books selva

2009年新聞社入社、2022年8月退社。鹿児島市名山町4-8で「books selva」やってます。2PAC"Brenda's Got a Baby"が原点。https://www.instagram.com/books_selva/

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2009年新聞社入社、2022年8月退社。鹿児島市名山町4-8で「books selva」やってます。2PAC"Brenda's Got a Baby"が原点。https://www.instagram.com/books_selva/

マガジン

  • letter from books selva

    月1回の読み物

最近の記事

letter from books selva 08

「物価が上がって大変だよ」。70代の男性は私の店の前で苦笑しながら、こう漏らした。それまでも何度も店の前で男性を見かけていたが、ことばを交わすようになったのは、鹿児島県知事選中に鹿児島市中心部の山形屋前でチラシを配っている時からだ。チラシ配りは人の輪を広げてくれる。みなさんもぜひ、一度試してみてはいかがでしょう?  さて、値上がりは手巻きタバコも例外ではない。タバコ税は、2020年に1本あたり1円、21年にさらに1円上がった。これまで、1袋(30グラム入り)1000円未満で買

¥100〜
    • letter from books selva 07

       戦後発行された出版物は300万点。今は1日約200点が刊行されている(『地平』7月号「七万冊を是とする」清田義昭)。だからだ。毎月、本を発注しているが、次から次におもしろそうな本が出版される。困ったもんだ。出版社の人も大変だろうなぁと思っていたら、出版社の未知谷から注文していた本が届いた。その本と一緒に以前注文した本の帯が入っており、一筆箋にはこう書かれていた。

      ¥300〜
      • letter from books selva06

         どこかで店のメールアドレスが漏れたのか? いや、HPに載せているので、漏れたかどうかの話ではない。ではなぜ急に──? なんの話かと言えば、「これやってみませんか?」的なメールが6月下旬に立て続けに2本きた話だ。一つ目は、選書ポータルサイト「ブックカルテ」から。本を選んでほしい利用者と本屋をつなぐサービスらしい。「初期費用ゼロ、コスト面でのリスクなく参加できる」とあるので、話に乗ってみるのも手だ。とは思いながら、いまだ返信していない。  メールには、「累計800件以上マッチン

        ¥300〜
        • letter from books selva05

           5月は総じてヒマだった。ああ、ヒマだ、ヒマだ。ヒマ過ぎて嫌になるが、どうしようもない。こんな時は、スチャダラパーの名曲「ヒマの過ごし方」を大音量で聴くしかない。なんど聴いてもいい曲だ。  店でヒマな時にすることといえば、読書。読む本はたくさんある(あり過ぎて困るくらいだ)。最近読んだ本が目の前に並んでいる。列挙してみよう。『思想としてのアナキズム』(森元斎編)、『DJヒロヒト』(高橋源一郎)、『パンクの系譜学』(川上幸之介)、『吹きさらう風』(セルバ・アルマダ)、『塵に訊け

          ¥300〜

        マガジン

        • letter from books selva
          8本
          ¥300

        記事

          letter from books selva04

           雨ばかりで気分が沈む。毎年4月はこんなに天気が悪かったっけ?と思い、気象庁HPで鹿児島市のデータを見てみた。2023年4月は28日の時点で、日照時間が10時間を超えたのは11日あった一方、ことしはたったの5日。日照時間で見ると、2022年4月は193時間、23年は174時間、ことしは28日まででたったの104・1時間! そりゃ、気が滅入る。太陽が恋しい。  4月22日はアースデイだった。店の黒板に何を書こうかと本棚を見回していると、この1冊が私に囁きかけてきた。『超高層のバ

          ¥300〜

          letter from books selva04

          ¥300〜

          letter from books selva 03

           初めての体験が多い、3月だった。まずは6日。鹿児島市議会防災福祉こども委員会で意見陳述した。なんの意見陳述かといえば、もちろん、九州電力川内原発の20年運転延長に反対する決議を求める陳情に関してだ。記者時代、陳情審査を取材することはあったが、まさか自分が陳情者になるとは思ってもいなかった。持ち時間は5分。5分と聞いて、短いと思うかもしれないが、意外に長い。言いたいことを記憶する頭は持ち合わせていないので、文書にして読んだ。以下、最後の部分のみ、書く。 想定以上の大地震はい

          ¥300〜

          letter from books selva 03

          ¥300〜

          letter from books selva 02

             (…)動物は、人間に変わりたくなどなかった。動物にとって人間は、モンスター、怪物のように恐ろしいものだった。それで、動物たちは申しあわせて、神を捕らえて溺れさせてしまった。こういうわけだ。(『プラヴィエクとそのほかの時代』オルガ・トカルチュク pp194-195)  なぜ、このようなことが許されるのか──。種子島とほぼ同じ面積のパレスチナ自治区ガザ地区。約223万人もの人が密集する中にイスラエル軍がミサイルを落とし続け、子どもを含む人間が殺され続けている。北朝鮮、中国

