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とりとめのないこと2025/01/22 デビッド・リンチ
人間は決して二項対立的では理解し得ない生き物で、ひとりの人間の多面性と愛憎と葛藤と深い矛盾を抱えて、自らのうちにあるそれらとの和解のようにして受け入れようとしていく、受け入れざるを得ない、あるいは、受け止められない、というのが生と死、つまり人生そのものだろう。
もっと拡張すれば、デリダではないが、「赦し-得ぬものを前にして赦しが不可能に見え、ただ不-可能なることと格闘することにおいてのみ可能だと見えるまさにその地点においてこそ、まさしく、そして唯一、赦しの可能性が呼び求められる」(『赦すこと』デリダ)
オノレ・ド・バルザックの『幻滅』に夢中になっていたとき、デビッド・リンチ監督が一月中旬に亡くなったことを知った。
不思議と時代も空間も超えて共通する。
映画が豊かだった時代、異才の人。
狂気に感じる安堵──赤の中の青と青の中の赤の人。
ありがとう、デビッド・リンチ監督。
あなたの非凡な才能から作り続けた作品にどれほど救われたか。
どうか、その旅路が安らかでありますように。
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