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「CRAFT GIN LOVER」をはじめます
たしか去年の春先のことである。『全国旅をしてでも行きたい街の本屋さん』の取材で高崎に来た。取材先はREBEL BOOKS。デザイナーの荻原貴男さんが始めた新刊書店だ。
実は荻原さんとは彼の開催する年2回のイベントZINPHONYで一度会っていてその時に本屋を開くと聴いていたのだが念願叶ってついに開店。開店後にも一度寄っているのでお会いするのは3度目だったりする。
連載「グンマーは秘境じゃない」のときにもお世話になったグンマスター氏にはじめは紹介してもらったが3度目ともなると気安いもので取材もスムーズに進んでいた。その最中のことである。
お酒を出す店でもあるのでそのことについて話しているとメニューにジンがあることに気がついた。思えば僕は初めて行く居酒屋やバーではとりあえずジントニックを頼むことが多い。せっかくだからジンについて詳しくなれたら楽しいなーと思いはじめていた頃だった。ボンベイサファイアやタンカレーくらいは知っていたがヘンドリクスという名前を聞くのは初めてでもあった。
「こんなジンもあるんですね?」
何気なく話を振ってみると
「ジンにもクラフトビールと同じようにクラフトジン というものがあってね……」
と語り出す荻原さん。クラフトと名のつくものに目がない僕である。それはもう飲むしかない。
「後で頼もう」
そう思っていたはずが「飲みます?」と荻原さん。そりゃ飲まないわけにはいかんでしょうと心の声が溢れ出て被せるように「はい!ぜひっ!」と答える和氣であった。これがまあエライこと美味しくて。もちろんその後の取材がグダグダになったのは言うまでもない。
数ヶ月後。
どうにか『全国旅をしてでも行きたい街の本屋さん』と、それとほぼ同時進行だった『日本の小さな本屋さん』の原稿も終わらせたとき、ふと思い出したのだ。
2016年にハマっていたコーヒー豆のブレンド比べ飲みもひと段落ついていて、そのあとは漫画とアニメと少々の読書になってしまっていた。
ここらで能動的な趣味を復活させるべきじゃあないのか!? 仕事ばかりでは駄目ぢゃあないのか!? え? おい? どうなんだ!? 答えてみろよ? 和氣!?
というよく分からない衝動に突き動かされて今度はクラフトジンを飲んでいこうと思い立った。去年の夏前のことだ。それから1年が経ち、行きつけのバーなどでまだ10数種類程度ではあるがクラフトジン を飲み比べてきた。
そこでまた変な衝動がぴょこんと顔を出す。
あれ? あなたの職業はなんですか? ライターじゃないんですか? 気になったりしたことはとりあえず書いとくべきぢゃあないんですか? それで良いのか? え? お? 答えてみんさい! 和氣さんよおぉぉぉおおお!?
正確にはライターじゃないんだけどなあと誰にともなく独りごちつつも、この連載「CRAFT GIN LOVER」は思いつきと衝動によって始められることになった。なお、この文章「というかこの連載のときは基本)酒を嗜みながら書かれている。酔っ払っているかどうかは読者諸氏の判断にお任せしたい。2019年6月4日のことである。