
レティシア書房店長日誌
奈須浩平”BEIN' GREEN Vol.1 TOURISM"
これは、海外旅行を記録した写真&エッセイ集ですが、著者の訪問した国が、色々と考えさせられる場所ばかりです。(個人出版1900円)

「2018年末の私が最初に挙げた場所は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区ベツレヘムにある”The Walled Off Hotel"だった。高級ホテルの"The Waldorf -Astoria Hotel"ではない。そこはイスラエルによって建設された分離壁の目の前に建てられ、『世界一眺めの悪いホテル』と呼ばれた事で世界中から注目を受けた。またグラフィティ・アーティストのバンクシーがデザイン、運営に携わった事で中東や欧米を中心にメディアで報じられ、多くの観光客を迎えていた。」
ここを訪れるには、イスラエル軍の検問所を通過しなければ行けないのだそうです。今も続く戦争でどうなっているのか気になります。その次に著者が向かったのは、チェルノブイリ原子力発電所。1986年に爆発事故を起こし、多大な被害を今も与えている発電所です。
「爆発した四号炉から半径30Km園内は『ゾーン』と呼ばれ一般市民の立ち入りが原則禁止されているが、2011年以降、ウクライナ政府公認団体による見学ツアーが解禁されていることを知って参加を決めた。」つまり著者はウクライナに入国し、チェルノブイリへ向かったのです。
「ガイドに促されゾーン内ではTERRA-P を常時起動する。線量計の数値はチェルノブイリ市周辺で0.1〜0.2マイクロシーベルト毎時を推移していたが、車を降りて地表や金属類を計測すると警報音と共に急激に数値が上昇を続け、最大で35マイクロシーベルト毎時を超えた。」ちなみに大阪市内の空間線量は、0.05〜0.07マイクロシーベルト毎時だとか。(2024年11月10日著者計測による)
今でも、そういう場所なのです。2022年2月にロシア軍がウクライナへ軍事侵攻をした際、この発電所が掌握され、職員が人質になったのはご存知だと思います。3月末にはロシア軍は撤退するのですが、その後どうなっているのかを知る情報は決して多くないと著者は書いています。
そして著者の旅は、ポーランドのアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所へ続きます。この収容所の写真も沢山収録されています。まさに、負の遺産ツアーの様相ですが、悲惨な写真が並んでいるわけではありません。いや、むしろその場所で生きている人たちの表情や、街の雰囲気が収められています。あるいは、この地で暮らす猫の表情が何点か配置されていて和めます。ぜひ、持っていてほしい一冊だと思います。
●年始年末休業のお知らせ:12月29日(日)〜1月7日(火)
レティシア書房ギャラリー案内
12/11(水)〜12/22(日)「草木の色と水の彩」作品展
12/25(水)〜12/28(土)絵本ディスカウントフェア
2025年 1/8(水)〜1/19(日)古本市
1/22(水)〜2/2(日)「口を埋める」豊泉朝子展
⭐️入荷ご案内
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
「オフショア4号」(1980円)
青木真兵&柿内正午「二人のデカメロン」(1000円)
オルタナ旧市街「Lost and Found」(900円)
小峰ひずみ「悪口論」(2640円)
SAUNTER MAGAZINE Vol.7 「山と森とトレイルと」
いさわゆうこ「デカフェにする?」(1980円)
「新百姓2」(3150円)
青木真兵・光嶋祐介。白石英樹「僕らの『アメリカ論』」(2200円)
坂口恭平「自己否定をやめるための100日間ドリル」(1760円)
「トウキョウ下町SF」(1760円)
モノ・ホーミー「線画集2『植物の部屋』(770円)
古賀及子「気づいたこと、気づかないままのこと」(1760円)
いしいしんじ「皿をまわす」(1650円)
黒野大基「E is for Elephant」(1650円)
ミシマショウジ「茸の耳、鯨の耳」(1980円)
comic_keema「教養としてのビュッフェ」(1100円)
太田靖久「『犬の看板』から学ぶいぬのしぐさ25選」(660円)
落合加依子・佐藤友理編「ワンルームワンダーランド」(2200円)
秦直也「いっぽうそのころ」(1870円)
折小野和弘「十七回目の世界」(1870円)
藤原辰史&後藤正文「青い星、此処で僕らは何をしようか」
(サイン入り1980円)
YUMA MUKUMOTO「26歳計画」(再々入荷2200円)
モノホーミー「自習ノート」(1000円)
コンピレーション「こじらせ男子とお茶をする」(2200円)
牧野千穂「some and every」(2500円)
マンスーン「無職、川、ブックオフ」(1870円)
笠井瑠美子「製本と編集者」(1320円)
奈須浩平「BEIN' GREEN Vol.1"TOURISM"」