レティシア書房店長日記
デヴィット・リーチ監督「フォールガイ」
70年代の気合い!の入ったハリウッドアクション映画を浴びるほど観ていた私には、昨今の豊富な資金力と特撮だけで出来上がったハリウッド映画にほとんど興味がありません。実はこの「フォールガイ」も見るつもりはありませんでした。しかし、新聞やネットも評価がかなり良くで、少し気になってきたので劇場に出かけました。
久々にスカッとした気分になり、拍手を送ったアクション映画でした。監督のデヴィット・リーチは、映画監督であり、スタントマンであり、スタントコーデネイターです。自身が携わってきたスタント業界への愛情に溢れる作品に仕上げました。映画界への愛がベタベタになるとちょっと引いてしまうのですが、リーチ監督は、今のハリウッドへの皮肉も混ぜ合わせながら、破茶滅茶な映画を作りあげました。
大けがを負い一線を退いていたスタントマンの コルト・シーバース。付き合いの深かったプロデューサーから、ハリウッドの撮影現場に舞い戻るチャンスをもらいます。そこで監督を務めるのは元カノのジョディ・モレノ。ジョディに未練があるコルトは、彼女の気を引こうととんでもないスタントを連発します。ところが、彼がスタントを担当していた主役俳優のトム・ライダーが突然失踪してしまいます。プロデューサーから秘密裡に彼を探して欲しいと依頼を受けたコルトは、仕方なくトムの行方を追いかけ始めるのですが、思いもよらぬ事件に巻き込まれていきます。
ハリウッドB級アクション映画そのものを連想させる展開ですが、監督はひたすらアクションの快楽を追求していきます。殴り合い、カーチェイス、モータボート同士の追いかけ合い、ヘリコプターへの大ジャンプ、さらにはそこから真っ逆さまに落下など、手に汗握るシーンの連続です。主役をトップスターのライアン・ゴズリングが演じています。
当然お話はハッピーエンドで幕、なのですが、その後も見逃せません。エンドクレジットでは、アクションシーンのメイキングが映し出されます。それを見ていると、ゴスリングが身体を張っているのがわかります。さらに彼のスタントマンのド派手な活躍がちゃんと映し出されていて、スターに代わって映画の見せ場を作る彼らの仕事へのリスペクトと、これが俺の生きる道だぜみたいな心意気に満ちていました。。
そしてここから数分ですが、もう一本の映画が始まるのです。これが皮肉が効いていて、観てのお楽しみです。非白人の人たちが第一線にいるハリウッドの今を象徴するかのようなエンディングでした。
懐かしや、KISSの名曲「ラヴィン・ユー・ベイビー」でノリノリに始まり、大いに笑わせて終わるスッキリ度100%の映画でした。
●レティシア書房ギャラリー案内
8/21(水)〜9/1(日) 「わたしの好きな色」やまなかさおり絵本展
9/4(水)〜9/15(日) 中村ちとせ 銅版画展
9/18(水)〜9/29(日) 飯沢耕太郎「トリロジー冬/夏/春」刊行記念展
10/7(水)〜10/13(日) 槙倫子版画展
⭐️入荷ご案内
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本3」(660円)
「超個人的時間紀行」(1650円)
柏原萌&村田菜穂「存在している 書肆室編」(1430円)
稲垣えみ子&大原扁理「シン・ファイヤー」(2200円)
くぼやまさとる「ジマンネの木」(1980円)
おしどり浴場組合「銭湯生活no.3」(1100円)
岡真理・小山哲・藤原辰史「パレスチナのこと」(1980円)
GAZETTE4「ひとり」(誠光社/特典付き)1980円
スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」(サイン入り)2090円
向坂くじら「犬ではないと言われた犬」(1760円)
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
坂口恭平「その日暮らし」(ステッカー付き/ 1760円)
「てくり33号ー奏の街にて」(770円)
「アルテリ18号」(1320円)
「オフショア4号」(1980円)
「うみかじ9号」(フリーペーパー)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
青木真兵&柿内正午「二人のデカメロン」(1000円)
創刊号「なわなわ/自分の船をこぐ」(1320円)
加藤優&村田奈穂「本読むふたり」(1650円)