レティシア書房店長日誌
キラン・ラオ作品「花嫁はどこへ?」
久々に見たインド映画ですが、インド映画おきまりのミュージカルのような踊りもなく、ドラマの途中に歌いあげるシーンもありませんでした。
2001年、とあるインドの村。プールとジャヤ、それぞれの結婚式を終えた2人の花嫁は同じ満員列車に乗って、花婿の家に向かっていました。しかし、たまたま同じ赤いベールで顔を隠していたことから、プールの夫のディーパクが、間違ってジャヤの手を引っ張り自分の故郷の駅で降ろしてしまいます。
置き去りにされたプールは内気で、ディーパクに頼りきっていたので彼の家の住所も電話番号もわからない。携帯電話ない。行き場を失い右往左往する彼女をみて、駅で屋台を営む女主人が手を差し伸べてくれます。
一方聡明で活動的なジャヤは、ディーパクの家族になぜか自分の名前を偽って告げます。そして、徐々にディーパクの家族と親交を深めていきます。映画は、2人の予想外の人生のゆくえをおっていきます。
「世のなか面白い。見た目じゃ全然わからないんだ」 映画に登場するこの何気ないセリフが、その後の展開に大きく絡んでいきます。プールは、一見すると気弱そうで、自分から行動する女性ではないようにみえるのですが、決してそうではないことが明らかになって来ます。ジャヤの方は、ミステリアスで何かを隠しているようですが、真実が明らかになるにつれて、未来を向いて力強く生きる女性だとわかってきます。
そしてもう一人面白い人物が、ジャヤの夫に頼まれて彼女を追いかける警察署長。賄賂を平気でとるような悪徳警官に見えるのですが、味のあるいい裏切り方をして喜ばせてくれます。
ありえない設定の人生を生きてゆく女性が、インドの古い因習や常識をはねつけながら、それぞれの望んだ人生に向かって一歩踏み出していきます。全てが丸く収まってゆき、とても後味の良い映画になりました。エンドタイトルで、おぉ〜インド映画!という雰囲気のダンスナンバーのインスト曲が流れますが、従来のインド映画なら、ここで派手なダンスシーンが延々と続くのでしょうね。それもちょっと見たかったかな。
●レティシア書房ギャラリー案内
10/30(水)〜11/10(日)菊池千賀子写真展「虫撮りII」
11/13(水)〜11/24(日)「Lammas Knit展」 草木染め・手紡ぎ
11/27(水)〜12/8(日)「ちゃぶ台 in レティシア書房」ミシマ社
⭐️入荷ご案内
GAZETTE4「ひとり」(誠光社/特典付き)1980円
スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」(サイン入り)2090円
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
「オフショア4号」(1980円)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
青木真兵&柿内正午「二人のデカメロン」(1000円)
創刊号「なわなわ/自分の船をこぐ」(1320円)
加藤優&村田奈穂「本読むふたり」(1650円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
孤伏澤つたゐ「悠久のまぎわに渡り」(1540円)
森達也「九月はもっとも残酷な月」(1980円)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
TRANSIT 65号 世界のパンをめぐる冒険 創世編」(1980円)
SAUNTER MAGAZINE Vol.7 「山と森とトレイルと」
いさわゆうこ「デカフェにする?」(1980円)
「新百姓2」(3150円)
青木真兵・光嶋祐介。白石英樹「僕らの『アメリカ論』」(2200円)
「つるとはなミニ?」(2178円)
「ちゃぶ台13号」(1980円)
坂口恭平「自己否定をやめるための100日間ドリル」(1760円)
「ヴィレッジ・コード ニセコで考えた村づくりコード45」(1980円)
「トウキョウ下町SF」(1760円)
モノ・ホーミー「線画集2『植物の部屋』(770円)
モノ・ホーミー「2464Oracle Card」(3300円)