レティシア書房店長日誌
キッチンミノル「ひこうきがとぶまえに」
写真家キッチンミノルは、ちょっとユニークな経歴の持ち主です。アメリカテキサス州フォートワース生まれ。十八歳の時に噺家を目指すも挫折します。大学卒業後、営業職に就きますが、写真家へと人生の舵を切ります。当店で最初に入れた彼の本は、2016年に出た「メオトパンドラ」(新刊2200円/サイン入り)でした。
雑誌「AERA」の連載「はたらく夫婦カンケイ」で撮影した写真の中から選んだ100組の夫婦の写真と、詩人・桑原滝弥が書き下ろした100節の詩を1冊にしたものでした。100組それぞれの夫婦関係が滲み出るキッチンミノルの写真と、桑原の短い詩が、それぞれの「夫婦」の姿を捉えています。
「私は、お皿に残ったソースをそっとパンで拭うように、夫婦から滲み出てきたその味をそっと写真に撮りたいと思っていた」とあとがきに書かれていましたが、とてもユニークな傑作作品集でした。
その次に入荷したのは「キッチンミノルの写真教室」(新刊 1980
円)でした。これは、そのものズバリの写真の撮り方を教える本です。ハウツー本としてよくできた一冊ですが、ここで使用されているキッチンミノルの写真が、どれも素敵なのです。写真集と言っても過言ではありません。
そして、今回が「ひこうきがとぶまえに」(新刊1910円)という絵本。本の最後にある著者プロフィールに”しゃしん絵本作家”と書かれています。本書は航空整備士の日々の仕事を、絵ではなく写真で追いかけています。JAL全面協力のもとで、航空整備士の仕事や、見たことのない機器類がページいっぱいに広がっています。写真だからこそ伝わる迫力と臨場感。巻末には本に出てくる飛行機や格納庫の情報など満載です。
説明文はすべてひらがなで、子供向けになっているのですが、飛行機好きの大人向けのマニアックな一冊としてもおすすめです。外カバーを外したエンジンが、ページ一杯に広がっている写真には「な、なんだ!?これは!!!」という言葉が踊っています。複雑なエンジンの形態を見れば、大人でもそう叫ぶような迫力です。
なお本書は、2024年に著者が立ち上げたばかりの「TEXAS Book Sellers」からリリース。会社のロゴイラストは得地直美さん。夏葉社から「神保町」というステキなイラスト集(新刊1870円)を出された時、当店で出版記念の個展をしていただいたことがあります。
●レティシア書房ギャラリー案内
6/5(水)〜6/16(日)村瀬進「植物から、本から」出版記念原画展
6/19(水)〜6/30(日)書籍「草花の便り」出版記念原画展 西山裕子
7/10(水)〜7/21(日)切り絵展 後藤郁子
7/24(水)〜8/4(日)「夏の本たち」croixille &レティシア 書房の古本市
⭐️入荷ご案内
Kai「Kaiのチャクラケアブック」(8800円)早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)
つげ義春「つげ義春が語る旅と隠遁」(2530円)
山本英子「キミは文学を知らない」(2200円)
たやさないvol.4「恥ずかしげもなく、野心を語る」(1100円)
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
夏森かぶと「本と抵抗」(660円)
加藤和彦「あの素晴らしい日々」(3300円)
Troublemakers (3600円)
若林理砂「謎の症状」(1980円)
宇田智子「すこし広くなった」(1980円)
おぼけん「新百姓宣言」(1100円)
仕事文脈vol.24「反戦と仕事」(1100円)
降矢聰+吉田夏生編「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト
(2530円)
「些末事研究vol.9-結婚とは何だろうか」(700円)
今日マチ子「きみのまち」(2200円)
秋峰善「夏葉社日記」(1650円)
「B面の歌を聴け」(990円)
「本と本屋とわたしの話vol.21」(300円)
辻山良雄「しぶとい10人の本屋」(2310円)
辺野古発「うみかじ8号」(フリーペーパー)
夕暮宇宙船「小さき者たちへ」(1100円)
「超個人的時間紀行」(1650円)
柏原萌&村田菜穂「存在している 書肆室編」(1430円)
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