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レティシア書房店長日誌

堀江貴作品「最後の乗客」
 
 監督の堀江貴はNY在住。2016年に制作した大江千里のミュージックビデオ「Tiny Snow」が、ニューヨークジャズフィルムフェスティバルで最優秀ミュージックビデオ賞とジャズゴールデンタイム賞のダブル受賞をしました。   
 宮城県生まれの堀江が、「生を受けた故郷のために何ができるか」を自らに問かけ、2021年にその解答として『リバース Tohoku 2021 〜輝く未来へ〜』プロジェクトを立ち上げました。そして最初の一歩として、映画『最後の乗客』の製作をスタートします。クラウドファンディングで資金を調達し、コロナ禍による撮影延期など紆余曲折を経ながら2022年3月完成し、世界各地の映画祭で高い評価を得ました。
 何と、上映時間55分!1時間にも満たない小品です。映画は、暗い海の大きな波のうねりから始まります。当然、東日本大震災の津波を思い起こさせます。ある夜、小さな町の駅のロータリーでタクシーが数台、客待ちで駐車しています。タクシードライバーの遠藤(冨家ノリマサ)は、同じドライバー仲間の竹ちゃんと、駅から出てくる終電の帰宅客を眺めています。竹ちゃんがこんな話をし出します。「夜遅く浜街道まで流してって、若い大学生くらいの子がポツンと立ってるんだって‥‥」。タクシーに乗せて走り出すと、その女性がいないという怪談話でした。そんなバカなと一笑に付して、遠藤はひとりタクシーのハンドルを握り、閑散とした夜の町を流し始めます。

 しばらく走ると、深夜の県道に立ちタクシーを止めようと手をあげる若い女性を見つけます。女性を乗せて走り始めると、今度は路上に突然小さな女の子と母親の二人連れが飛び出してきます。偶然なのか、よくわからない三人を乗せてタクシーは走り出します。怪談のような、ファンタジーのような形で映画は走り出します。
 残念ながら、物語を詳しく語ることはできません。終わった時に、なるほどそういうことだったのかと納得し、深い感動に包まれます。ラスト、夜明けの海岸が映し出されます。映画の中で初めての明るいシーンです。そこに、この映画はすべてを注いでいます。生きる者と死んだ者の魂の交流。
どうか、この作品の切ない”どんでん返し”を体験してください。

●レティシア書房ギャラリー案内
10/16(水)〜10/27(日)永井宏「アートと写真 愉快のしるし」
10/30(水)〜11/10(日)菊池千賀子写真展「虫撮り2」
11/13(水)〜11/24(日)「Lammas Knit展」 草木染め・手紡ぎ

⭐️入荷ご案内
GAZETTE4「ひとり」(誠光社/特典付き)1980円
スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」(サイン入り)2090円
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
「てくり33号ー奏の街にて」(770円)
「アルテリ18号」(1320円)
「オフショア4号」(1980円)
「うみかじ9号」(フリーペーパー)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
青木真兵&柿内正午「二人のデカメロン」(1000円)
創刊号「なわなわ/自分の船をこぐ」(1320円)
加藤優&村田奈穂「本読むふたり」(1650円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
孤伏澤つたゐ「悠久のまぎわに渡り」(1540円)

森達也「九月はもっとも残酷な月」(1980円)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
TRANSIT 65号 世界のパンをめぐる冒険 創世編」(1980円)
SAUNTER MAGAZINE Vol.7 「山と森とトレイルと」

いさわゆうこ「デカフェにする?」(1980円)
「新百姓2」(3150円)
青木真兵・光嶋祐介。白石英樹「僕らの『アメリカ論』」(2200円)
「つるとはなミニ?」(2178円)

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