葡蔵人の「アジロン」飲みくらべてみた 〜 須合と話そう!会、イベントレポ 〜
こんにちわ!東京都台東区にあるワイナリー『葡蔵人 ~Book Road~』で働く新人🔰マイコです。
私たちブックロードワイナリーは、ワインを通じてみなさんの生活に”笑顔”をお届けするため、醸造家須合を中心に楽しくワイン造りをしています!
さて、新人🔰マイコが読者のみなさんと同じ目線で「ブックロードってどんなワイナリー?」「ワイン造りってどんなことするの?」「ワインの楽しさってどんなところ?」といった、素朴な疑問や新しい発見をお届けするこのnote。
今回は、先日おこなわれた「須合と話そう!会 〜アジロン飲みくらべ編〜」についてレポートしたいと思います!
「アジロン」ってなあに?
ブックロードの「アジロン」のワインに使われるのは、「アジロンダック」という品種のブドウです。
原産国はアメリカですが、かつては山梨県でたくさん栽培されていた食用ブドウだったのだそう。その後栽培農家が減って、「幻の葡萄」なんて呼ばれていたこともあるようで、収穫期には畑一面にあま〜い香りが漂う、香り高い黒ブドウです。
さてそんな「アジロン」のワインを、ブックロードでは2017年のワイナリーオープン時から毎年醸造しています。
先日、醸造家須合とおしゃべり中に、こんなお話をうかがいました。
「わたしが師匠のところ(※マルサン葡萄酒)で最初にアジロンを飲んだとき、びっくりしちゃったんだよね。こーんなに甘い香りで、こんなにドライな飲み口なんだ、こんなワインもあるんだ!って」
ーーワインとの出会いって、本当におもしろいよね。
須合の言葉に、わたしは何度もうなずきました。
わたしたちは人生のどこかの時点で、ある人はなにげなく、またある人は衝撃的に、それぞれの物語のなかでワインと出会います。
そして、まさに醸造家須合がワインと「出会った」のが、この「アジロン」。
アジロンはブックロードにとって思い入れの深い、家族のような、盟友のような、なくてはならない存在なんだなぁ…と、わたし自身のワインとの出会いを重ねながら、じんわりしたことを覚えています。
そんなブックロードの「アジロン」を、いっきに飲み比べてみようじゃないか!というのが、今回のイベントのメインテーマ。
なんとブックロードスタッフにとっても「在庫がないから、これで最初で最後かも」という、とーっても貴重な会だったのです。うわぁ、こりゃ楽しみだ~!
今回飲み比べたのは、5本のアジロンです。
まずは勢ぞろいしていただきましょう、こちらです。どうぞ!
アジロンを、飲み比べる
それではせっかくですので、それぞれのアジロンについてみていきたいと思います。
まず一番左の「白色」が、現行最新ヴィンテージとなります「アジロン2022」です。現在、ワイナリーでの店頭販売と、オンラインでも販売しています。
アジロン 2022
ベリー系のほんわかとした甘い香りと、ドライですっきりな口当たり。フルーツらしい酸味が特徴的で、ごくごく飲めちゃうジューシーワイン。
今年の3月に発売されたこちらは、ちょうど同じ頃にブックロードに仲間入りしたわたしにとっても、接する機会が多い1本です。
わたしはこのアジロンが大好きで、わたしが店頭にたつと、この子がよく売れます(笑)
ところがこの子、造るのには、とーっても手がかかったんですって…!
アジロンをはじめとする食用ブドウは、皮と実のあいだに「ペクチン」と呼ばれる成分が存在しています。
これが食用としての美味しさと同時に、「ぬるっ」とした手触りを生み出すのですが、この「ぬるっ」とした質感と、ブドウを絞るための圧搾機との相性が、あんまりよくないのだそう。
そんなわけで、この年、なにが起こったか。
そう、なんと、ブドウジュースが絞れなかったんです…っ!
▶ 「圧搾機」によるブドウジュースの絞り出しについてはこちら
醸造家須合、「ブドウが絞れない」という初めてのできごとに途方に暮れたそうですが、ここでワイン造りをあきらめなかった。
さまざまな情報をかき集め、いろんな方に聞いてまわり、なんとか醸造までこぎつけた…というのが、この2022年のアジロンなのだそう。
この1本に、そんなドラマが隠れていただなんて…!
「結果的に、とっても美味しいワインになったんだよ」と須合は話します。
「なにがいいのか、なにがどのように影響するのか、ワインって本当にわからないよね」
すべてをコントロールできるわけじゃない。いやむしろ、コントロールできないことのほうが多い、「ワイン造り」という営み。
醸造家のささやかな言葉に、その難しさと愛おしさが、ぎゅうっと詰まっていました。
アジロン 2021
続いてまんなかの「黄色」が、その前の年に生まれた「アジロン2021」です。
香りはほかの子たちと比べるとやや穏やかですが、飲んだあとの華やかさが中からふわっとのぼってくるタイプ。
実はこの年も苦労されたのだそうで、こっちの子は、ワインに仕上げる最後の工程である「濾過・清澄(ろか・せいちょう)」の際、フィルターを通らなかったということでした。
いやあ、ワイン、ほんっと次から次へと、いろんなことを起こすなァ…!
