レティシア書房店長日誌
「ファッションヒストリー1850-2020」
成実弘至監修「国際ファッション専門職大学」編による「ファッションヒストリー1850-2020」は、モードと言われる近代ファッション誕生の19世紀後半から、170年間の国内外のファッションの変遷を、多くの美しい写真を駆使して解説した一冊です。特筆すべき点は、服装の変遷が、その時々の社会情勢や経済状況、新しいアートなどから影響を受けて登場していることを教えてくれることです。
第4章「ビートルズとファッション」では、「『ファッション』という語の意味を広く捉えるならば、ビートルズのファッションは、単に時代の先端をいく服装、あるいは流行のおしゃれな装いにとどまらず、時代に共有される新たな価値観そのものであった。若者の精神的革命の時代に、ビートルズはその中心にいたとも、それを先導したとも、あるいは人々が彼らに時代を見出したとも捉えられる。彼らの音楽とファッション、メッセージは世代を超えて今なお輝きを放っている。」と、その影響力を分析しています。
第5章「東京DCデザイナー」では、「戦後復興から高度経済成長を経て、80年代に入ると、日本社会は『一億総中流』の空気が漂い始める」時代が描き出されます。渋谷パルコやラフォーレ原宿などのファションビルが各地に出店し、多くの若手デザイナーが進出し、DCブランドブームを引っ張ります。その一翼を担ったのが、いわゆる”赤文字雑誌”です。70年代後半から80年代に相次いで創刊された女性ファション誌、「オリーブ」「JJ」「non-no」等のファッション誌のロゴが、赤系色だったことからそう呼ばれました。70年に「アンアン」、翌年に「ノンノ」が創刊、75年には女子大生やOLをターゲットにした「JJ」が創刊されます。
こうやって読んで行くと、なるほどその時々のファッショントレンドが時代の感覚と、いかに密接な関係にあったのかが理解できます。本書最後は、廃棄焼却される服が生み出す膨大なCO2、あるいは化学繊維が分解されずにマイクロプラスチックスとなって海洋汚染を引き起こしている現場から、これからのファションはどうなってゆくのかまで、きちんと解説されています。
一般書籍として販売し、国際ファッション専門職大学の学生の教科書として企画されました。執筆陣は、ファッション研究のトップクラスの人たちが担当し、巻末にはデザイナー等の人名解説やファッション用語解説が付いています。
●休業のお知らせ 7月1日(月)〜5日(金)お休みいたします。
●レティシア書房ギャラリー案内
7/10(水)〜7/21(日)切り絵展「図鑑と地図」 後藤郁子作品展
7/24(水)〜8/4(日)「夏の本たち」croixille &レティシア 書房の古本市
⭐️入荷ご案内
Kai「Kaiのチャクラケアブック」(8800円)早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)
つげ義春「つげ義春が語る旅と隠遁」(2530円)
山本英子「キミは文学を知らない」(2200円)
たやさないvol.4「恥ずかしげもなく、野心を語る」(1100円)
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
夏森かぶと「本と抵抗」(660円)
加藤和彦「あの素晴らしい日々」(3300円)
Troublemakers (3600円)
若林理砂「謎の症状」(1980円)
宇田智子「すこし広くなった」(1980円)
おぼけん「新百姓宣言」(1100円)
仕事文脈vol.24「反戦と仕事」(1100円)
降矢聰+吉田夏生編「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト
(2530円)
「些末事研究vol.9-結婚とは何だろうか」(700円)
今日マチ子「きみのまち」(2200円)
秋峰善「夏葉社日記」(1650円)
「B面の歌を聴け」(990円)
「本と本屋とわたしの話vol.21」(300円)
辻山良雄「しぶとい10人の本屋」(2310円)
辺野古発「うみかじ8号」(フリーペーパー)
夕暮宇宙船「小さき者たちへ」(1100円)
「超個人的時間紀行」(1650円)
柏原萌&村田菜穂「存在している 書肆室編」(1430円)
「フォロンを追いかけてtouching FOLON Book1」(2200円)