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レティシア書房店長日誌

小野寺伝助「クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書」
「クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書」(発行:地下BOOKS)

  
 書評集ですが、そこで取りあげている本の一覧を見ていると、おぉ〜同士!だと思うほど、読んだ本、ブログで取り上げた本、当店で売っている本などがずらりと並んでいました。

 2018年に出た「クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書」(825円)には、渡邊格「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」、森達也「いのちの食べ方」、鹿子裕文「ヘロヘロ」、岸政彦「断片的なものの社会学」、山下賢二「ガケ書房の頃」、島田潤一郎「あしたから出版社」、太田光&中沢新一「憲法九条を世界遺産に」等々が取り上げられています。2023年発行のVol.2(935円)では、いとうせいこう「『国境なき医師団』を見に行く」、濱野ちひろ「聖なるズー」、宮野真生子・磯野真穂「急に具合が悪くなる」、松村圭一郎「うしろめたさの人類学」ベン・ファンテイン「ビリー・リンの永遠の一日」等々。(殆どブログで紹介しました)
 「パンクス」とは何なのか?著者は、「パンクとは、突き詰めて、突き抜けることだと思っています。音楽表現としてはもちろん、生き方としてもです。なぜわざわざ突き詰めて、突き抜けるかというと、パンクという価値観、パンクスという存在が社会の中ではマイノリティであり劣等感を抱く孤独な個であるからです。劣等生は、突き詰めて突き抜けるしか生きる術がない。 そうすることで、なんとか自分を肯定したい。 孤独な個が集まれば、その集団がユニティになる。それでもまた、社会の中で見ればその集団はマイノリティであることに変わりはありません。」パンク的な人間をパンクスと言うのだそうです。
 40年ほど前ですが、パンク野郎やメタルキッズにロリータ少女の溜まり場みたいなレコードショップが職場でした。そこで、彼らのファッション、ものの考え方、そして自分の音楽への姿勢を見守ってきたので、「突き抜けてゆく」という言葉は、よく理解できます。
 押し寄せるあやふやな情報や、自分達に都合のいいように解釈し発信する政治家や官僚の言動、あるいは社会の既成概念に惑わされないように、紹介されている本を読んで自分自身の思考の基準を作る絶好の2冊です。
 2冊目の「クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書」で、著者はこんなことを書いています。
 「自分の価値観をより強固にしてくれるような本からは遠ざかり、自分の価値観の輪郭がボヤけるような、自分の境界線が拡がってゆくような本を探しては読むことが多くなりました。具体的に言うとそれは文化人類学やアナキズム、フェミニズム、ジェンダー、人種差別、暴力や戦争に関する本でした。それは自分の無知を自覚する読書でした。」自分が無知だと知るために読むって、読書の醍醐味の一つだと思います。
 「非常事態において、読書は不要不急の娯楽で、ただ現実逃避するためだけの無力な存在なのか?否、不安や恐怖に流されて他者を差別したり、社会に自分を殺されないようにするための武器だ。 本書は反戦、反権力、そして優しさの塊のような、パンクス必読の名著。」
これ、アーザル・ナフィーシーの「テヘランでロリータを読む」の書評です。著者は最も大事だと思うことは、すべて太字にしています。だから、その太字のところで、面白そうと思った本をチョイスするのもいいかもしれません。とても役に立つ書評集2冊です!

年始年末休業のお知らせ:12月29日(日)〜1月7日(火)

レティシア書房ギャラリー案内
12/25(水)〜12/28(土)絵本ディスカウントフェア
2025年 1/8(水)〜1/19(日)古本市
1/22(水)〜2/2(日)「口を埋める」豊泉朝子展

⭐️入荷ご案内
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
「オフショア4号」(1980円)
青木真兵&柿内正午「二人のデカメロン」(1000円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
SAUNTER MAGAZINE Vol.7 「山と森とトレイルと」

いさわゆうこ「デカフェにする?」(1980円)
「新百姓2」(3150円)
青木真兵・光嶋祐介。白石英樹「僕らの『アメリカ論』」(2200円)
坂口恭平「自己否定をやめるための100日間ドリル」(1760円)
「トウキョウ下町SF」(1760円)
モノ・ホーミー「線画集2『植物の部屋』(770円)

古賀及子「気づいたこと、気づかないままのこと」(1760円)
いしいしんじ「皿をまわす」(1650円)
黒野大基「E is for Elephant」(1650円)
ミシマショウジ「茸の耳、鯨の耳」(1980円)
comic_keema「教養としてのビュッフェ」(1100円)
太田靖久「『犬の看板』から学ぶいぬのしぐさ25選」(660円)
落合加依子・佐藤友理編「ワンルームワンダーランド」(2200円)
秦直也「いっぽうそのころ」(1870円)
折小野和弘「十七回目の世界」(1870円)
藤原辰史&後藤正文「青い星、此処で僕らは何をしようか」
(サイン入り1980円)
YUMA MUKUMOTO「26歳計画」(再々入荷2200円)
モノホーミー「自習ノート」(1000円)
コンピレーション「こじらせ男子とお茶をする」(2200円)
牧野千穂「some and every」(2500円)
マンスーン「無職、川、ブックオフ」(1870円)
笠井瑠美子「製本と編集者」(1320円)
奈須浩平「BEIN' GREEN Vol.1"TOURISM"」




 

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