こちらもいろいろと調べた結果、最終的に「しばらく置いておく」ことが一番の解決法だったんですって。無理に動かないことが、大事なときもあるんですね。
そんな紆余曲折もあってか、ヴィンテージの若さのわりにはレンガ色がかるのが早い気がしました。
アジロンはここ2年連続で手がかかっていて、「今までこんなことなかったのに…」と、昨年はだいぶ落ち込んだとお話されていました。
本当に「なにが起こるかわからない」、ワインって生きてるんだなあ…!
アジロン 2019
そのお隣、青色のエチケットはアジロン2019です。香りは現行の2022に似て華やかで、それでいてちょっぴり酸が柔らかい。
今回いただいたなかで、わたしのお気に入りはこちらでした。ほんの少し熟成が進み、角のまるさが出てきているのが、なんだかアジロンの雰囲気に似つかわしく思います。
これは、アジロン2022の3年後も楽しみになりますね〜!
ちなみにこちら、ボトルをよくよく見ていただくと、なにやら金色のサインが入ってるの……わかりますか?
このサイン、醸造家須合がラジオ番組に出演した際に、黒木瞳さんからいただいたものなんですって!へぇぇぇ!
当時の醸造家須合は、「わたしが”醸造家”なんて、そんなのまだまだ…」という想いで出演されていたとのこと。
参加者の方からの「成長したね、って感じがします」との感想に、「え、それ、わたしのこと?ワインのこと?」と須合のコメントが続いて、わはは!と笑い合う。イベントは終始、和やかに進んでいきます。
アジロン 2018
ヴィンテージは5年前。ということで、ここから少し「熟成」の雰囲気が出てきます。まずは色です。
だいぶレンガ色が濃くなっているのが、ご覧いただけるでしょうか。
香りもほんのりシェリー酒のような雰囲気が出てきています。コルクを通した酸素による熟成、いわゆる「酸化熟成」が少しずつ進んでいることが垣間見えます。
そして、さらに年月を1年遡った、最後の1本がこちら。
アジロン 2017
これが本当の、ブックロードのはじまりのはじまり。アジロン2017です。ここからこのワイナリーの物語がはじまったのかと思いながら相対すると、感慨深い気持ちが湧いてきます。
実はこのアジロン2017、ワイナリーにはもう1本も残っていません。醸造家須合がたまたま酒屋さんで発見した際に、自分で買ってきた1本とのこと。ええっ、自分で造ったのに…!?
果実味は落ち、チャーミングさは控えめですが、まだまだ酸は元気!
ドライフルーツの香りと、ほんのりとした紹興酒のようなニュアンス。ちょっぴりオトナな香りが、シックな雰囲気をまといます。
「小さかったはずの親戚の女の子に再会したら、いい女になったな〜っていう、そんな感じのワインだね」と、参加者みんなでワイワイ盛り上がりました。
ちなみになぜかこのワインだけ、わたくしマイコ、写真を撮りそこねています。
楽しく飲んで、楽しくおしゃべりして、途中から仕事だってことを忘れてたみたいです。なんてこと、新人なのに…!
というわけでみなさん、わたしが仕事を忘れてただ楽しんでいるのを発見したら、「マイちゃん!これ、仕事だよ!」ってお声かけください。ちゃんとお仕事もします、楽しんでばっかりじゃなくて…!
アジロンと、Mizuki'sクッキング
そしてもちろん今回も!ブックロードレストランのシェフMizukiのお料理をみなさんにお出ししました✨
まずは見てくださいこの、オシャレ&美味しそうなアペタイザーを…!
そしてそして、今夜のメインディッシュは、ブックロードのアジロンといえば!の、こちらです。
じゃじゃーん!
そうです。エチケットに描かれているハンバーガーを、シェフMizukiが手作りしてくれました!すっごーーい!
これにはみんな、拍手喝采!
ハンバーガーが到着するやいなや、思わず歓声があがりました✨
ペアリングはもちろん大成功♡
たくさん食べて、美味しく飲んで、お腹いっぱい、心いっぱいの楽しい時間となりました!
ブックロードではこんな風に、醸造家須合が造ったワインについて、醸造家から直接お話を聞ける「須合と話そう!会」を定期的におこなっています🍷
楽しく飲んで、美味しいワイン。
でも、その背景を知ると、もっとぐっとワインが好きになる…!
そんな素敵な会になること間違いなしですので、Instagramやオンラインショップをぜひチェックしてみてくださいね✨
新人マイコがちゃんとお仕事しているかどうか気になる方も、ぜひワイナリーまで足をお運びください♪
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葡蔵人 ~Book Road~(ブックロード)
東京の下町にある小さなワイナリー。醸造所を通して、葡萄と人とがつながって幸せになって欲しいという願いから「葡蔵人」と名付けました。だからこそ国産のぶどうにこだわり、日々の生活に寄り添う“笑顔になれる”ワインを造っています!
【アクセス】
東京都台東区台東3-40-2 最寄り駅:JR「御徒町」駅、日比谷線「仲御徒町」駅
【営業時間】
◆ワイナリー(販売・試飲)
月・火・木・金(※水曜日定休日)12:00~15:00、17:00~19:30
土・日・祝 12:00~17:00
◆レストラン
[ランチ]木・金・土・日 11:00~14:00(L.O)
[ディナー]木・金・土 18:00~21:00 ※TAPスパークリング会員様限定
▼ 詳しくは、ホームページや各種SNSをご覧ください♪
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