          ¥300〜

          letter from books selva 02

          ¥300〜

          letter from books selva01

           あぁ、売れないなぁ……。海外小説を並べた棚を見て、本には悪いと思いつつ、こんな言葉が漏れる。しかし、どうしても発注してしまう。強風のなか、手巻きタバコを巻いてしまうような感覚だ。運が悪いと、葉っぱが飛んでいってしまう。  こりゃ、おもろい、と最初に感じた海外の小説は、『ラ・カテドラルでの対話』。ノーベル賞作家、バルガス=リョサの「独裁政権下ペルーの腐敗しきった社会の現実を多面的に描き出」(岩波ホームページ)した長編。「これまでに書いたすべての作品の中から一冊だけ,火事場から

          ¥300〜

          letter from books selva01

          ¥300〜

          オープン1周年

          12月で開業1周年を迎えた。 本を買ってくれたみなさま、ありがとうございました。 何もわからずに本屋を開きました。 なんやかんやで、1年が過ぎていったという感じです。 当初は、お客さんが来てくれるのか不安でしたが、少ないながらも来てくれているのが奇跡のようです。稀に、「こんな本屋を待っていた」と言ってくれるお客さんもいます。そんな時はオープンして良かったと思います。 ただ、そんなことばかりではありません。お客さんが一人も来ない(これを書いている今、この時も誰も来ていません

          オープン1周年

          県議会、県民投票条例案否決

           10月23日、鹿児島県議会本会議場には100人を超える県民が詰めかけた。塩田康一知事は、2020年の知事選で、運転延長について「必要に応じて県民投票を実施する」と公約。しかし、川内原発の運転延長の是非を問う県民投票条例案を議会に提案した塩田知事の発言は、多くの県民を裏切るものだった。「私としては、マニフェストに基づく県民投票は実施しないとしたことなどを踏まえると、条例案に基づく県民投票については、慎重に判断すべきであると考えております」  運転開始からまもなく40年を迎える

          県議会、県民投票条例案否決

          原発@韓国②

           実際に参加してみると、壮観だった。9月23日、韓国・ソウル市内であった「気候正義行進」。路上には約3万人が集まった。周りを見ると、10~40代とみられる人が多い。もちろん、高齢者の姿もあったが、参加者の多くは比較的、若い。  ノー・ニュークス・アジアフォーラム(NNAF)のホストを務めた韓国の参加者は20代が多かった。わたしは本屋を閉めて参加していたので、その間は無収入。自営業となると、金銭的なことが気になる。一体、韓国の参加者はどうしているのだろう。答えをくれたのは、韓国

          原発@韓国②

          原発@韓国①

           ゴリ(古里)原発1~4号機(釜山市)の敷地を囲むフェンスの目と鼻の先に住宅が並ぶ。「原子炉から住宅街まで700メートルしか離れていません」。バスで通過する際、現地スタッフからそう説明があった。「東海村と似ているな」。頭には原発敷地を出るとすぐに住宅地が広がる東海村の様子が思い浮かんだ。  現地視察当日の9月21日は、あいにくの小雨。ゴリ原発1~4号機が見えるカフェに向かう。カフェの目の前は海で、何艘もの小さな船が波に揺られている。昔から港だと思っていたが、砂浜だったという。

          原発@韓国①

          署名活動②

           6月1日から始めた川内原発20年運転延長の是非を問う県民投票を求める署名活動は7月30日午後11時59分59秒をもって、終わった。みなさまのおかげで、法定署名数(2万6475筆)を大きく上回る5万290筆が集まった。  「(社会は)こんなもんだよ」。2ヶ月にわたり、鹿児島市の山形屋前で何百人もに声掛けした中で、ある年配の女性の言葉が今も頭に残っている。水俣病患者認定を申請しているという女性。他の身内は患者認定されたが、自身だけ認められていないという。「手がしびれてね」。そう

          署名活動②

          署名集めてます

           空耳か? 見知らぬ人の口から発せられた音がうまく脳で処理できなかった。  九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の20年運転延長の是非を問う県民投票実現に向けた署名活動が始まった。私自身、鹿児島市の山形屋前で毎日1時間、署名を集めている。思ったより、署名をしてくれる人が多い印象だ。「原発の~」と原発を出すと途端に嫌な顔をする人もいる。まぁ、それも仕方がない。とにかく、集めるだけだ。  「一人で決めた方がいい」  いつものように山形屋前で署名を集めていた時のことだ。

          署名集めてます

          県民投票

           九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の20年運転延長の是非を問う県民投票実現に向けて、県民有志が6月から署名活動を始める。私もその一人だ。原発問題というと、技術的な問題がフォーカスされる。もちろん、技術的課題を議論することは必要だ。ただ、それ以外の重要なことが忘れられているように思う。それが、民主主義だ。  鹿児島県では県原子力専門委員会分科会が20年延長を検証している。南日本新聞によると、九電側は「『商業機密』などを理由にデータ開示に消極的なケースが相次」いだ

          県民投票

          お別れ

           10年ほど付き合ったのだろうか。3週間前にローバーミニとお別れした。新聞記者時代、転勤に合わせて一緒に異動。水戸から鹿児島市までを運転したことも懐かしい。  2020年7月の熊本豪雨では、豪雨当日に川のような道を走ったこともあった。そんな過酷な現場で文句も言わずに走ってくれた。いや、もしかすると、不平不満はあったのかもしれない。が、ストライキという手法に訴え出ることはなかった。「ガソリン生活」(伊坂幸太郎)の中でなら、我がミニは「こんなところ、走らせるなよ!」と愚痴っていた