頼を受けた前提で書いてますね。最近、企業からの直接依頼が多いので、ついその前提で書き進めてしまいましたが、BtoB企業への取材記事って、企業からの依頼だけとは限りません。「WEBメディアから依頼されることのほうが多い」というライターさんもいると思います。
ということで、次のnoteは、WEBメディアから企業取材記事を依頼されたときのことを書きますね(と宣言することで、書かねばならない状況に自分を追い込んでみる)。